【対談インタビュー】外部人材の活用を通して、本質的な課題と向き合い、採用数・エンゲージメント向上へ。
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パラレルワーカーを社外から受け入れ、事業推進を行った企業にインタビューをする「対談インタビュー企画」。今回ご紹介するのは、Salesforce、Account Engagement(旧Pardot)の導入・活用支援を軸としたマーケティングコンサルティング会社であるtoBeマーケティング株式会社が、2名のパラレルワーカーを迎え入れて採用数を倍増させた事例です。その経緯やプロセスについて、イネーブルメント部の木村さん・佐藤さん、そしてパラレルワーカーの林 秀至さん・Aさんにお話を伺いました。
■この事例のポイント
・採用担当者が1名という人的リソースが限定されていたところから、外部人材を導入することで従来の体制では成し得なかったスカウト配信数・面接設定数を実現、内定数・内定承諾率を倍以上に伸ばした。
・人事パラレルワーカーに採用実務を任せることにより、入社後の教育・育成やエンゲージメント向上など、より本質的な人事課題へ注力できるように。
<プロフィール>
■木村(きむら)/toBeマーケティング株式会社 イネーブルメント部イネーブルメントチーム マネージャー
プロのミュージカル俳優として活動後、Webサービス企業の採用担当として入社。その後、人事コンサルティング企業にて採用・研修・選考設計などを支援。2019年6月にtoBeマーケティング株式会社に1人目リクルーターとして入社し、採用だけでなく研修・エンゲージメント企画・人事制度設計・健康経営・コロナ禍のオフィス移転プロジェクトなどを担当。2022年10月よりマネージャー。
■佐藤(さとう)/toBeマーケティング株式会社 イネーブルメント部イネーブルメントチーム 採用担当
新卒で外食チェーン企業に入社し保健事業推進を担当。その後SaaS系ベンチャー企業にて採用・労務を経験。フリーランスを経て2022年にtoBeマーケティング株式会社に2人目リクルーターとして入社し、採用をメインに人事周りを担当。現在は個人でもCORNERのパラレルワーカーとして外資系メーカーの人事サポートを行う。
■林 秀至(はやし しゅうじ)/人事パラレルワーカー
名古屋大学 大学院を卒業後、株式会社パソナ事業開発部に新卒入社。約3年間、エグゼクティブ人材のマッチング事業にて、中小・ベンチャー企業の経営層に対しリクルーティングアドバイザーとして採用支援を実施。その後、株式会社SEASIDEに創業メンバーとして参画、執行役員として複数の人材関連事業の立ち上げを行う。2020年2月に株式会社レプセルを起業、AIを活用したエンジニア紹介事業および採用コンサル・代行事業を展開中。
■Aさん/人事パラレルワーカー
HR領域の求人広告営業として大手求人広告会社へ新卒入社。その後人材領域で経験を積み、現在は人材紹介会社におけるアソシエイトディレクターとして従事。新規事業の立ち上げにも携わる。採用オペレーションの設計からオプショナルな提案まで、人材領域における幅広い経験を保有。現在は業界や企業規模を問わず、採用チャネルの選定~チャネルコントロール~実務まで請け負う人事パラレルワーカーとして活動中。
目次
事業にインパクトを与え、貢献できる人事体制づくり
──従業員数も100名を超え、破竹の勢いで成長を続けているtoBeマーケティング。この成長の背景にはどのような要因や課題があるのでしょうか。
木村さん:toBeマーケティングは、法人顧客に向けてマーケティングオートメーション(MA)や顧客管理システム(CRM)などSalesforce製品の導入支援を軸にデジタルマーケティング全般のコンサルティングまでを行っている企業です。代表がセールスフォース・ジャパン出身であり、第一号のパートナー企業として先頭を走ってきたこと、競合企業が少ないことなどから確固たるポジションを確立。導入社数も1,600社を超えるまでに成長してきました。
こうしたコンサルティングビジネスでは、社員1人ひとりの活躍度合いが大きく経営にも影響します。そのため、ただ採用を進めるのではなく、入社後どれくらい早く立ち上がれたか、どこまでパフォーマンスを出せているのか、などを各部門長と確認し合いながら密に採用要件をブラッシュアップしてきました。部門の定期ミーティングにも積極的に参加しているので、攻めの姿勢が強い人事なのかなとは思っています。
今では当社も社員数100名を超える組織になりましたが、今後200名、300名となっていくことを考えると次世代リーダーの育成・選抜なども考えていかねばなりません。プレイヤー志向が強いメンバーも多い中でどうマネジメントへ意識を向けてもらうかといった部分を、足元の採用活動と並行しながら取り組んでいくことが目下の課題となっています。
──外部人材を活用しようと思ったきっかけは、その課題感からでしょうか?
