【調査レポート記事】いまやバックオフィスも業務委託活用は当たり前!?「高い満足度」とまだ残る「活用へのハードル」とは。
【調査概要】
業務委託活用についての実態調査
■調査実施期間:2020年4月3日~2020年4月6日
■調査方法:インターネット調査
■有効回答数:1000サンプル
■調査対象者:
全国の20歳~69歳男女
・従業員数500名以上(正社員のみの従業員数)の企業勤務者
・所属部署は管理部門:総務・経理、財務・人事・法務・情報システム
目次
【始めに】
近年働き方改革により、複業(副業)や兼業など、1つの会社だけにとどまらない働き方が増えてきております。また一方で企業側は社員だけではなく、部分最適や、一部の専門領域を業務委託という形でアウトソーシングすることも進んできているといいます。
しかし、その活用は増えてきているとはいえ、「まだまだ少ないのでは?」「エンジニアやデザイナーのような技術系職種だけではないのか?」という声もよく聞きます。
今回の調査では管理部門(バックオフィス)での”業務委託”活用が進んでいるかどうかの調査をしました。
【調査サマリ】
・業務委託人材の活用は50%を超え、半数以上がすでに利用している
・すでに活用している方の満足度は約80%と満足度が高い状態
・「業務委託を活用するという概念がない」ということが活用していない主な理由
1.業務委託人材の活用は意外と進んでいる!?
◎業務委託活用経験は50%を超え、半数以上が利用したことある状況。
◎エリア別では首都圏での業務委託活用が進む
◎活用の主な理由は人材不足が多いが、専門性・ノウハウも求めレベルアップを求めている
「Q1. あなたは、所属部署で、今までに業務委託(事務派遣除く)を活用したことがありますか。当てはまるものを選んでください」
✓業務委託の利用経験は約55%(現在利用している/過去に利用経験あり合算)。
✓調査した全部署で50%を超えており、採用・研修・情報システムでは約70%と特に導入が進んでいる。
✓労務・経理・法務・人事は「今ではないが、1年以上前に利用経験あり」の比率が高く、再利用が少ない傾向が見受けられる。
以前は業務委託の活用はエンジニアのような技術系の領域が多かった印象だが、今回の調査では管理部門でも業務委託が進んでいることがみえてきた。
特に技術系の情報システムを除いても採用・研修領域では70%を超え、非常に高い活用実態となっている。
1年以上活用していないところでは「労務」「経理」「法務」「人事」あたりに少し特徴が出ている。常時活用というよりはプロジェクト単位や、短期間での活用などで活用している可能性が考えられる。
この業務委託活用の変化については弊社の提供する人事領域の業務委託支援のサービスの数値でも実感することができ、支援案件数は2019年6月から比較すると3倍以上に増加している。
複業(副業)マッチングサービスが増えてきているため、業務委託での仕事を受託する機会も増えることもさながら、業務委託を活用することが業務を推進する上で重要になってきている。
「Q2.業務委託を利用した理由として、特に当てはまるものを1つ教えてください」
✓全体では「人員不足」が最も多い(約45%)が、次いで「社内にノウハウがない」こと(約20%)が続いている。
✓労務・経理・情報システム部署は特に「人員不足」での理由が多い(約50%)。
「Q3.業務委託した仕事のレベルを教えてください。(いくつでも)※複数ある場合はすべて選択してください」
✓委託している業務内容は「社内では対応が難しい専門性」や「そもそも社内にノウハウがない新規の業務」が多く、総じてレベルの高い仕事が多いといえる。
Q2とQ3の調査結果から、全体的に人員不足はあるものの、社内にノウハウがないことと、委託している仕事は専門性高い内容や新規業務を委託しているという結果から単純な人員不足ではなく、高いレベルを依頼していることが見えてきた。
人員不足を多くあげているのは労務・経理部署が多く、決算業務・入社手続きなどで時期によって業務量が大きく変動するため、短期間での人員が必要な業務を依頼することが多いと想定される。
また、仕事のレベルは経理・研修部署において専門性を重視し、自社でノウハウが少ないことや高度な業務内容になるため、求められるレベルが高いと想定される。
一方、採用ではメンバーレベルのタスク系業務の比率が30%を超えており、作業タスクが多く、採用戦略や設計などの上流工程になかなか時間を避けていないという課題もありそうだ。
2.業務委託の利用満足度は80%!満足度が高い理由とは?
