マーケターから人事コンサルへ──自らと組織をアップデートし続けるためのパラレルワークとは。
「成長テーマは自分で決めるもの。それに向けてステップを踏んでいく上で、パラレルワークは最適な機会を提供してくれました」
そう話をしてくれたのは、2020年9月から人事コンサルティングをメインに行う株式会社Everyにジョインした田中 武征さん。WEBマーケターとして培った専門性を、採用広報やダイレクトリクルーティングに活かすことで、人事パラレルワーカーとしても成果を上げています。
田中さんは、なぜマーケターから人事コンサルタントの道へ進んだのでしょうか。また株式会社Everyが会社として「CORNER」を活用しながらパラレルワークを推進する理由についても伺いました。
<プロフィール>
田中 武征(たなか たけゆき)/株式会社Every 取締役
福岡県出身1990年生まれ。中央大学卒業後、2013年 (株)トライアンフへ入社。マーケターとして広告運用・販売戦略全般を担当後、2017年よりマネージャーとして戦略構築全般を担う。2020年9月1日、株式会社Everyにジョインし、ピープルデータサイエンティストとしてクライアント向けにデータに基づくコンサルティングを行っている。株式会社Every代表の松澤とは当時の上司と部下という関係性で、新規事業を2つほど手掛けながら苦楽を共にする。その他、主にIT系企業の新卒・中途採用プロジェクトマネジメントを2年ほど経験し、マーケティングとデータオリエンテッドアプローチに強みを持つリクルーターとして活躍。▶このパラレルワーカーへのご相談はこちら
目次
マーケティングと採用に共通する「原理原則」
WEBマーケターから人事コンサルタントへ
これまではWEBマーケターとして、BtoBのWEB広告運用や解析などをメインに行ってきました。そこに加えて、前職であるトライアンフが採用や人事まわりを生業とする会社だったこともあり、マーケティング部門に在籍しながらも採用に携わる機会に恵まれていたんです。とはいえ、マーケタ―時代は企業の魅力の言語化などをサポートする程度の関わり方でした。
そうして採用にも関わってみると、意外にも採用とマーケティングには共通点が多いことに気づいたんです。「これまでの経験やスキルと掛け合わせて仕事ができるかもしれない」「ちょうど今は、世の中的にも働き方が大きく変わる過渡期。このタイミングで人事・採用領域にチャレンジすれば、きっと面白くなるに違いない」このような考えをきっかけに、Everyへのジョインを決め、新たに人事コンサルタントとしての活動をスタートさせました。
現在Everyでは、新卒採用のコンサルティングやアウトソーシングを軸にしながら、主に採用広報まわり全般を手掛けさせてもらっています。
「マーケティング」×「採用」の融合
私は人事パラレルワーカーとして採用をお手伝いする上で、マーケティングと採用の融合をテーマに据えています。
マーケティングは、シンプルに言えば「お客様が求める情報やサービスに応えること」だと考えています。採用の場合も、この“お客様”を “採用候補者”に置き換えれば、そのまま意味が通じる関係性になるのではないでしょうか。希望するキャリアプランがこの会社で描けるか、どういったスキルが身につけられるのか、イキイキと働けそうか──それぞれの候補者に合わせた適切な情報発信の重要性は、マーケティングと採用に共通する部分です。
採用活動へマーケティングの概念を持ち込む際に気を付けているのは、マーケティングの「原理原則」に沿ったアウトプットができているかという部分です。たとえば「ターゲティング」を例として考えてみましょう。マーケティングでは商品を売る中で、購買者を段階別に分けて考えるのがセオリーです。すでに買うことを決めてはいるものの種類を迷っている人へアプローチするのと、買うかどうかを迷っている人へアプローチするのでは、取るべき手法がまったく異なるはずですよね。
この「ターゲティング」は、採用においても同じことが言えます。候補者をフェーズで分け、どういうセグメントの人をターゲットにどんな情報提供をするのか、競合他社との比較を通じてどんなポジショニングをとれば魅力が伝わるのか。こうした想定・分析を行うことは、まさに王道であり、最初に取り掛かるべきテーマだと思います。
こうした前提をもとに、私が意識的にクライアントとすり合わせしているのは「公開する求人情報から、候補者の具体イメージが思い浮かべられるか」という部分です。たとえ求人情報として、採用要件や求めるスキルなどがそれらしく書いてあったとしても、それらが自社のターゲットとなる人物像をありありと想起させる内容でなければ、採用効果は高まりません。また、特定の人物イメージが浮かべられるものに仕上がっていたとしても、その姿が本当に採用すべき人物像でなければ意味がないのです。
まずは将来採用したい候補者の具体イメージが見えるまで、採用要件を洗練させる。次は、そのターゲット人材が転職マーケットに対して何を求めているのかを、求職者側の視点に立って考える。その後は、同じターゲット人材を求める競合他社を意識しながら、自社の持つ強みやポイントをいかに伝えて差別化するかを考える──こうした流れが、私にとっての基本セオリーです。
こうした「カスタマー(採用候補者)→コンペティター(採用競合)→カンパニー(自社)」の順番で物事を考えていくことも、マーケティングに共通する原理原則。採用活動においても守っておいて損はない考え方だと感じています。
