「オープンスペーステクノロジー」により組織の主体性を引き出す方法とは
参加者の主体性を尊重しながらオープンな話し合いによってアクションプランを創造する「オープンスペーステクノロジー」。自由な話し合いを通じた新しい発想・解決策の創出や、真のリーダーシップを育てる手法として期待されています。
今回は、「オープンスペーステクノロジー」の概要から活用ケース・実施ステップに至るまでを、大手~中小まで幅広い人数規模の組織開発プロジェクト推進経験を持つ株式会社MIMIGURIの湯川 卓海さんにお話を伺いました。
<プロフィール>
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湯川 卓海/株式会社MIMIGURI コンサルタント・ファシリテーター
大学卒業後、面白法人カヤックでのプロジェクトマネジャーを経て、現在は株式会社MIMIGURIのコンサルタント・ファシリテーター。大手企業からスタートアップ・中小企業まで幅広い人数規模の組織の組織開発プロジェクトを推進。2023年より、会社員の傍ら、個人として長野県を中心に人事・組織コンサルタントとして活動(介護事業会社の組織コンサルタント、ながの起業家創出プログラム「NAGA KNOCK!」やミライ構想カレッジ in 小布施の運営、プロジェクトマネジャー、ファシリテーターとして活動)
目次
「オープンスペーステクノロジー」とは
──「オープンスペーステクノロジー」の概要や特徴について、他の対話型ワークショップとの違いも踏まえて教えてください。
「オープンスペーステクノロジー」とは、参加者自身がその場でアジェンダを作り、情熱と責任をもって主体的に対話を進める『自己組織化』を尊重した話し合いの進め方を指します。5人から時には2,000人を超える規模まで対応可能で、複雑で緊急性が高く答えが1つではないテーマについて関係者全員の知恵とエネルギーを結集し具体的なアクションを生み出すことができます。
この「オープンスペーステクノロジー」は、1980年代半ばに組織コンサルタントのハリソン・オーウェン氏によって考案されました。考案のきっかけとなったのは、彼自身が企画した国際会議後に『事前に準備されたセッションよりも、参加者同士が “コーヒーブレイク”の時間で自発的に語り合ったことが最も価値があった』と気づいたことだと言われています。カンファレンス全体を1つの大きなコーヒーブレイクとして構成することに意味があるとの着想から、参加者の情熱と責任感を解放し、本当に話したいことについて深く議論できる場を創り出すことを目的に「オープンスペーステクノロジー」は誕生したのです。現在では、企業の組織開発・ビジョン策定・戦略立案から、地域コミュニティの活性化・社会課題の解決など、多岐にわたる分野で世界的に活用されるまでになっています。
ちなみに、この「オープンスペーステクノロジー」はホールシステムアプローチ(*)と言われる手法の1つであり、その中にはAI(アプリシエイティブ・インクワイアリー)、ワールドカフェ、フューチャー・サーチ、マグネットテーブル、フィッシュボール、プロアクションカフェなどさまざまな手法が存在します。立場や見解が異なり相反する利害関係にある人々が全員で納得できる合意に達するための話し合いである点はどれも共通していますが、手法によって重要視されている部分(アジェンダを生み出す、未来を描くなど)が異なります。「オープンスペーステクノロジー」は、『参加者の情熱と責任』と『具体的な行動の創出』にフォーカスしている点に特徴があります。参加者は自らが立てた問いに責任を持ち、解決策の実行までを視野に入れてセッションごとに対話をしてもらうことがならではのポイントです。
(*)ホールシステムアプローチとは、特定の課題やテーマに関わる関係者が組織や分野の壁を越えて一堂に会し、大規模な対話を通じて創造的な意思決定やアクションプランを生み出す一連の方法論の総称を指す。
「オープンスペーステクノロジー」の4つの原則と1つの法則
──「オープンスペーステクノロジー」を運営する上で重要な原則・法則があると聞きました。具体的にどのようなものなのでしょうか?
「オープンスペーステクノロジー」のファシリテーションにおいて特に重要なのは、『コントロールを手放し、場に起きることを信頼すること』です。その手法については後述しますが、その場を支えているものに『4つの原則』と『1つの法則』があります。「オープンスペーステクノロジー」の冒頭でこちらをグラウンドルールとして伝えることにより、自然と参加者が主体的に対話を進められるように促します。
【4つの原則】
(1)ここに集まった人が、適切な人です (Whoever comes are the right people.)