◎業務委託の利用満足度は約80%と高い結果
◎業務委託者に求めるものは「ノウハウ」「柔軟性」「スキル」の3つが重要視
◎満足度の背景には「専門知識や人材の補充」「人件費削減」「実績・成果物」など、目に見える成果が存在
「Q4.これまでに、業務委託を利用した際の契約主体を教えてください。(いくつでも)」
✓業務委託の契約は、仲介会社を通す形が主流。特に経理、情報システム部署ではその傾向が強く、約80%が仲介会社。
「Q5.業務委託の利用先を選定した理由として、特に当てはまるものを3つまで教えてください。(3つまで)」
✓「ノウハウ」「柔軟性」「スキル」の3つで全体の約60%と個人の能力や対応を重視している傾向がある。
「Q6.これまでに利用した業務委託者の満足度を教えてください」
✓業務委託の利用満足度は80%。特に採用部署の満足度は突出して高い。一方で、経理・情報システム部署は評価が中央に寄っている。
「Q7.前問でお答えになった理由を教えてください。(複数選択)」
✓評価をしている理由は「専門知識や人材の補充」「人件費削減」「実績・成果物」の項目が高い。
業務委託を活用した経験者は果たして、満足のいく結果になっているのか。間接部門にとって業務委託の求めるものと成果をどこに置きながらお願いをしているのか。
満足度の結果とその背景にある理由も調査し、データを見ていきます。
業務委託者への満足度は全体80%以上と、非常に高いということが調査結果となった。特に採用の部署では突出して「期待以上」の満足度が多く、要因としては前項の結果の中であった「委託する業務レベルの難易度が低い」ことから期待値が低く、その分満足度が高いのかもしれない。
一方「期待通り」の満足度では経理・情報システムの部署で多く、納品物が明確に定義されている、もしくはそもそもの業務レベルが高いため、期待値と同等になることが多いと想定できる。
とはいえ、期待はずれの結果になっていることはいずれも少なそうだ。
評価している項目としては「専門知識や人材の補充」「人件費削減」「実績・成果物」となっており、前項で活用理由として挙げれらていた「求める知識・経験」の部分が十分に結果として現れたということがわかる。
こうした高い満足度を得られる業務委託者をどのように見つけているのかというのは、直接探すというよりは仲介会社を通しているケースが多い。その中で「ノウハウ」「柔軟性」「スキル」といった個人の能力を特に重要視して選定している。
3.業務委託活用をしたくても乗り越えなければならない壁
◎そもそも業務委託を検討していないのは約80%
◎検討しても活用しない理由は社内人材で十分対応ができている点とセキュリティ上の懸念がある
「Q8.今後も業務委託を外部リソースとして利用していきたいと思いますか。」
✓全体の約60%が業務委託を継続したい。特に採用部署は70%と高い継続利用意欲が見られる。労務・経理部署は業務の季節要因(決算業務・入社手続きなど)で業務量が大きく変動する影響からか「現状は不明」が多い。
「Q9.(業務委託利用経験なしの対象者)今までに、業務委託の利用を検討したことがありますか」
「Q10.今までに、業務委託を利用しなかった理由として、特に当てはまるものを3つまで教えてください。(3つまで)」
✓業務委託を利用したことがない会社のうち、そもそも検討していないのは約80%。検討したが利用していないが約20%。
✓検討していない理由は「社内人材で対応できているので必要ない」「セキュリティ上の問題で導入が難しい」が上位。
✓研修部署は「検討したことがある」が最も高く、「セキュリティ上の問題」が利用しなかった大きな理由になっている。セキュリティ上の問題は、仲介会社を挟むことで懸念が払しょくできるのではないだろうか?
ここまで満足度が高い業務委託で、少しずつ活用が多くなってきているとはいえ、約半数近くは利用していない状況がある。何がネックになっているのかを調査データから読み解くと、まず活用自体を検討していないというのが約80%と非常に多かった。
活用検討していない理由として多かったのが、社内人材で対応できるという点とセキュリティ上の問題が挙げられた。セキュリティ上の懸念は企業ごとのポリシーによって分かれるところがあるものの、他の半数の会社は満足度高く活用しているところから、ルールの整備などで解決することも多いともいえそうだ。
活用しているところに継続的に活用したいかという質問に対しては約60%が活用を継続したいと答えている。
弊社サービスでも継続いただける企業様は多く、課題に対し満足度高く解決すると更なる課題への挑戦や、時間をうまく活用することで更に進んだ施策を実施できるというところを多く見てきたため、継続意思が高いというところは実感として納得度が高い。
まとめ
今回の業務委託活用調査においての結果を見ると、業務委託活用が思ったより進んでいるなというのが印象として残りました。
そして、業務委託者への満足度も比較的高く、業務委託をうまく活用できている状態になっているとうことも見えてきました。
業務委託の依頼では課題に対し、成果も明確かつ高く要求がされることが多い中で、このような結果はパラレルワーカーやフリーランスのような働き方で生きていけるレベルの高いスキルを持っている方が多く集まっているということも直結しているのではないでしょうか。
まだ活用していない企業も全体の約40%とまだ多い状況ではありますが、企業の課題に対し、短期的や部分的にアウトソースすることで解決するのであれば業務委託を活用し、社員にはもっと上流工程の業務や、社員のレベルを高めるなど様々な活用の選択肢が業務委託活用にはあると思っています。
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