プロフェッショナル人事を経営の味方に

interviewsインタビュー, 企業インタビュー
インタビュー, 企業インタビュー

成長戦略を支えるスペシャリストを毎月採用!現場を巻き込み、短期間で成果を残せた理由

インタビュー, 企業インタビュー

コーナーへのご依頼やお問い合わせはこちら

VUCAの時代と言われ将来の予測や市場ニーズの変動が激しい今、新たな事業を生み出すためにこれまでの社員とは異なる人材を採用したい、というケースも増えていくでしょう。

今回取材をしたセゾン自動車火災保険株式会社は、代理店型の販売が主流だった損保業界において、インターネット上でユーザーが直接保険契約をできる「ダイレクト損保」を展開する企業です。大きなポテンシャルを秘めたこの分野で、新しい取り組みにチャレンジできる人材の獲得が必要でした。

従来の採用手法から戦略的な採用へ切り替える中、専門性の高いパラレルワーカーの活用をスタート。同社にとって初となるダイレクト・ソーシングの取り組みで、短期間で成果を残せた背景にはどのようなストーリーがあったのでしょうか。

パラレルワーカーの上田啓太さんにも参加いただき、そのポイントをお伺いしました。

<プロフィール>

■坂倉久美/セゾン自動車火災保険 事業管理部 人事総務ライン
現・損害保険ジャパンで代理店営業を経験したのち、社会保険労務士資格に合格。社内ジョブチャレンジ制度を利用し同社人事部に着任。その後、2011年セゾン自動車火災保険へ入社。顧客接点部門を経験し、人事総務に着任。労務管理などの業務担当を経て、採用業務全般のリードに携わり現在に至る。

■上田啓太/パラレルワーカー
新卒でマイナビに入社し、6年半転職サイトの法人向けコンサルティングに従事し、数々の表彰歴を持つ。その後、エンジニア採用支援などを行うベンチャー企業において、人事責任者(中途/新卒採用、研修等)となる。年間80名のエンジニア採用支援などの実績を残したのち、HRTech企業のフィールドセールス、HRベンチャー企業にて採用コンサルティングを経験。2020年4月よりMirise up株式会社を設立し、現在に至る。

市場に少ない専門人材獲得のためダイレクト・ソーシングを開始。パラレルワーカー活用へ。

——もともと、上田さんにお任せする前はどのような採用体制でいらっしゃったのでしょうか。

坂倉さん:採用専任担当は置いておらず、メンバーは採用と育成の業務を兼任しています。私は今年度からキャリア採用に関わるようになったのですが、採用以外に次世代リーダー層や若手層など、各レイヤーにフォーカスした人材育成研修の企画立案・実施などを兼任していました。

新卒採用も毎年行なっていますが、こちらも専任制ではなくチーム全員で担当しており、私自身も一次面接の面接官や、WEBセミナーコンテンツの企画・作成、インターンシップ等に携わり、少数精鋭でやっていました。

——キャリア採用についてはどのように取り組まれ、どのような課題があったのでしょうか。

坂倉さん:キャリア採用は年間20名ほど行っていましたが、ほとんどが顧客接点部門の人員で、要員補充のために同業他社で経験がある方を採用していたので戦略的なキャリア採用は実施していませんでした。そのため、エージェントも1社しか利用していない状況でした。

ただ、ここ数年で私たちを取り巻く事業環境はハイスピードで変化しています。弊社が現在描いている成長戦略においても、世の中の動きやニーズの変化を捉え、世間で支持されているサービスを徹底的に調べ上げて自社のサービスに磨きをかけることが重要となっており、そのために必要な人材をキャリア採用で早期に獲得する必要がありました。

例えば、顧客接点から見えてくる課題を正確にキャッチアップするためのマーケティング人材や、顧客行動データ等のビッグデータを分析するデータサイエンティスト、そして、お客さまへサービスとして還元するために開発を行うシステム人材などです。

今までは定期人事異動による配置転換で適材適所を目指してきたのですが、こういったポジションの方を即戦力で配置するにはキャリア採用で獲得してくるしかありません。
スピード感を持って、専門的な人材を採用することが求められていました。

——その中で、今回上田さんに採用をお任せしようと思われた背景はどのようなものだったのでしょうか。

坂倉さん:これまでは保守的に行なってきた採用活動でしたが、これからは戦略的に専門人材にアプローチをしていかなければいけない。そのためにダイレクト・ソーシングという手法を開始することに決めました。

ただ、これまでそのような採用活動をしてこなかったこと、キャリア採用だけを専任で行う担当は置いていなかったことから、外部のプロに入っていただくことでより効率化を図り、確実な成果へと結びつけることができるのではないかと考えました。専門人材を市場から獲得するための母集団形成には、プロのテクニカルな経験が必要だと思ったので。

また、スカウトメールの発信や候補者への対応、応募書類の確認や面談など大幅な時間的負荷もあります。さらに、お声がけした全員から反応があるわけではない中でスカウトを続けていくには改善や工夫が必要ですし、スカウトサイトの情報だけで判断できないような方がいらした場合にどのように評価をしていくか、などもノウハウが必要です。そういった点も含めてすべてお手伝いいただける、というところが魅力的でした。

毎月1名ペースで専門人材が入社!プロジェクトを成功に導いたポイントとは?

