【対談インタビュー】採用から組織を変える力を育てる。マクロミルと外部人材が共創する人事と組織のかたち。
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CORNERを活用して、人事課題解決/事業推進を行った企業にインタビューをする「対談インタビュー企画」。今回ご紹介するのは、株式会社マクロミルの事例です。市場や社員の価値観の変化に対応し、人事戦略を再策定。「持続的成長」から逆算した採用のプロジェクトが推進されています。その取り組みの背景や成果について、人事本部長 森澤さん、採用の責任者である荒川さん、プロジェクトに関わっているパラレルワーカーの神戸さんにインタビューしました。
■この事例のポイント
・「社員と社会から選ばれる組織」を目指し人事戦略を3本柱で再設計。採用・定着の連動によって、離職率を13.0%→8.3%まで改善。
・中途採用の属人性を解消し、外部人材と協働でプロセスとKPIを可視化。採用体制の標準化と改善サイクルの定着を実現。
・外部人材を“仲間”として受け入れる土壌が、単なる支援ではなく「共創」をうみ、その関係性や仕事の姿勢が組織変革の起点となっている。
<プロフィール>
■森澤 隆行(もりさわ たかゆき)/株式会社マクロミル 人事本部長
2018年に株式会社マクロミルに中途入社後、人事企画・HRBP・複数のM&Aをハンズオンでリード。2024年より人事本部の責任者として、社員のエンゲージメント向上、健康経営推進、グループ子会社のガバナンス整備など戦略人事に取り組む。現在は、人事本部の人材と組織力の向上に注力し、メンバー一人ひとりが将来人事パーソンとして会社や社会でリーダーシップを発揮してくれることを楽しみにしている。
■荒川 大佑(あらかわ だいすけ) /株式会社マクロミル タレントアクイジションユニット長
新卒で外資系メーカーに入社し、営業職を経験。その後、APAC地域を対象としたマーケティング流通戦略の構築・推進を担当。その後、日系自動車メーカーのグループ会社で人事責任者として人事制度の設計や組織開発に携わる。2021年に株式会社マクロミルへ入社し、人事企画およびHRBPを経て、現在はタレントアクイジションユニットの責任者を務め、新卒・中途あわせて年間150名規模の採用に従事。効率的かつ戦略的な採用の実現に向け、企画立案から施策推進まで幅広く取り組んでいる。
■神戸 直樹(かんべ なおき)/パラレルワーカー
新卒で人材会社に入社し、法人営業を経験。その後、アクセンチュアにて戦略人事やPM業務に従事。3社目より人事職に転じ、前職では外資系IT企業にて採用責任者を務める。通算12年間にわたる人事経験では、採用業務を中心に、面接官トレーニングの講師、教育・研修の企画運営、人事制度の構築・運用などに携わる。現在はパラレルワーカーとして3年目を迎え、複数企業の採用活動を支援している。
目次
社員と社会から選ばれる会社へ。マクロミルの人事戦略3本柱
──マクロミルさんと長くご一緒させていただいている「採用」のプロジェクトについて、人事戦略における位置付けや今現在の評価を伺いたいと思います。まずは人事戦略について教えてください。
森澤さん:現在、正社員が1,200人弱おり、その中で人事部門は22名体制で、派遣スタッフや業務委託の方も加わって複数チームで構成されています。中でも、重要視しているのが、「人材から選ばれる組織になること」です。
当社はちょうど今年で25周年になりますが、インターネットの黎明期からリサーチの方法にイノベーションを起こし、未開拓のマーケットを拡大させてきました。企業としても15年、20年成長を続けてきており、「この会社に入れば成長できる」という認知形成がされ、自然と成長意欲の高い人材が集まっていました。ただ、市場の成熟とコロナによる働き方の意識変化が起こり、ここ数年は様子が変わってきています。
「成長」と言っても多義的になっていると感じます。5年ほどの短期的な成長だけが成長ではないのではないか、キャリアステージが変化しながらも持続的成長を続けられる状況を目指していけるのではないか。
