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Z世代の採用手法は違う?Z世代人事に聞く、採用やオンボーディングに活かす方法

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世代を表す言葉はこれまでさまざまありましたが、最近ではX世代・Y世代・Z世代、という言葉を聞くことが増えたのではないでしょうか。この「Z世代」は10代~20代の世代で、企業の新卒採用やオンボーディングにも深く関わる世代を指しますが、彼らの価値観は30代以上の世代と違う価値観を持っているようです。こういった「Z世代」と他の世代との違いを正しく理解し、採用やオンボーディングなど人事的アプローチに活かすことが、今後の人事・採用担当者としても必要がある領域です。
そこで今回は、ご自身も「Z世代」であり、人材会社と事業会社の双方で採用を経験されてきたWHILL株式会社の佐藤 晶さんに、「Z世代」の基本知識や心理・行動傾向と採用とオンボーディングについてポイントをお聞きしました。

<プロフィール>
佐藤 晶(さとう しょう)/WHILL株式会社 採用責任者
不動産企業で法人営業を経験した後、若手向け転職エージェントUZUZでキャリアアドバイザー・リクルーティングアドバイザーを担当。その後WHILLへ転職し、採用責任者として採用全般と採用広報を担当している。Twitter→@i_am_omame_

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Z世代とは?

──Z世代の定義や特徴、また他の世代(X世代・Y世代)との違いについて教えてください。

Z世代とは、アメリカ合衆国や英語圏、日本などにおいて概ね1990年代中盤から2000年代終盤までに生まれた世代で、デジタル機器やインターネットが生まれた時から当たり前のように存在し利用している世代のことを指します。また、パソコンよりもスマートフォンが生活の一部となっている”スマホ世代”でもあり、成長期にWeb 2.0を享受し情報発信力に長けているため、数多くのインフルエンサーが登場している世代です。

私自身も1995年に生まれた「Z世代」。小学生の時から携帯電話を持ち、中学生でYouTubeにハマりパソコン漬け。高校生になってiPhoneを持ちはじめ、Twitter、LINE、mixi、Instagramを使いこなすなど、まさにデジタルネイティブ世代として幼少期からインターネットとSNSに慣れ親しんできました。
また「Z世代」は単にデジタルに触れてきたというだけでなく、インターネット上のさまざまな情報元から多様な価値観に触れている世代でもあります。そのため、一般常識には囚われない、おかしいことはおかしいと考えるなど、自分の価値観について理解が深い一面もあります。
さらに、自分と同じ考えをもつ人々とコミュニティを作ったり、自分の考えを積極的に発信したりすることも他世代に比べて得意な方が多いです。

一方、X世代(1960年~1974年生まれ)とY世代(1975年~1990年代前半生まれ)は、昨今の急速なデジタル化への対応を迫られた世代です。従来の縦割り的な日本社会で育ってきたため、和や協調性、ルールや常識を重んじる方が多い印象があります。そのため、個人の価値観や考え方が強まった「Z世代」とはギャップを感じることも少なくないのではないでしょうか。

Z世代の価値観と企業選びの軸

──Z世代の方が就職活動をする際、どんな価値観や軸で企業選びをしているのでしょうか。

私が転職エージェント時代に出会った「Z世代」の方々は、就職や働くことについて主に以下2つの価値観を持っている傾向がありました。

仕事とプライベートを両立したい(ワークライフバランスを整えたい)

バブル期の経験がある方も多いX世代・Y世代は「お金持ちになる」「家や車を買う」など金銭や物質的な満足=幸せ、所有していることが一種のステータス、という価値観の方が多い傾向です。そのため仕事に求めるものもお金やモノが多く、そこがモチベーションの源泉になっている方が多かったように思います。
しかし、生まれた時からモノや情報がまわりに溢れていて、インターネットやSNSによって多様な価値観に触れていた「Z世代」は違う考えを持っています。X世代・Y世代がステータスと感じるお金やモノがなくても幸せに生きていけることを知っており、レンタルやシェアサービスが普及している背景もあり、所有することに拘らず、プライベートの時間や精神的な余裕を重視する傾向があります。
そのため就職においても「残業してでもお金を稼ぎ、欲しいモノを手に入れる」という働き方ではなく、「リモートワーク」「フレックス勤務」「残業が少ない」「年間休日が多い」といった企業が好まれる傾向です。昔から欧米では家族との時間を大切にする文化や、仕事は仕事と割り切って休暇を楽しむような文化がありますが、従来の日本文化に違和感を覚えた「Z世代」はこうした欧米の働き方や生活に共感しているのかもしれません。

