【人事制度の理解度調査レポート】社員の人事制度の理解度は約50%。人事制度が働くモチベーションに寄与することが明らかに。
近年、働き方改革や副業解禁など、働く環境は著しく変化し、そのような中人事制度の重要性がますます高まっています。人事制度は、従業員のモチベーション向上や能力強化にも寄与し、企業の競争力を強化に影響します。しかし、策定された制度も適切に運用されなければその効果は半減します。実際には、人事制度の運用がうまく行われていないケースもあり、組織全体の成果に影響を及ぼすことがあります。そのため、策定だけでなく、運用も重要視されています。
本記事では、人事制度の理解度に関する調査をおこない、人事制度の理解度は働き方にどのような影響を与えるかについて分析した結果をまとめました。
目次
調査サマリ
【調査概要】
「人事制度の理解度調査」
◾️調査対象:正社員として働く⽅
◾️有効回答数:618件
◾️調査期間:2024.03.06〜 2024.03.08
◾️調査⽅法:Webアンケート調査
主な調査結果
・一般社員の約50%が自社の人事制度を理解していないと回答。役職別に見ると上位役職者になるにつれ理解度は高まる傾向。全体の人事制度理解度は約60%にとどまる。
・人事制度理解と、働くモチベーションや各従業員視点での生産性の高さは比例する。他にもコミットメントや会社への愛情も相関性があることが判明。
・人事制度を理解していると認識している社員も詳細項目単位で調査すると、実は「評価サイクル」「評価基準」の項目を理解していないことが判明。
・評価の振り返り頻度と人事制度の理解度の相関性はない。ただし、実施有無は大きく影響。
一般社員の47.7%と約大半が人事制度を理解していないという結果に
調査結果からは、特に一般社員の人事制度理解度が低いことが明らかになりました。
「理解している」と回答したのは全体の14%に過ぎず、「あまり理解していない」および「理解していない」と感じている社員が合計で全体の約半数に近い47.7%にも上りました。
これに対し、役職付きの社員では階層が上がるほど理解度もあがり、部長級社員においては84.4%が理解している結果となりました。
役職レイヤーで理解度に差があり、役職単位で理解度を上げていく手立てが必要だと考えられます。
人事制度理解が高い社員は「働くモチベーション」「各従業員視点での生産性」ともに高い数値に
人事制度への理解は、社員の働くモチベーションと従業員視点での生産性の高さと密接に関連しています。高いモチベーションと生産性を持つ社員は、それぞれ約87%と89%が制度を理解しているという結果になっています。
一方で、低い社員は人事制度の理解度も低くなっており、働くモチベーションが低い社員で理解度は約40%、従業員視点の生産性が低い社員では約39%と理解していない人が大半となっています。また、「コミットメント」「会社への愛情」といった項目でも同様の傾向が見られる結果となりました。こちらのデータは詳細版に記載しております。
人事制度を理解していると回答した人でも詳細項目単位では「評価サイクル」「評価基準」などを理解していないことが判明
人事制度を「理解している」と回答する社員も、評価サイクルや昇格/降格基準など具体的な項目においては完全に理解していない場合が多いことが判明しました。特に、「評価サイクル」「評価基準」「等級数」「昇格/降格基準」といった直接収入には影響しない制度の理解にあいまいな部分が存在することが明らかになりました。
これらのデータは、人事制度の詳細項目が十分に理解されていないと、社員が自身のキャリアパスを計画する上で重要な情報を見落とすリスクがあることを示しています。収入に直結しない項目であっても、評価や昇進のプロセスを透明にし、社員が自身の立場と将来性を正確に理解できるような仕組みが必要と考えられます。
評価の振り返り頻度を多くしても、理解度が進むことはない
上記の調査結果によれば、評価の頻度は人事制度の理解度とは直接的な関係がないことが示されました。
年1回の評価であっても、毎月であっても理解度に大差はなく、「振り返りはない」状態では理解不足が顕著になります。これは、評価のサイクル数よりも質や方法が理解を深める上でより重要であることを示唆しています。
まとめ
本調査では、社員の理解度と働くモチベーション、生産性といった要素との間には重要な相関関係があることが浮き彫りとなりました。
特に、評価サイクルや昇降格基準のような人事制度の詳細項目に関して「理解している」と自認する社員でさえ完全に理解していないケースが存在する点、評価の振り返りの頻度よりも実施の有無や仕組みの方が理解度に大きく影響する点は、今後の人事施策における具体的な改善のヒントとなるでしょう。
この調査結果が、社員のキャリアパスの計画と企業文化の強化において、各企業における最適な人事制度の運用・設計における参考となれば幸いです。
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