人数・役職・専門性にとらわれず、そのテーマに情熱をもって集まった人が対話を生み出すメンバーであるという考え方です。
(2)何が起ころうと、それが起こるべき唯一のことです (Whatever happens is the only thing that could have.)
想定外の議論や沈黙も、すべてに意味があるプロセスと捉えます。予定調和を求めず、場を信頼します。
(3)いつでも始まったときが、適切なときです (Whenever it starts is the right time.)
アイデアが熟すのを待ち、対話が自然に始まるタイミングを尊重します。時間に縛られすぎず、本質的な対話を優先します。
(4)終わったときが、終わりです (When it’s over, it’s over.)
議論が早く終わればそれで良く、長引かせる必要はありません。逆に、情熱が続くなら時間を延長するのが理想です。
【1つの法則】
・二本足の法則(The Law of Two Feet.)
参加者は自身の学びと貢献に責任を持ち、『その場で学んだり貢献したりしていない』と感じたら、自分の二本足を使ってもっと貢献できる他の場所へ移動してもらいます。
なお、参加方法の例として挙げられるものに『蝶』と『蜂』という言葉があります。全員が同じ姿勢でセッションに参加するのではなく、多様な関わり方をしても良いことを明示するために、1つの法則と合わせて伝える場合が多いです。
■『蜂』
セッションとセッションの間を移動する人。他のセッションで行われていることを伝えることでアイデアの交配を手助けする、蜜を運ぶ蜂のような役割。
■『蝶』
どのセッションにも参加しない人。会場を歩き回ったり、コーヒーを飲んだりリラックスしてもOK。蝶が集まって話し合いが始まり、新しいアジェンダが生まれるかもしれません。
※注意:『キリン』にはならないで
セッションに参加しながらも、首をキリンのように伸ばして他のセッションの様子を伺うのではなく、参加をしたらそこでしっかり議論に参加しましょう。
「オープンスペーステクノロジー」実施によるメリット
──「オープンスペーステクノロジー」を実施することで、企業はどのようなメリットが得られるでしょうか。
「オープンスペーステクノロジー」は短期的な課題解決だけでなく、従業員の主体性を引き出し、チームや部門を横断した協業を促し、変化に適応し続けるための1歩目を実現する場として非常に適しています。もし企業が以下のような課題を抱えているのであれば、有効な一手となるはずです。
・従業員の主体性やエンゲージメントの低さに悩んでいる
・組織の縦割りが進み、イノベーションが停滞している
・策定したビジョンや戦略が、現場に浸透していない
なお、より具体的なメリットとしては下記のようなものが考えられます。

(1)従業員の当事者意識醸成と、自律的行動の促進
通常の会議では参加者は聞く側・指示される側になりがちですが、「オープンスペーステクノロジー」では自分が情熱を持つテーマを自ら議題として提案するため、やらされ感はなく自分ごと化しやすい特徴があります。また「オープンスペーステクノロジー」のクロージングでは具体的なアクションプランにまで落とし込むため、終了後も参加者が自発的に行動を継続する可能性が高く、『会議はしたけれど何も変わらなかった』という事態を防ぐデザインになっています。
(2)潜在的な経営課題の発見と、イノベーションの創出
管理職などのジャッジを入れずに参加者が主体的にアジェンダ提案する場をつくることにより、普段の業務ではなかなか議題に上がらないような『現場が本当に課題だと感じていること』や『新しい事業の種となるような革新的なアイデア』がボトムアップで可視化されます。また、普段は関わることのない部署・異なる役職・多様な経験を持つ人々が『情熱』の共通項で1つのテーブルに集まり対話をすることで、単一部署生まれなかったような創造的なアイデアが生まれることにもつながります。
(3)組織の縦割りの壁を壊し、一体感を醸成
『学びや貢献がなければ移動して良い』という1つの法則により参加者は自由に動き回ることができ、普段は交わることのない従業員同士のコミュニケーションが活性化されます。また、「オープンスペーステクノロジー」の場では社長もマネジャーも新入社員も1人の参加者として『対等』です。誰もが自由にテーマを立てて発言できる場をつくることは、『役職や立場に関係なく自分の意見は尊重される』という心理的安全性を文化として醸成する大きなきっかけにもなります。
(4)経営と現場の相互理解と、ビジョンの浸透