——具体的にどのようにプロジェクトを進められたのでしょうか?今回、3カ月の契約期間で複数ポジションの採用目標達成という成果を出すにあたり、ポイントになった部分をお聞かせください。

マーケター、データサイエンティスト、システムコンサルタントなど、スキルが高い方の採用をお願いしました。

最初はスカウト運用代行ぐらいのイメージでお願いしたのですが、そこは実際にお願いしてみて大きく違いましたね。応募転換率を見てアプローチ方法の変更や改善をテクニカルに行なっていただいたり、スカウトの技術的なノウハウを社内に残していただくこともできました。

取り組みのポイントとしては、当初は上田さんにピックアップしていただいた候補者をまずは私がチェックしてから応募ポスト部門の判定に回していたのですが、途中からは上田さんから部門に直接流してもらうように変更した点がよかったと思います。上田さんが作成した母集団へ、部門から様々なフィードバックをダイレクトに当ててもらうことで、どこがミスマッチだったのか毎回上田さんの中でPDCAが回り、部門オーダーとのマッチ度がどんどん上がっていきました。

また上田さんにはかなり時間を割いていただいて、定例ミーティングの実施以外にも、Chatwork(チャットワーク)を活用してデイリーのコミュニケーションを密に交わしていました。

お任せすると動きが見えづらくなることもあると思うのですが、進捗の把握がタイムリーかつ細かくできたので、お互い無駄な動きを取ってしまうこともなく採用活動を行うことができました。

上田さん:スカウト代行の業務って週何十通・月何百通みたいな契約もあると思うのですが、これはあまり本質的でないと思っていて。そこを坂倉さんが理解してくださって、取り組みの中で色々変えていけたことが大きかったです。

やってみて気付くことって沢山あるので、もちろんパターンとして月200通を送ることが良いケースもあれば、送信数よりもスカウトのリスト作成に時間をかけるべきこともあります。

セゾンさんの場合、数を送るよりも、部門の方が会いたいと思う人材の母集団形成が重要だと思いました。「この方はターゲットに合致しているのでは」と思った方が部門でNGだったり、判断に迷った人材が部門でOKだったりが最初のうちは多くて。なので坂倉さんがおっしゃるように、部門の方から直接フィードバックを貰ってトライ&エラーを繰り返し、最初の1カ月でPDCAを回し切れたことがポイントだったと思います。

——最初の1カ月でPDCAを回せたというのはとても早いですね。成果もすぐに出たのでしょうか?

坂倉さん:上田さんに手伝っていただいてから、毎月1名ペースで内定の実績が出ており、とてもハイペースで採用ができています。ダイレクト・ソーシングは始めてから成果が上がるのに3カ月ぐらいは掛かると思うのですが、スカウトの応募転換率はスタート時は30%を超えていて、2カ月目以降をならしても19%以上ありました。(※注釈:利用していた媒体の平均応募率は10%未満)

また、コストを使って施策を走らせている以上、成果や進捗を部内にレポートする必要がありますが、可視化したデータを毎週整えてくださっていたので、私の方でも常に状況を把握してタイムリーに社内レポートができて、業務の見える化・効率化につながりました。

上田さん:成果を出すためのアクションはA/Bテストの繰り返しだと思っていて、色々な数字をとっておかないと、行動に対して結果何が良かったのかが分かりません。

セゾンさんの場合は、母集団形成した候補者数・スカウト配信数・開封数(開封率)・応募数(応募率)・部門面接数をとっていました。部門面接数というのは、応募が来たけれど確度が読めない方との初回面談は私が行なっていたので、はじめから部門面接になった数をカウントしていました。

ダイレクト・ソーシングって、やり始めのときが一番対象者も多いので成果が出やすく、その後も継続して成果を出していくには見直すことが必要ですよね。そのときにこういった数字が絶対に必要になるので、データは常に整えていました。

部門・人事・パラレルワーカーの協力体制をつくるコツとは?

——お話を伺っていると、部門の方もかなり柔軟に採用に関わっているのかなと思いましたが、この協力体制はどのように作られたのでしょうか?