自分の力で生きていけるスキルを身につけたい(会社や組織に縛られたくない、どんな会社でも活躍できる人になりたい)

※引用:第一生命保険株式会社 第32回「大人になったらなりたいもの」アンケート調査結果(全国の小学生・中学生・高校生 計 3,000 人を対象)

プライベートを重視する一方で、自立心を持っている方が多いのも「Z世代」の特徴です。YouTubeやInstagramなどの広告収入で生計を立てる人たちが増えたのもその一因でしょう。2021年の小学生がなりたい職業ランキング2位がYouTuberになるなど、「Z世代」の中でも特に若い方ほどその傾向が顕著です。
私自身もTwitterのフォロワーが現在7,000人おり、PR案件依頼が舞い込んできたり、Twitterコンサルタントとして活動したりすることを通じて、SNSでお金を稼ぐことができる時代になったことを実感しています。こうしたフリーランスのような仕事はハードな一面もありますが、時間や場所にとらわれずに自分のやりたい仕事を選べるという点ではとても魅力的なことだと思います。
他にも、出身学部が文系であってもエンジニアを志望する方が増えた印象があります。エンジニア需要の高まりや給与の高さなどもその要因ではありますが、その理由を聞くと「将来的にフリーランスとして働きたいから」「会社にしがみつかずに自分の力で生きていきたいから」といった意見を多く聞きました。従来の「お金やモノ」から「自由・時間・スキル」などの形がないものの価値が大きくなっていることをここでも感じます。

Z世代の採用で重視するべきポイント

──Z世代を採用する際、人事・採用担当者としてどんなポイントを押さえておく必要があるでしょうか。

最も大事なのは、「常にお互いがオープンかつフラットな関係でいること」です。ここではフェーズを3つに分けて解説します。

認知

前述の通り、Z世代はその高い情報収集能力と多様な価値観への理解があることから、物事の「本質」に対して興味を強く持っています。私が転職エージェントとしてZ世代の方々に企業の案件をご紹介した時には、「まずは自分で調べたい」とご自身で企業のWebサイト・口コミサイト・SNSなど複数の情報源を調べつくしてからエントリーするかどうかを決める、という方が大半でした。
近年、企業がSNSへ参入し、社員が個人アカウントで自社について発信することも増えました。また発信場所もnote、Instagram、YouTube、TikTok、YOUTRUSTなど多様化しています。採用広報がより重要になったことからも、個人がいかにリアルな情報を求めているかが想像できます。従来のように求人票やコーポレートサイトだけの一方通行の情報提供だけでは、その企業で働いている人・企業の弱み・自分に求められる役割・身につけられるスキルなどのリアルな部分が伝わらず、企業魅力が伝わりきらない状況になっていると言えます。

面接

これまでの面接は「企業側が選ぶ」というイメージが強いものでした。しかし企業側がSNSなどを通じてオープンに情報を発信することにより、「候補者に選ばれる」「互いに一緒に働く意義をすり合わせる場」へと認識が変化してきたように感じます。その風潮は今後より強くなっていくのではないでしょうか。最近はカジュアル面談を実施する企業も増え、それにより企業で働く人をよりリアルにイメージできたり、話の内容次第で選考に進むか進まないかを判断できたりするので、個人的にも良い取り組みだと思っています。
私自身が採用責任者として気を付けていることは、面接や面談ではできるだけ「企業の弱みや制度が整っていない部分」も話すようにしています。期待値や理想が高すぎる状態のままだと、入社後にギャップを感じて早期退職につながる可能性が高いからです。お互いの良い点も悪い点も理解した上で、それでも働きたい・働いて欲しいと思い合えるのが理想的な採用だと考えています。