経営層も一緒に入ることで、従業員がどのようなことに課題意識や情熱を持っているのかを直接知ることができます。経営が従業員のモチベーションの源泉を一次情報として理解することにより、より実態に即した経営判断もできるようになるはずです。また、『全社の未来』や『中期経営計画の実現』といった大きなテーマで「オープンスペーステクノロジー」を実施すれば、抽象的だったビジョンや戦略も各セッションでの具体的な議論を通じて参加者1人ひとりの自分ごととして解釈され、全社一丸となって目標に向かう力強い推進力が生まれます。
「オープンスペーステクノロジー」の実施ステップ
──「オープンスペーステクノロジー」を実施する際の基本的なステップや進め方について、効果を最大限に引き出すために注意すべきポイントと合わせて教えてください。
「オープンスペーステクノロジー」は基本的に以下5つのステップで進行します。

(1)準備(目的の明確化、テーマ設定、参加者の招待、会場準備など)
(2)オープニング(開催の目的・テーマ説明、4つの原則と1つの法則の説明など)
(3)アジェンダづくりとマーケットプレイス開設(テーマに沿って時間と場所を割り振ったものの作成)
(4)分科会セッション(参加者は関心のあるセッションへ自律的に移動し、同時並行で複数の対話が進行)
(5)クロージング(各セッションでの気づき・学び・生まれたアクションプランを共有し次へと繋げる)
この中でも特に重要なのが、『周到な準備』と、実施当日の『コントロールを手放す勇気』という一見矛盾した2つの要素です。これらの具体的なステップやポイントを『準備段階』と『当日のファシリテーション』に分けて詳しく解説します。
【準備段階】
「オープンスペーステクノロジー」の成否は、当日が始まる前の『準備段階』で8割が決まると言っても過言ではありません。そのポイントには大きく以下3つがあります。
(1)魅力的で”本質的な問い”としてのテーマ設定
テーマは参加者の情熱とエネルギーを引き出すために非常に重要なものです。ファシリテーター自身やその運営チームがその問いを掲げられたときに『自分たちだったら話せるか?』に耳をすませながら丁寧に設計をしてください。
<良いテーマの条件>
・広く余白がある:答えが一つに決まっておらず、多様な解釈やアイデアが生まれる余地がある
・ポジティブで未来志向:課題や問題点だけでなく、ありたい姿や可能性に焦点が当たっている(例:どうすれば~できるか?)
・自分ごとにしやすい:参加者が『私も話したい!』と心から思える切実さや魅力がある
△ 悪い例:営業部門の売上低下の原因分析(限定的で、犯人捜しになりがち)
〇 良い例:お客様が熱狂し、私たちの誰もが誇れる未来の営業スタイルを共創する
(2)参加案内や目的説明に運営としての情熱を込めて、参加者のオーナーシップを触発する
参加案内は業務連絡ではなく、共に未来を創る仲間への触発材料として届けます。その中で特に重要なのは、『運営としての情熱を伝える』ことです。なぜ今このテーマで対話をする必要があるのかなど、主催者(経営層や企画者)の背景にある危機感・期待・切実な想いを正直に伝えます。また、それらを伝える際には『話を聞きに来てください』ではなく、『あなたの経験と情熱が必要です。この組織の未来を創る当事者として参加してください』というメッセージを明確に打ち出すことも忘れないでください。これにより、参加者は受け身の姿勢ではなく、主体的なオーナーシップを持って会場にやってきてくれます。
(3)主催者の覚悟を確認する
「オープンスペーステクノロジー」は、時に経営層の想定を超えるような大胆な意見やアクションプランを生み出します。そのエネルギーを無駄にしないためには主催者の覚悟が不可欠です。そのため、ファシリテーターは事前に主催者(社長や事業部長など)と『出てきたアイデアやアクションプランを最大限尊重し、実行を支援してくださいね』という固い約束(コミットメント)を取り付ける必要があります。さらに、その中で「オープンスペーステクノロジー」で生まれた自発的なプロジェクトチームに対して、ある程度の予算や裁量を与える覚悟があるかも確認します。この約束がなければ、参加者は『どうせ言っても無駄だ』と感じ、生まれたエネルギーは一気に失われ、せっかくの熱量を生み出すきっかけの場が無に帰してしまいます。
【当日のファシリテーション】