木村さん:その通りです。目標としている組織の在り方や採用数から逆算して日々のアクションに落としていくわけですが、どう考えても私1人ではリソースもノウハウも足りない。2019年6月に1人目採用担当として私が入社してからなんとかやってきましたが、いよいよ会社の成長スピードの早さに追いつけなくなってきました。また、エンジニア領域の採用知見に関しても不足していたので、そこをどうにかしなくてはと考えたのが外部人材活用のきっかけです。
外部人材活用については、前職が人事コンサルティング企業でアウトソーシング事業も行っていたので、選択肢として当初から頭の中にありました。リソースの部分もちゃんと補ってもらいつつ、会社や私にはない知見や得意領域を持った方にジョインしてもらえたら、当社の採用はもちろん人事関連の仕事をもっと前に進められると思ったんです。中でもコーナーは専任の担当者がついて要件定義からクオリティを担保してくれるので、非常に心強い存在でした。ちなみに、林さん・Aさんにジョインいただこうと決めたのも「今の自分たちにない知見や視点を持った方だから」という点が大きな理由です。
外部人材のパフォーマンスを最大限に引き出す「業務の切り分け方」
──林さん・Aさんという外部人材にジョインいただくにあたり、どのような形で業務をお任せしていったのでしょうか?
木村さん:採用業務をお任せするにあたり、まずは自社の課題を明確にするところから始めました。当社の場合、面接に来てもらえれば入社へと進んでもらえる確率が高いため、あとはいかに母集団を大きく形成できるかがキーでした。そこで、これまで取り組んできたダイレクトリクルーティング以外の方法も含めて母集団形成に取り組んでもらうことをメインミッションとして据えました。
お任せするミッションは明確にできたものの、スピード感の早いベンチャーなので採用要件は目まぐるしく変化していきます。私1人で担当しているうちは自分だけがその変化をキャッチアップできていれば問題ありませんでしたが、人事パラレルワーカーさんと一緒に採用を進めて行く上ではタイムリーに状況を共有していく必要があるとも考えていました。
まず初めに、林さんに主にビジネスサイドやミドル層へのダイレクトリクルーティング担当として入っていただきました。第1回目の顔合わせではどこまでお任せできるのか手探り状態でしたが、実際に稼働が始まってみると、業界のトレンド情報などにも詳しく、期待していた以上に積極的に取り組んでいただけました。
林さん:ジョイン当初から非常にやりやすいなと感じていました。その要因の1つ目は「課題が明確だった」点。母集団形成に要点が絞られていたのはもちろん、採用要件・ターゲットについても設計が済んでいたため、あとはどうツールや採用要件を広げて行くかを考えて行けば良い状態でした。こうした状態を作ることによって、toBeマーケティングがこれまで使っていなかったツールを提案したり、よりベストな方法を検討するための余力を生むことができます。成果に繋げるためのサポートが、自分の知見でリードできるやりがいがありました。
2つ目は「業務の切り出し方が明確だった」点。何か依頼をもらう際にも必ず目標値が定めてあり、それに準じた管理表まで用意されているので、何を達成すれば良いかを鮮明に理解することができました。
木村さん:林さんの参画を通して順調に成果が上がるようになり、「これほど親身に関わってもらえるなら、もっと他の知見を持つプロにもジョインしてほしい」というニーズが出てきました。そこでお願いしたのがAさんです。現職が人材エージェントということで、これまで自分達が培ってきたノウハウとは違った知見が得られると思い依頼しました。
Aさん:木村さんがもともと人事まわりのコンサル会社出身者なので、外部人材側の立場も把握してくれているのが大きかったと感じています。業務の切り出し方からもそれは伝わってきましたし、コミュニケーションや情報共有面においても配慮されている印象でした。
私はエージェント側の経験こそあるものの、事業会社側の人事や採用実務経験は一切ありませんでした。それなのに私にご依頼いただけたので、最初は内心「珍しい会社だな」と思っていたんです(笑)。でも、「私たちにない知見やノウハウを求めていた」と言ってもらえたことで合点がいきましたし、なにより必要としてもらえて嬉しかったですね。実際に、スカウトにおけるターゲッティングやメッセージングのスキルは事業会社側でも活かせることが多かったように感じています。
人事がより本質的な課題に取り組むための外部人材活用
──林さん・Aさんがジョインしたことにより、どんな変化がありましたか?