内外の環境変化に対応するために、「社員や社会にとって会社はどう存在すべきか」、会社自体の意識を改め直す機会になりました。「成長できる」という組織の根源は変えずに、人事として社員に提供できる価値にコミットしたものが以下の3つの柱です。
・挑戦できる環境があり、それぞれのキャリアを築けること
・競争力のある評価・報酬制度で社員の期待に答えること
・ライフステージに応じて安心して働ける柔軟性を持つこと
この3本柱をベースに制度改定や組織改革を進め、現在離職率は13.0%から8.3%に改善するなど、実績も着実に現れています。
──素晴らしい改善ですね。組織や制度改革などの影響が大きいものの、採用の成功がこの結果に繋がっている面もあるのではないでしょうか。
森澤さん:間違いなくそうです。従業員に長く働いてもらうことは、会社の事業運営上間違いなく好影響です。習熟度が高いと、生産性の高さに繋がる。売り上げの利益率にも繋がります。
そのため、離職されない「ミスマッチのない採用」が非常に重要です。ミスマッチが少ない状態をキープしていけば、5年先の成長に必ず上積みされます。このロジックがわかっているので、採用要件や採用プロセスそのものを見直してきたのがこの2年ほどです。まさに荒川と神戸さんの協力で進めてもらったところになります。
採用組織の状態に抱いた危機感。課題を掘り下げ、採用プロセスの改革へ。
──荒川さんや神戸さんが採用プロセスの改革に取り組んできたとのことですが、当時どのような課題があったのでしょうか。

荒川さん:神戸さんに初めて関わっていただいた当時、採用方針はこれまでの大量採用を前提としたチーム構成から、質を重視する方針へと転換していました。それに伴い、採用企画や業務改善を通じたオペレーションの効率化が大きな課題となっていました。しかし、当時のチームは人員やそのような経験が不足しており、課題解決に向けて、豊富な経験を持ち、メンバーと円滑にコミュニケーションを取りながら実務を進めていただける方が必要でした。そこでコーナーさんに相談し、神戸さんにご協力いただくことになったのです。
着任前から遡っても採用目標数だけを見れば、ずっと達成しています。一方で、「なぜ採れたのか・採れなかったのか」「どんなプロセスでゴールに結びつけられたのか」を振り返ることができないために経験が知識として蓄積されていない状況に課題感を持ちました。
もうひとつ私が感じていたのが“変化の必要性”です。マーケットトレンドや外部の新しい知見を取り入れて、自分たちの仕事を進化させていくためには変化を促す組織の雰囲気や仕組みが重要であると考えました。そんな組織の雰囲気が感じられませんでした。
──その変革を推進するために、神戸さんを巻き込むことになったのですね。
荒川さん:そうです。そうした課題感をコーナーさんにお伝えした時に、神戸さんの知見・専門性にもっと頼ってはどうかとご提案をもらいました。お人柄やコミュニケーションの面でいいチームづくりができる期待は既にあったので、体制構築面においてアドバイザリーを担っていただきたいとお願いした流れです。それが改革の転機になったと思います。
神戸さん:私は2023年の4月から、別の会社の社員でありながら複業という形でマクロミルさんに参画させていただきました。関わり出した初期の頃は「チームメンバーと連携しながらスピードを早めること」をメインに面談やスカウト運用などを支援していました。一方で、荒川さんの仰る通り、体制や仕組みの部分で課題があると感じていて、そもそも何故このやり方になっているのか、もっと根本的なところから確認して検討する必要があるのではないか、と自分なりに考えていたところでした。
荒川さんからチームの意識や体制構築のビジョンを共有いただき、私自身もマネージャーとしての経験値もございましたので、、お考えを理解・共感でき、ぜひ一緒に改善に向けて進めていきましょうと一致団結した流れです。