ファシリテーターの役割は、議論をコントロールする司会者ではなく、場と参加者の自己組織化能力を信頼し『見守る』人です。「オープンスペーステクノロジー」の創始者ハリソン・オーウェンは、『ファシリテーターの役割は、スペース(場)を開くことと、スペース(場)をホールド(保持)することだ』と言っています。『スペースを開く』は、オープンさやフラットな関係性を感じられるような場を参加者に認識してもらうことです。ファシリテーターもオーセンティックに自分らしくいることで、参加者にも『この場は自分らしくいていいんだ』と思ってもらうことができます。
そうは言っても、慣れないうちは『ファシリテーターなのに何もしなくて大丈夫かな』と不安になることもあるかもしれません。ただ、ファシリテーターは何もしなくても『あり方』が場に影響を与えるものです。オーセンティックでありながらも『私は参加者のためにここにいる』という自覚をもってその場にのぞみ、『自分はなんのためにここにいるのか』を常に問い続けながら立ち振る舞うことが重要です。以下に各ステップの具体的なファシリテーションポイントについて紹介します。
■オープニング
『4つの原則』と『1つの法則』を、ファシリテーター自身の解釈と情熱を込めて自分の言葉で話します。ファシリテーターの情熱とその人らしさが参加者の情熱と主体性を触発するからです。その際、『シンプルに短く』を意識しましょう。ルール説明はしっかりとポイントを抑えつつも、必要最小限にします。過剰な説明は参加者の思考を縛り、自己組織化を妨げてしまうからです。信頼して場に委ねる姿勢を見せることも重要だと認識しておきましょう。
■アジェンダづくり
最初のテーマ提案者が現れるまで、緊張感のある沈黙が流れることがあります。しかし、ここで焦って介入してはいけません。その沈黙は、参加者が自分の内なる声に耳を澄まし、勇気を出すための重要なプロセスだからです。その沈黙を破り勇気をもって提案してくれた方には拍手を送りましょう。これにより『自分も提案していいんだ』という安心感が広がり、次の人が手を挙げやすくなります。普段の議論では『言ってはダメかもしれない』と思ってしまうようなことも、この空気づくりによって出しやすい状況をつくることができ、結果的に組織の潜在的な課題感が出やすくなります。
■セッション中の振る舞い
ファシリテーターの最も重要な仕事は、参加者を信じて『何もしない』ことです。介入したい、助言したいという衝動を抑え、議論の主導権を完全にグループに委ねます。その中で会場全体を静かに歩き回り、各セッションの熱量や雰囲気を肌で感じ取ります。介入はせず、ただそこに存在することで、場全体の安全性を担保する形です。また、たまにはファシリテーターも1人の参加者として関心のあるセッションに参加してみるなど、自らがルールを体現することも参加者の自由な動きを促進する上で有効です。
■クロージング
このクロージングの場を、各グループの結果を詳細に発表するだけの報告会にしてはいけません。『この時間を通して、最も印象に残った気づきや学びは何ですか?』『明日から、あなたは何を始めたいと考えていますか?』といった問いを投げかけることで、参加者の意識を未来の行動へと向けてもらいましょう。生まれたアクションプランを全員で受容し、実行する人々を勇気づけて締めくくります。
ここまでの話を踏まえると「オープンスペーステクノロジー」にはしっかりした型があり、ちゃんと準備をしきって完璧なかたちでやらないといけないと思うかもしれませんが、そんなことはありません。普段の打ち合わせや、ちょっとした2~3時間のチームビルディングの時間でやってみることをオススメしています。例えば、普段の打ち合わせの冒頭で簡潔にプロジェクトの全体像やサマリーを話した後に、『今このプロジェクトにおいて話したほうがいいとみなさんが感じるアジェンダはなんですか?』と問うてみることも1つの方法です。もしくは、チームビルディングのプログラムを詳細に設計するのではなく、目的と背景だけ整理をして思い切って「オープンスペーステクノロジー」的な場をつくってみるやり方もあるでしょう。
最初はファシリテーターとしてコントロールを手放すことが怖く感じるかもしれません。ただ、グラウンドルールとテーマをしっかり伝えることで、自然と参加者は主体的に課題を挙げてプロジェクトを立ち上げてくれます。その感覚を少しずつファシリテーターとして感じ、場を信頼できる胆力を身につけていくこと──それが「オープンスペーステクノロジー」のファシリテーターとして熟達していく最短のルートです。そして、そういった活動の積み重ねが職場の風土や文化をより多様性のあるものに変容させるはずです。
「オープンスペーステクノロジー」の活用ケース
──「オープンスペーステクノロジー」が特に有効なのは、どのような状況に対してどのような活用イメージなのでしょうか。