入社後

いくら入社前に企業側が情報をオープンにしてフラットに接することができたとしても、内状が伴っていなければZ世代に選ばれることは難しいかもしれません。対外的に発信している情報と内状にギャップはないか、自由・時間・スキルを求めるZ世代に対してもっと訴求できるポイントはないか、を現状と常に照らし合わせながら整備する必要があります。
例えば、リモートワーク、フレックス勤務、ペーパーレス、デジタル化、IT化などが進んでいない企業は「古臭い」とジャッジされてしまう可能性は大いにあると思います。また一度そうジャッジされてしまうと、それ以外の分野(ワークライフバランス、ハラスメント、ジェンダーなど)についても遅れていると思い込まれてしまうため、Z世代からより敬遠されてしまうと思います。

すべてを「Z世代」に合わせる必要はないと思いますが、そうした世代からも選ばれる組織づくりを人事・採用担当者は常に考え続けることが重要なのではないでしょうか。

Z世代から選ばれるオンボーディングと組織づくり

──「Z世代から選ばれる組織づくりが大事」と伺いましたが、具体的にはどのようなオンボーディング制度や組織を作るべきでしょうか。

まず、オンボーディングについても採用活動と同様「常にオープンかつフラットでいること」が欠かせません。ワークラーフバランスや自分の時間を重要視することから「Z世代は内向的だ」と捉える方もいますが、実際にはその反対です。むしろさまざまな情報や価値観に触れてきたことで多様な考えや知識を持っていますし、自分の考えを発信できる場所があるならする、というのがZ世代の特徴だからです。
「Z世代」のこういった特徴を活かすためには、フラットな関係性を構築するための「場所」が欠かせません。そのため「部署内だけ」の関係性でなく、会社全体の組織やメンバーと関係を強められるような環境を整えることが重要になってきます。それは飲み会のようなアンオフィシャルな場所だけではなく、他部署のミーティングに同席して意見を交換する、1日自分の範囲外の仕事を体験する、など、実際の業務で連携できるような取り組みが有効です。
特に他部署のミーティング参加は、ある程度業務に慣れて発言できるようになったタイミングで実施するのが効果的です。実施する際には、よりZ世代のメンバーが発言しやすくなるように受け入れ側のメンバーに対して周知したり、歓迎雰囲気を作るなどの工夫も必要になるでしょう。
他にも私自身が行っている取り組みとして、「入社直後にそのメンバーのパーソナリティを広く社員に知ってもらう」というものがあります。具体的にはその方の入社エントリー記事を執筆して社員に読んでもらったり、入社後の全社ミーティングで本人とその採用担当や上長などから「入社した決め手」を語ってもらったりするようにしています。入社エントリー記事は採用広報活動として社外向けに実施している企業は多いかと思いますが、これを社内向けにも活用することで、オンボーディング時から「Z世代」の考えを理解してもらい、より彼らが活躍しやすい組織を作ることができると考えています。

今回はZ世代に焦点を当ててお話ししてきましたが、それ以外の世代も組織にとって重要であることは間違いありません。大事なのは、これまでのX世代・Y世代の考え方や理論を普遍的なものとしてそのまま踏襲するのではなく、新しいZ世代との違いを理解して認め合い、包括的な組織を目指すことだと思います。

編集後記

自分自身の過去の経験を基にものごとを考えてしまうことがよくあると思いますが、Z世代についても正しく理解できている企業はまだまだ多くないのではないでしょうか。ワークライフバランス重視と聞くと「仕事に熱がない」と一蹴してしまいたくなってしまうX世代・Y世代の方もいるかもしれませんが、より詳しく知るといかに「Z世代」が多様な価値観や考え方を持っており、今後の組織にとって重要な存在なのかということに気付くことができるかもしれません。
これまでの世代にない特徴や能力を持っているZ世代。彼らのことを深く理解し、その力を最大限発揮してもらえる環境を整えることができれば、企業としても得られるものが大きいのではないか──佐藤さんのお話を通じて、そう認識を改めることができた機会となりました。

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