個人的には、当時勤めていた職場と異なるフェーズで採用のスキル・経験を活かしたいと思ったのが関わるきっかけでしたが、マクロミルさんの組織の内側に入り込んで採用の課題を一緒に掘り下げ、上流の工程を見直していくというのは、大きなやりがいを感じました。
採用のあり方の変化が、組織の変化のきっかけに。
──体制構築から仕事の意識に至るまで、大きなプロジェクトでしたね。どんなことから取り組まれたのでしょうか。
神戸さん:まず取り組んだのが、マニュアル作成や採用フローの整理、工数管理の仕組みづくりでした。特に、属人化していた業務や運用負荷について数値をベースに可視化しました。
スタンスや候補者との関わり方など、ソフト面をいきなり変えると、ハレーションが必ず起こります。どちらかというと運用面、仕組みやルールの整理整頓から着手したのもそれらのリスク回避が念頭にありました。工数管理表もあくまで客観的ツールの位置付けで導入し、各自がどこに時間を使っているかを把握して改善要素を可視化します。関わるメンバーにとってメリットがあるような見せ方により、徐々に納得・協力を仰ぐ段階的なコミュニケーションを進めました。
進め方については、元々、荒川さんの方である程度の骨子がありましたので、0→1というよりは、100に近づけていくよう一緒に進めるような動き方です。
荒川さん:これまでKGIである採用数を求められ、実績を出してきたメンバーからすると、「なぜ変えるのか、なぜ今やるのか」という疑問が当然あります。従来とやり方が変わるのはストレスでしかないわけです。一方で、誰かが辞めたら頓挫するとか、自分がいなくなったら元の状態に戻る、というような組織の状態には絶対にしたくないという思いが強くありました。必要な施策を積み上げて、やるべき工程をちゃんと可視化する。そうして課題を解決していく先に強い組織が作られるはずなので。そうした状態を目指していました。
神戸さんには、チームメンバーの面談にも入ってもらい、もっている知見から業務のアドバイスをいただいたり、コーチング的な接し方をしていただいたりしました。

──体制が運用フェーズに移ったことで、社内にどのような変化が起こったのでしょうか?
荒川さん:採用の「振り返り・改善プロセス」が可視化され、チーム全体のPDCAサイクルが定着してきています。属人的だったプロセスが再現性の高いものになっただけでなく、組織として注力する部分・効率化する部分を見極めた結果、仕組みで選考スピードを10日近く短縮することができました。より筋肉質な採用が実現できていると思います。
クイックウィンを生み出し続けることが出来るようになり、若手メンバーの成長も相まって組織力は明らかに向上しています。完全に正の循環になったと感じています。
森澤さん:採用の改善プロセスを通じて、組織への影響もありました。
人事部門の中で「市場の変化を取り込む思考と行動様式」と「長期的な視点と企業のCSRの視座」、この2つの考え方を全員に実践してほしいと思っています。大きな組織になってきた中で、以前の状況から一人ひとりが変化していく必要が出ているためです。外の変化を知っている神戸さんを味方につけながら、まさにその思考と行動様式を実践しているのが荒川であり、また神戸さんです。2人の仕事が他のメンバーにとっても新しい気づきに繋がっていると感じます。
戦略実行のパートナーかつメンター。外部人材を“仲間”にする力。
──荒川さんにとって神戸さんは戦略の壁打ち相手であり、メンター的存在でもあったとお聞きしました。
荒川さん:そうですね。当時はチームにシニア層が少ない中で、神戸さんには本音をぶつけながら、戦略・実務の両面でアドバイスいただけて、意思決定のスピードと質が上がったと実感しています。
また、KGIである採用数は既に達成できている組織であったため、このタイミングで物事を変えることにはスピードだけでなく確実な前進も求められます。そのため、「この方向でいいのか?」「今この施策を入れるタイミングなのか?」といった判断の場面で、課題や状況を理解してもらいながらも、第三者視点でフィードバックをしてくれる心強さがありました。海外や他社の事例を含めて調べて方向性を定めたり、幹部のヒアリングによりフィジビリティ(実現可能性)を検証・提案してくれたり、その壁打ちの過程で思考整理にもつながっています。