上田さん:坂倉さんが、応募ポスト部門との間にかなり入ってくださいました。例えば先ほどの候補者フィードバックの話ですが、部門を巻き込んで直接見てもらった方が早いのではないか、とすぐにテストマーケティングを進めたり。坂倉さんが成果のため向き合って、準備をして、私がやっていることを社内でちゃんと伝えてくださっていたから、スムーズに進められたと思います。そこで実際に部門の方にも評価していただけるようになり、すごくやり易くなりました。

坂倉さん:最初は私の目でスキルを確認し、スカウトを発信する候補者の選定をしていました。しかし専門人材のスキルジャッジをするには私では理解不足な点も多く、直接応募ポストの部門長に見ていただくことで、必要な人材を必要な部門へ確実に配置させることができるのではと考えました。結果このルーティンがうまく回りはじめ、スカウトの確度が上がっていったことで、応募転換した時点で一次面接をセッティングするというスピード感があるスキームを構築することもできました。
最初の一週間から応募数が6〜7名など反応が大きくダイレクトリクルーティングの成果が見えたことで部門の興味をひくことに成功したので、角度高く母集団形成をしてくださった上田さんの経験の賜物だと感じます。

また要所要所で、経験値から「そんなアクションができるんだ」という興味深い提案をしてくださる点も信頼に繋がりました。例えば、ただ一辺倒にスカウトを送るのではなくて、ちゃんと弊社の求人票までたどり着いてる方(スカウトメールを開封している方)に、内容を工夫して再配信をするなど、こちらでは思いつかなかった提案がありました。

——上田さんの中で、部門の方とのコミュニケーションで意識されたことはありますか?

上田さん:外部人材を使う理由って効率よく必要な人を採用したいからだと思うのですが、その成果を出すための道は、私だけで作れるものではなく、一緒に作っていくものだと思います。そのためには必要なことを遠慮なく言わせていただく場面もあるので、まず信頼関係を築くということを私はとても大切にしていました。当たり前のことは当たり前に、じゃないですけど、アクションを明確に提示して期日までに実行をするなど、日々のコミュニケーションで信頼は生まれるものだと思うので、そこを一番大切にしていましたね。

坂倉さん:コミュニケーションと信頼って、本当に繋がっていると思います。上田さんは結果にすごくこだわって進めてくださっていてプロフェッショナル意識が高く、最終ジャッジで内定まで持っていけない場面では、自社のことのように悔しがって要因と課題分析をされていました。そういったコミュニケーションをデイリーで密にとり続けたことで、お互いに信頼関係が自然と生まれ、「戦友」になっていたような感覚です。組織では各々が個々に仕事を抱えている部分も多くある中で、経過を共有できる人も多くはないので、メンタル面でも深い繋がりを持つ存在になっていきました。

——最後に、外部人材の活用を通して感じたこと、ご意見などをお願いします。

坂倉さん:キャリア採用で労力がかかる部分を専任で担っていただけたことや、数字を見ながら全体管理までを実行いただけて、採用活動を戦略的かつ効率的に進めることができました。特に、多くの候補者からターゲットを選定する工程は市場を知り尽くした豊富な経験値が必要ですし、時間的労力もかかります。この工程を担っていただけたことで、選定した候補者のジャッジを行うフェーズから部門に入ってもらうことができ、結果として効率的で戦略的なキャリア採用のスキームを構築することに成功したと思います。

今回の取り組みで「部門・人事・外部人材」の役割分担を上手く進められたことが部門とのコミュニケーションを深めるきっかけにもなり、これを皮切りに、その後もこれまで以上に部門担当者がキャリア採用に積極的に関わるようになり、人事が部門のオーダーをキャッチアップできるスピードも上がりました。

弊社のように各人事担当が採用と育成を並走させている体制の中で、必要なマンパワーとスキルを補うことができ、早期に結果に繋がる非常に有効な手段となりました。

編集後記

3カ月という短いプロジェクトの中で、坂倉さんと上田さんが採用パートナーとしての強い信頼関係を構築されていることが伝わり、その背景に共通のゴールとして「採用成功」にコミットするお二人の姿勢が感じられるインタビューでした。

難易度の高い専門人材の採用には、人事だけでなく部門の協力が必要不可欠です。外部人材が部門まで入り込むことは容易ではない中で、上田さんの結果へのこだわりと、外部人材を導入したからには成功させるという坂倉さんの責任感により協力体制が構築され、複数名の専門職採用という成果に繋がっています。

さらに、このプロジェクトをきっかけに部門と人事の関係性が深まり社内に好影響が起きていることからも、外部人材の活用は短期的成果だけでなく、今後の採用成功における土台作りでもあると言えそうです。

Category : インタビュー, 企業インタビュー
                  トップへ戻る