人事担当者に聞いた「2021年の振り返り」と「2022年のトレンド・重点領域」
企業人事担当者及び当社にご登録頂いているパラレルワーカー人事にご協力いただいたアンケート結果を元に、年1回コーナー編集部が発信している「動向調査シリーズ」。
今回はその2022年度版として、新卒採用/中途採用/組織開発・人事制度/人材開発/労務における「2021年の各社振り返り」と「2022年のトレンド・重点領域」をまとめたものをご紹介します。
【調査概要】
「2022年動向調査」
■調査実施期間:2021年12月23日~2022年1月7日
■調査方法:WEBアンケート調査
■有効回答数:61サンプル
■調査対象者:企業人事責任者・担当者、当社サービス登録頂いているパラレルワーカー
■追加データ付きサマリ版資料を無料配布中
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目次
調査の回答者データ
従業員規模
役職
2021年の「各社振り返り」サマリ
Q. それぞれの領域において、2021年はどのような1年でしたか? 社会・社内状況など特出した変化と、取り組まれた内容について教えてください。
新卒採用
最も多くあがったのは「オンライン化への対応」でした。新型コロナウイルスの影響を受け2020年から面接や会社説明会等のオンライン化が急速に進行。2021年はその流れがより加速し、インターンシップ運営などを含めたすべてのプロセスでオンライン化に踏み切る企業が増えました。
さらに1次面接を録画形式にするなど、オンラインツールを活用した施策を展開する企業も複数ありました。
その影響から「地方学生に会いやすくなった」「選考スピードが上がった」などのポジティブな変化も生まれています。中には最短2週間で内定を出す企業も現れるなど、競争環境が激化している様子が見て取れました。
もう1つポジティブな変化として「応募数の増加」を挙げる企業が多くありました。オンライン化により学生のフットワークが軽くなった関係からか、文系学生がITエンジニア職へ応募したり、海外留学生の採用が進んだりなど、これまでにない傾向の応募や採用が増えているようです。
一方で、「学生との意向すり合わせの難しさ」を感じている企業が多いようです。オンライン化で学生・社員間のリアルコミュニケーションが減ったことでアトラクト難易度が高まり、内定承諾率などにマイナスの影響が出たという意見も散見されました。また、応募増加の影響からか複数内容を持つ学生が増えたことも、内定承諾率を下げる要因の1つになっているようです。
中途採用
新卒採用領域と似た変化や課題が見られた中途採用領域では、2021年は採用が積極化した企業が多く見られました。
しかしながら、求人数の増加を受け採用難易度は急上昇。特にエンジニア職・マーケティング職・マネジメント層の採用などではレッドオーシャン化が進み、狙い通りに採用成功できている企業はごく一部のようです。
そんな状況を受けて、フリーランスや複業活用などを検討・実施する企業が徐々に増えてきている様子も見て取れました。
組織開発・人事制度
多くの企業でリモートワーク・在宅勤務拡大に伴う人事制度の改定や刷新が行われていました。
2020年はオンライン化への対応がメインでしたが、2021年はリモートワークに適した評価制度や情報管理ルール、メンタルヘルスケア制度など、より良い運用への改善・対応が目立ちました。
組織開発領域では例えば、オンライン上でのコミュニケーション量を増やすために、1on1や各種定例ミーティングなどの「エンゲージメント施策」を実施する企業が多く見られました。
新型コロナウイルスの感染拡大が弱まったタイミングでフルリモートから週1日出社のハイブリットワークへの移行を行うなど、各社オンライン化による「コミュニケーションの希薄化」への対策が進められた印象です。
またこのタイミングで副業解禁を進めた企業も散見されるなど、withコロナの時代にどう組織を馴染ませていくかの検討は各社引き続き進められている印象です。
人材開発
リモートワーク移行により、研修もオンラインへと移行が進みました。eラーニングの導入などはもちろん、オンラインでの社内外コミュニケーション手法に関する研修を新たに企画し実施した企業もありました。
またOJTについてもオンライン上ならではの方法を検討・実施するなど、各社共に前例のない取り組みを進めているようです。
その中で多くの企業から寄せられたのは「マネジメント職の重要性」でした。
リモート環境下ではあらゆる課題解決がミドルマネジメントに集中し、その重要性が高まったことを受けてマネジメント研修により力を入れた企業が多く見られました。
またマネジメント職の外部採用を試みる企業も増加したようですが、昨今の採用難易度の高まりからスムーズには進んでいないようです。
労務
「労働時間」の現状把握と対策について、多くの意見が寄せられました。
リモートワークに移行し、各社員の労働管理の難しさが露呈した形です。労働時間と労働外時間の差が見えづらくなったことでマネジメント作用が効きづらくなり、ミドルマネジメント層への負担はこれまで以上に増加。
また実際の労働時間も多くなっており、メンタルヘルスケアの必要性も叫ばれています。
さらに直近は法改正が多く、「対応や体制づくりに追われた1年だった」と振り返る企業や担当者が多くいらっしゃいました。また細かいところではリモートワークに対応するための労務管理や電子化なども進められ、労務担当者の忙しさは例年にも増していたようです。