「オープンスペーステクノロジー」が特に有効であり、かつ企業において起こりがちなケースには大きく以下4つがあると考えています。それぞれ活用イメージと共にご紹介します。
(1)ビジョンや戦略が『絵に描いた餅』になっているケース
いくら経営層が素晴らしいビジョンや中期経営計画を策定しても、現場の従業員が自分ごととして捉えられず、日々の業務に結びついていなければ意味がありません。そんなときに「オープンスペーステクノロジー」を実施することにより、参加者1人ひとりの情熱と責任を通じて『会社が掲げるビジョン』を『私が実現したい未来』へと転換させることができます。
<具体的な活用イメージ>
・テーマ例:『私たちが本気で“世界一の〇〇”を実現するために、明日からできることは何か?』
・活用イメージ:全社や事業部単位で「オープンスペーステクノロジー」を実施。営業・開発・管理など全部署のメンバーがそれぞれの立場からビジョン達成のためのアイデアを出し合い、部門横断の自発的なプロジェクトチームが複数立ち上がる。結果、ビジョンが日々の業務レベルで語られるようになる。
(2)縦割り組織による連携不足・イノベーションの停滞が起こっているケース
部門間の壁が厚く情報共有もスムーズに行われない状態では新しいアイデアは生まれず、部分最適の判断ばかりが横行し全体最適で考えることができません。そんなときに「オープンスペーステクノロジー」を部門間で実施することにより、物理的・心理的な部門の壁を取り払うことができます。普段接点のない従業員同士が話すため最初は不安になりますが、共通の関心事やキーワードで話し合う中で所属や役職といったラベルが無意味になっていき、純粋に従業員がやりたかったことなどが話されつながりが生まれていきます。
<具体的な活用イメージ>
・テーマ例: 『顧客を熱狂させる、今までにない新サービスを妄想しよう!』
・活用イメージ: 技術部門の若手が提案した『最新AI技術の活用』というセッションに、マーケティング部門のベテランや法務担当者まで多様なメンバー興味をもって参加。『それならこんな顧客ニーズに応えられる』『法的にはこの点をクリアすれば可能だ』といった議論が巻き起こり、新サービスの具体的な企画骨子が出来上がる。
(3)M&Aや組織再編後の組織文化のコンフリクトが起こっているケース
合併や大規模な組織再編の後、旧組織の文化や価値観がぶつかり合い従業員間に見えない溝が生まれてしまうことがあります。そんなときに「オープンスペーステクノロジー」を実施することにより、過去のしがらみや対立構造を脇に置いて『これからの未来』の一点にエネルギーを集中させることができるようになります。対等な立場で未来志向の対話を重ねることで相互理解が深まるだけでなく、主語が『わたしの部署・会社』から『わたしたち』に変わり、新しいアイデンティティを育むきっかけとなります。
<具体的な活用イメージ>
・テーマ例: 『新生〇〇社が、業界No.1になるためにやりたい私たちの最初の挑戦とは?』
・活用イメージ: 出身母体の異なる社員が混ざり合って「オープンスペーステクノロジー」を実施。『旧A社の強みだった〇〇と旧B社の強み△△をどう融合させるか』といった建設的な議論が生まれ、互いのリスペクトの醸成を狙う。
(4)従業員のエンゲージメント低下と指示待ち文化が蔓延しているケース
従業員が自ら考えて行動しようとせず、言われたことだけをこなす『指示待ち』の姿勢では、組織全体に活気が生まれません。「オープンスペーステクノロジー」は、参加者が情熱を表明し、その責任を担う経験を通じて内発的動機に火をつけることができる手法です。自分の声が尊重され行動が認められる成功体験により当事者意識が育まれ、指示待ち文化を打開する突破口となります。
<具体的な活用イメージ>
・テーマ例:『私たちが本当に働きがいを感じる職場とは?』
・活用イメージ:働き方改革の一環として「オープンスペーステクノロジー」を実施。『もっと効率的に働きたい』『スキルアップの機会がほしい』といった従業員の切実な声が、具体的な制度改善案や自発的な勉強会の企画へと結実し、やらされ感のないボトムアップ型の改革につなげる
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編集後記
変化が激しく複雑性が増している現代においては、現場のリアルな状況把握から導かれる課題や施策がとても重要になってきています。そういった観点からもこの「オープンスペーステクノロジー」は非常に有効な手法なのだと湯川さんの話からも理解できました。事前準備とファシリテーションが肝になることを踏まえ、念入りに準備・計画を進めた上で実施したいものです。













