【MVV浸透実態調査レポート】社員の半数がミッション・ビジョン・バリュー(MVV)の存在を知らない実態。効果的なMVV浸透施策を探る
近年、ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)を策定し、従業員のエンゲージメント向上や生産性向上を図る企業が増えています。しかし、MVVを策定したとしても従業員がその存在を認識していなかったり、内容を理解していなかったりした場合、その効果が十分に発揮できるとは言えません。そこで、MVVの浸透に関する実態を明らかにし、効果的なMVV浸透施策を見出すために、「MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)の浸透実態と与える影響に関する調査」をおこないました。
本記事では、MVVの浸透度やMVVの理解度は働き方にどのような影響をあたえるかについて調査・分析した結果をまとめています。
目次
調査サマリ
【調査概要】
調査対象:雇用形態 正社員の方
有効回答数:618件
調査期間:2024.03.06~ 2024.03.08
調査方法:Webアンケート調査
主な調査結果
・社員の45.4%がMVVの存在を認知せず
・MVVを認知している社員の中で、好意的に捉える人は約80%
・MVVの認知を高める施策TOP3は「唱和の場」「名刺」「メールの電子署名」
・MVVの認知が高いと働くモチベーションと生産性も高い傾向に
社員の45.4%がMVVの存在を認知せず
上記の調査結果より、90.1%の社員がMVVがあるもしくはわからないと答え、MVVはいずれもないと答えた社員はわずか9.9%で、多くの会社でMVVが設定されていることが明らかになりました。
MVVがあるもしくはわからないと答えた社員のみで詳細調査したところ、MVVを認知していない社員が45.4%存在し、半分近い社員がMVVの存在を知らないことが明らかになりました。
また、存在自体は認知しているものの内容までは覚えていないという社員は14.2%存在し、上記の未認知を合わせると半数以上がMVVの内容を認知していないという結果となりました。
一方でMVVの内容を完全に覚えているのはわずか5.9%と非常に低く、内容を完全に浸透させることが非常に難しいことが示唆されています。
MVVを認知している社員の中で、好意的に捉える人は約80%
MVVの内容を「なんとなく」以上認知している社員に「理解・好感・共感」の観点で調査したところいずれもポイントが高く、70%以上という結果となりました。
基本的にはMVVは好意的に受け止められ、共感している社員も多いことがわかりました。
MVVに触れる機会は半年に一度以上で認知度が高まる
MVVを「完全に覚えている」「だいたい覚えている」と回答する社員と「なんとなく覚えている」「覚えていない」と回答する社員それぞれ比較すると、半年に1回以上頻度でMVVに触れる機会があることで率に差異が出ていることがわかりました。
一方で半年に1回以上多くしても認知が高まるという比例する結果は見受けられなかったため、触れる機会の多さよりも認知を高めるコミュニケーション施策に影響するという可能性があると考えられます。
MVVの認知を高める施策TOP5
1位:唱和の場(71.9%)
2位:名刺(71.1%)
3位:メールの電子署名(68.6%)
4位:社員証(66.7%)
5位:MVV浸透目的の研修(60.9%)
※数値は「完全に覚えている」「だいたい覚えている」と回答する社員がMVVに触れる場として回答した結果
MVVの認知を高める施策としてMVVの研修は効果はあるものの、それ以上に普段接点が多い場所やある程度強制的に口に出すような唱和する場所のような施策が効果として出ていることが見えてきました。
MVVの認知が高いと働くモチベーションと生産性も高い
上記の調査では社員個人が認識している「働くモチベーション」と「個人が考える生産性」の高さを追加調査し、MVV認知との関連性を調査しました。
MVVを覚えている社員は働くモチベーション及び従業員視点の生産性は約60〜80%の社員が高いと答え、非常に高い結果になりました。
一方でMVVの認知が低いやMVVがない社員ほど働くモチベーションと生産性は低く、MVV自体の存在があるか不明と答えた社員では約60%の社員が働くモチベーション及び従業員視点の生産性は低いと回答しました。
まとめ
今回の調査結果から、MVV認知の低さが明らかになりました。半数近くの社員がMVVの存在を認識していない現状は、MVVの浸透がいかに難しいかを示唆しています。しかし、MVVを認識している社員の多くは、その内容を好意的に受け止め、共感していることが確認できました。
また、MVVの認知度が高い社員ほどモチベーションや生産性が向上する傾向があり、戦略的な認知・共感を促進するコミュニケーション施策を行うことで、組織全体の生産性向上に繋がると考えられます。
こうしたMVVの効果的な運用は決して簡単ではありませんが、各企業におけるMVV浸透・生産性向上施策の参考となれば幸いです。
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