神戸さん:荒川さんからも、やりたいことの構想や方向性イメージを毎回明確にいただいていたので、それに対して「こういう順番がよいのでは」「この進め方はハレーションが起きやすいかも」といったアドバイスを返しながら、少しずつ形にしていきました。
様々なことを共有していただき頼っていただけているからこそ、私自身もマクロミルさんの一員の気持ちでプロジェクトに臨んでいます。
──お二方の対話の質や量は、プロジェクト成功のポイントのように感じます。森澤さんからみてどうお感じですか。
森澤さん:私から見てもそう感じます。「とりあえずこの業務をお願いします」ではなく、目的や背景、現時点での仮説やわからない点などをきちんと共有する。そこが不十分だと、どうしても受け身の関係になってしまいます。専門性のある外部の方を適切に巻き込んでいくためには、こちらの準備とスタンスが本当に大事だということを改めて感じました。
コミュニケーションも工夫がいる点です。早速取り入れてはいるが実はよくわかってなかった、という状況を生まないように「誠実さ」の積み重ねがお互い気持ちよく仕事ができて、「マクロミルとの共働っていいね」と思ってもらうことに繋がると思っています。
いいチームづくりで推進するマクロミル人事のこれから
──今後、マクロミルとして採用や組織づくりにどのように取り組んでいく予定でしょうか?

神戸さん:荒川さんより、一定の体制構築ができたとフィードバックをもらっているので、今後は定着に向けた改善アクションの運用フェーズです。私としても、引き続き関わらせていただき、本当の意味で採用の成功、定着化にコミットさせていただければと思っています。
たとえば、面接官トレーニングや、入社後のオンボーディング体制の整備など、ソフト面の改革がこれから取り組むテーマになるかなと思います。
荒川さん:まさに神戸さんが言って下さったことがすべてですね。本当に解像度高くご理解いただけていて心強いです。おかげさまで採用の体制がいい形で動いており、私自身はプロジェクトマネジメントにフォーカスしながら、運用が実際に軌道にのっていくよう、神戸さんにプロの視点で見ていただく。このコンビネーションで引き続き定着のフェーズもやっていきたいです。
森澤さん:同じ方に伴走いただける点も価値だと捉えています。戦略や進め方など前提の理解がある状態なので、神戸さんには早速次の工程でも力を発揮してもらっています。
コーナーさんには課題整理からプロジェクト全体の推進まで一貫してサポートしてもらっています。最初は実務面、現在は戦略・体制面というように助言の重点を切り替えていただいたり、我々の状況やフェーズに合わせて、必要な専門性を見極めて提案いただける柔軟性を評価しています。
今後も荒川・神戸さんのように、社内と社外で線が引かれることなく、同じ船にみんなで乗っかっていくような、そんなチームをたくさん増やして人事への影響も高めてもらいたいです。
このスタイルが文化として根付けば、人事全体のアップデートにもつながると確信しています。いいチーム作りを通して、マクロミルらしい人事のあり方を模索していきたいです。
編集後記
株式会社マクロミルが取り組む、組織の持続的成長を見据えた人事戦略と、それに呼応する中途採用。属人化していた採用の仕組みにメスを入れ、社内外の協働で一つずつ変革していく様子は、“共創”という言葉がしっくりきました。
特に印象的だったのは、採用マネージャー荒川さんの組織作りへの想いと誠実さ、その想いを汲み取り孤軍奮闘にならないようにフォローする神戸さんの信頼関係です。人事部門の変革において、外部のプロフェッショナルの力が「仲間」として機能することの重要性を実感させられる内容でした。採用を起点にどんなチームが生まれていくのか、今後も非常に楽しみです。



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