2022年の「トレンド予測」と「各社重点領域」サマリ
Q. 2022年の各領域において、社会情勢や自社における周辺環境はどのような変化や状況を想定されますか? また、どのような対応やチャレンジが必要になりますか?
新卒採用
<市場動向>
2021年に引き続き、採用難易度は高まり続けると予測する企業が大半となりました。各社共に地方採用を含め優秀人材の取り合いが激化し、給与や待遇競争が進む可能性も示唆されました。
また、学生の志向性の変化(SDGsへの取り組み内容を重視するなど。※)を受け、これまで以上に採用ブランディングの重要性が高まりを見せそうです。
※参考:2021年11月iroot調べ「21年卒・23年卒比較学生意識調査」
※参考:2021年8年月株式会社ディスコ調べ「就活生の企業選びと SDGs に関する調査」
<各社動向>
上記市場動向予測を受け、「いかに自社の魅力を高め、伝えられるか」により焦点が置かれた取り組みが進みそうです。
オンラインの魅力や効率の良さは維持しつつも、リアルの場をうまく使ってどう興味喚起・アトラクトするかといった検討を進めている企業が多く見られました。
また中途採用領域のレッドオーシャン化を受け、エンジニア採用を経験者から新卒へシフトし、「専門職採用」を進める企業もあるようです。その他に、選考スピードの高まりを受けて、採用時期やスケジュールの変更検討を進める企業も増加傾向にあります。
中途採用
<市場動向>
新卒採用領域と同様に、採用市場はさらに激化すると予測する企業が多く見られました。(※2021年7月のdodaの中途採用求人倍率レポート調べでは2020年6月以降求人倍率が右肩上がりとなっている)
その上で各社共に採用数をさらに強化する方針で、より即戦力・優秀人材の取り合いが加速する見込みです。
また外部人材を積極活用する流れもより高まりを見せそうです。
<各社動向>
こちらも新卒採用領域同様、オンラインとリアルの「ハイブリッド化」を進める企業が多いようです。ただアトラクトの意味合いだけでなく、人柄を把握するといった評価面からもハイブリット化を進めたいとの声が一部で聞かれました。
また採用難易度の高まりを受け、採用手法の変化・進化にチャレンジしたいと回答した企業が多くありました。
他社との差別化ポイント検討、新たな採用手法への拡大、外部人材の積極活用など、あらゆる方法で採用課題をクリアしたい狙いです。
中でも外部人材活用は、単なるマンパワーとしての期待ではなく、ノウハウ・スキル面の補完を目的に行うと回答する企業も見られました。
組織開発・人事制度
<市場動向>
2021年に引き続き人事制度の見直しが進む見込みです。ジョブ型への移行や評価・報酬制度の見直しがそのメインとなるようです。
さらに働き方の多様化・柔軟化を受け、より従業員ニーズをくみ取りながらのダイバーシティ推進が加速していくと予想される企業が多くありました。リモートワークは当然ながらワーケーションなど、柔軟な働き方の整備が引き続き強く求められています。
また働き方の多様化を受け、自社パーパスやVMV(ビジョン・ミッション・バリュー)を見直す企業が増えるなど、エンゲージメント強化推進についても多くの市場予測が集まりました。
<各社動向>
市場動向に沿う形で、人事制度の見直しを予定する企業が多く見られました。リモートワーク・ハイブリットワークへの引き続く対応、副業解禁など柔軟な働き方への移行対応、エンゲージメント強化、不公平感の低減、生産性向上などがテーマとして多く挙がりました。また、組織開発観点においてもオンライン・オフラインに関係なく、エンゲージメントを高めるための仕組みづくりに多くの関心が集まりました。
人材開発
<市場動向>
こちらで多く上がった内容としては「マネジメント層の引き上げ」が多くの企業で課題になるのではという意見が多く出ました。各社共にどうミドルマネジメントを育成・採用・定着させていくかがキーになりそうです。
<各社動向>
リモートワーク下では社員自らが考えて行動する自走能力がより必要となってくるため、「個力のアップ」をテーマに掲げる企業が多くありました。またそれをサポートするマネジメント層のレベルアップ施策についても模索が進んでいる様子が見て取れました。
労務
<市場動向>
今後予定されている法改正への対応がより求められる印象です。
法改正に応じて社内の規定改定を進めたり、従業員へ周知して運用を徹底したりといった具体的な行動が多方面で進められていく形です。
【2022年の法改正】
2022年1月施行:電子帳簿保存法改正
2022年4月施行:育児・介護休業法改正、個人情報保護法、中小企業のパワハラ防止法
2022年10月施行:短時間労働者の社会保険適用のルール改正
<各社動向>
リモートワーク・ハイブリットワークなどの多様な働き方への労務管理対応が各社共に重要事項として挙がりました。
また副業解禁に伴う自社副業者、ならびに業務委託者受け入れなど、社内・社外合わせた双方の労務管理対応にも注目が集まっているようです。
まとめ
全体を通じて、2022年はより人事活動が活発になる様子が見て取れました。人事関連の予算は全体的に増加傾向にあり、特に採用予算は1/4の企業が昨年より増やすと回答。
また人事領域のシステム予算の増加を見込む企業も多く、人的資産の情報取得・開示に向けた準備が進められている様子も感じられました。
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