木村さん:まず大きく変わったのは、採用活動が一気に促進された点です。これまで私1人でやっていたときはスカウトも月100通しか打てず、面接も月20件が限界でした。それが、お2人にジョインしてもらったことでスカウトは月1000通、面接は月60回にまで増大。お2人の知見を活かした訴求方法の工夫や、新たなターゲットの発掘等にも挑戦できたことで、内定数や内定承諾率も倍以上に伸長させることができました。また、なかなか手を付けられてなかった採用ルートの拡大も実現(新規媒体開拓4社)し、安定的な母集団形成ができるようにもなりました。
こうして採用活動が安定化したことにより、入社後の教育・育成、社員のエンゲージメント向上などの施策も検討できるようになってきたことも大きな成果です。私1人で採用活動を続けていたら、到底このスピードでは実施できなかったことばかりです。2022年7月からは社員として佐藤さんをお迎えできましたが、バックオフィスや人事は専門性が高い職種のためすぐに拡大できるものではありません。ゆくゆくはIPOも見据えていることから、外部人材も活用しながらその時々の状況に合わせて最適な組織にしていければ良いなと考えているところです。
佐藤さん:私も前職はベンチャー企業でワンオペ人事をしていました。そこでは外部人材の活用はまだ行っていなかったので、toBeマーケティングの人事体制を見て「新しい取り組みだな」と感じたことを覚えています。
1人だけで人事業務をやっていると、「これであっているのかな?」と思うことが多々ありまして。内定承諾をもらえた時も1人で喜びをかみしめるしかありませんでした(笑)。しかし、toBeマーケティングでは外部人材も交えたチームで成果を出していて、しかもリソースとしてだけではなく壁打ち相手として対等に互いの専門性を活かして行動している様子を見て、これはメリットの多い取り組みだなと実感しているところです。
──林さん・Aさんのお2人から見て、今後toBeマーケティングで課題になりそうな点はありますか?
林さん:今後のさらなる採用拡大を考えると、今以上の母集団をどう確保するかは課題になるような気がしています。これまで取引のなかったエージェントや媒体も活用できるようになっては来ましたが、それでもスカウト対象者が足りていない状況を考えると、採用要件やターゲット人材を見直したり緩和したりといった動きが今後は必要になると考えています。
Aさん:あくまで感覚値ですが、現状はかなり厳選採用をしていて、上位2割のみを採用しているようなイメージです。今後IPOを目指すにあたり、そのレベル感を継続するのか、はたまた少し要件を下げて入社後に育成・教育するのか、などは考えどころかなと。組織をさらに拡大させる上では、どこかで考え方をスイッチさせる必要があるかもしれません。そのあたりのコミュニケーションも経営陣や現場を密に行っていくことができれば、今後も良い形で採用を進められるのではないかなと思いますね。
編集後記
木村さんが1人で孤軍奮闘していた状態から、2名の外部人材にジョインしてもらうことで採用だけでなくその他人事業務にまで良い影響が出た今回の事例。外部人材にお任せするミッションを明確にしつつも、アウトソースではなく採用の専門家として尊重するtoBeマーケティングの姿勢が垣間見えた取材でした。
やりたいことがあるけれど、リソースも知見も足りない──今人事としてそう感じているのであれば、その状態は外部人材の活用で打破できるかもしれません。ぜひ1つの可能性として検討いただけると幸いです。