パラレルワークを通じて広がった世界と可能性
クライアント・知見・フィードバック──パラレルワークで得られたもの
私が所属している株式会社Everyは、まだできて数年の会社です。そのため取引先の開拓も、これまでに接点があった方を中心に、徐々に関係を広げていく形がメイン。それゆえに、完全新規のクライアントとはなかなか接点が持てないという課題を抱えていました。そこで出会ったのが「CORNER」。「CORNER」には私だけでなく、Every代表である松澤も登録することで、新しいプロジェクトとのマッチングを手掛けてもらいました。自分たちだけでは出会えなかった、しかも成長著しい有名企業をはじめとしたクライアントと繋がりを持てるようになり、おかげさまで数多くのチャレンジや成長課題をもらえています。
「CORNER」と出会えてよかった点は、取引先の拡大だけではありません。現在私には、他2名の人事パラレルワーカーと、株式会社コーナーの担当者を含めた4名チームの一員として取り組んでいるプロジェクトに参画しているのですが、これが非常に有意義で。人事パラレルワーカーとして、他のパラレルワーカーと一緒に仕事を進める機会はそう多く得られませんから、進め方やコミュニケーションの取り方など、様々なことを学ばせてもらっています。これも、社内だけでは得られなかっただろう貴重な経験です。
更に付け加えるなら、クライアントと自分との間に「CORNER」という第三者を介することで、クライアントからよりリアルなフィードバックをもらえる点も大きなメリットだと感じています。どれだけ関係性が良くても、直接言いづらいことってありますから。そんな時に「CORNER」が間に入ることで「この点は非常に助かっている」「ここはもっとこうしてほしい」などの本音を聞いてくれることは、人事パラレルワーカーである自分たちの成長にもつなげやすいと感じています。
自分の知識・経験・感じたことは当たり前ではない
人事パラレルワーカーとして心掛けているのは、「自分が知っていること・感じたことを忖度なく伝える」こと。自分にとっては当たり前のことであっても、クライアントにとっては目から鱗…といった情報は、思っている以上に多いものですからね。
クライアントは「さまざまな視点・観点から、自社の採用・組織を見直したい」と思っているはず。その課題に対する解決法はさまざまだと思うんです。たとえば専門スキルのある社員を雇う、あるいは相談役やコンサルに依頼するのも手段でしょう。そんな中で、あえて自分のような人事パラレルワーカーに依頼したということは、自分が培ってきた知見やノウハウに期待を抱いてくれている証拠ではないかと。だからこそ依頼された限りには、“自分から見て思う事”をどんどん伝えていこうと決めています。
当然、時にはお伝えした情報がハマらないこともあります。ですが臆することなく、クライアントには積極的に自分が持つ価値を提供していきたいですね。
自分で自分をアップデートする
成長テーマは「与えられるもの」ではなく「自分で決めるもの」
WEBマーケタ―として会社に所属していた頃は、次に目指すべきミッションについては、常になんとなく見えている状態でした。「扱える金額を増やそう」「対応できる領域を増やそう」といった感じですね。与えられていた、といってもいいかもしれません。こうしたミッションに合わせて勉強すれば、スキルアップは事足りたんです。
ですが、人事パラレルワーカーの場合はそうもいきません。上長や組織からミッションが下りてくるわけではないからこそ、成長テーマを自分で決めて、スキルアップを意図的に課していく必要があります。
一方で、成長テーマさえちゃんと決めることができれば、人事パラレルワーカーは複数のクライアントやプロジェクトを通じて、自身をアップデートし続けることができます。どんなクライアントと関わり、どんなプロジェクトを選択して、どこまでのコミットレベルで関わるか──そのすべてを自分で選択できることこそ、この働き方の強みではないでしょうか。
チャレンジ要素があるプロジェクトに飛び込んで自分をアップデートする
今度の目標としては、もっと自分の考え方を活用できるシーンを増やしていきたいですね。まだまだクライアントやプロジェクトの要点を掴むのに時間が掛かる部分があるのですが、これは場数が解決すること。課題解決や事業推進スピードをより高めながら、会社ごと異なる意思決定のスピード感や予算・稟議の裁量具合といった変数に合わせて、適切な進め方や関わり方を選択していきたいです。
決めているのは「やったことない・やれるかわからない」という部分が必ず混ざっているプロジェクトを選び、挑戦すること。勇気はいりますが、その経験はいつか必ず自分の伸びしろになるはずです。「田中ならきっとやってくれる」とアピールできたなら、その先にはまた新たな機会が生まれると信じています。
パラレルワークは、すべてが自分次第。求めれば求めるだけクライアント・プロジェクトに出会うことができる働き方です。自らと組織をアップデートし続けるためにも、これからも前のめりに取り組んでいきたいですね。
編集後記
パラレルワークを自己成長だけでなく、組織そのものの成長にも活かしている田中さん。「成長テーマを自分で決めて、そこへの道のりも自分で選択する」という言葉がとても印象的でした。誰かが決めた汎用的なキャリアではなく、自分だけのオリジナルキャリアを歩める──当然責任は伴いますが、これがパラレルワークの大きなメリットだと改めて認識できた時間となりました。