【AI時代の人事・組織実態調査レポート】個⼈利⽤と組織設計のギャップから読み解く、⼈事の役割
生成AIの急速な普及により、組織の業務や意思決定のあり方は大きく変わりつつあります。「AIを個人では使っているが、組織としての活用まではいまいち浸透していない」「AI活用に関して、人事としてどう関与すればよいか」と悩む企業・人事部門も少なくありません。そこで、企業の人事担当者259名を対象に、「AI時代における人事・組織の実態」調査を実施しました。
本記事では、生成AIの活用実態や組織的な実装状況、活用が進まない背景、そしてこれからの人事に求められる役割について調査・分析した結果をまとめています。
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目次
調査結果サマリ
調査対象:企業に就業中の⼈事部⾨役職者‧担当者
調査エリア:⽇本全国
有効回答数:259件
調査期間:2025年12⽉2⽇〜 2025年12⽉8⽇
調査方法:Webアンケート調査
調査実施者:株式会社コーナー
主な調査結果
・生成AIの個人利用は広がっている一方、業務プロセスや意思決定に組み込まれた「組織的活用」限定的。生成AI活用を進める体制が整っていないため、人事部門を含めて個人利用に依存しやすい状況。
・人事が評価・重視する能力は変化し始めている。今後は「問いを立てる力」「仮説構築力」など、AIのアウトプットを前提に仕事を再設計できる力がより求められる
・AI前提で人材要件・評価・配置を見直す必要性が高まっており、人事の役割は運用改善から上流の設計領域へ広がっている。
企業における個⼈と組織のAI活⽤ギャップ
生成AIは個人では週1回以上利用が90.7%と習慣化している一方、組織での活用は限定的。

回答の68.2%が「ほぼ毎日」利用。「週に数回」22.5%も含めると、週1回以上の利用は90.7%に達し、個人のレベルでは生成AIの習慣化が進んでいます。一方、AIが業務プロセスや制度に組み込まれている企業は2割弱にとどまっています。
AIの利用自体は進んでいても、業務プロセスや意思決定に組み込めなければ、組織的に活用されにくいことが示唆されます。
人事部門でのAI活用状況

人事部門の生成AI活用は「個人単位での利用が中心」(45.9%)が最多。体制面では、「特に体制はない」(61.1%)が過半数を占め、統一的な推進体制や専任チームも限定的です。
そのため、人事のAI活用は個人の工夫に依存しやすく、組織横断で生成AI活用を後押しする体制が整っていないという実態が浮き彫りになりました。
なぜ生成AIの組織的な活用が進まないのか
組織な活用が進まない理由は「個人のリテラシー不足」と「活用のための設計不足」。そしてAI推進のオーナーが不明確

組織的な活用が深まらない理由としては、「従業員の生成AIリテラシー/スキルが不足している」(48.3%)が最も多く、次いで「業務プロセスに紐づいた具体的なユースケース設計ができていない」が続きます。
⽣成AIは導⼊されつつある⼀⽅で、それを組織の業務や意思決定に組み込むなど、活用するための設計が追いついていないことが、組織的な活用を止めている状況がうかがえます。
変革をリードすべき部門

生成AIの活用はDX推進部門・経営企画が中心になりやすい一方で、人事は13.5%に留まっています。また、11.6%の企業では「主導部門なし」と回答しており、多くの企業で変革をリードすべき部門が分散しています。
この状況は、生成AIが単なるITツールとして扱われ、組織横断の「設計テーマ」として捉えられていないことを示唆しています。
AIの本質は業務設計・運用・意思決定及ぶ「働き方の変革」です。現状は推進オーナーが分散しており、人事がどこから関与し何を担うのか、そして他部門との分担・接続点が明確になっていない状態にあります。
AI時代に求められる⼈材像の変化と⼈事の役割
生成AIの普及により、評価される能力は「業務遂行力」から、「設計・思考力」へ

生成AIが前提になるほど、人に残る価値が再定義されます。実際に人事が「評価する人材像」にも変化の兆しが現れています。
現在は「論理的思考力」「スピード」「関係構築力」が上位に並ぶ一方、今後2〜3年で重視される能力では、「問いを立てる力」、「仮説構築力」「テクノロジー活用力」が重視されています。
AIが速く・正確に処理する領域を代替しやすくなるほど、「実行能力(処理・遂行)」から、「思考・設計能力」といったAIが肩代わりできない領域の価値が高まっていきます。
また、単純にツールを使うだけでなく、業務設計や判断をテクノロジー前提に考えられる人材をどう育成・配置していくかも、人事にとって重要な論点になっていきます。
AI時代に人事が向き合うべき領域
AI時代に向けて、採用・育成などの運用改善だけでなく、評価とタレントマネジメントを中心に上流の設計見直しが求められている

「今後、特に変化させる必要がある」と認識されている人事領域は、評価(57.9%)とタレントマネジメント(56.8%)が最上位。加えて中途採用、組織開発、育成・研修、労務も高い水準で続きます。
AI時代に人事が向き合うべき領域は「採用・育成」といった運用改善にとどまらず、AI前提の「評価制度の構築」、「人材配置・活用の見直し(タレントマネジメント)」といった上流の設計領域へと広がりつつあるといえるでしょう。
まとめ
本調査から、生成AIは個人レベルでは日常化している一方で、組織としては業務に紐づくユースケース設計や推進体制が十分に整っていないため、活用が進んでいないことがわかりました。
また、求められる能力は「業務遂行能力」中心から、「問いを立てる力」や「仮説構築力」といった人にしか担えない「思考・設計能力」がより重視されます。
AI時代の人事にはツール導入を進めるだけでなく、組織と人の価値を再定義し、それを組織に根付かせることが求められています。
だからこそ、人事にはAIを前提とした業務プロセスの再設計と新たな価値基準に基づく制度構築といった、仕組みと運用の双方から向き合う姿勢が求められます。
AIを個人の便利ツールにとどめず、組織の成果につながる形で定着させることが、これからの人材競争力を高める基盤になるでしょう。
本レポートが、生成AI活用を組織の成果につながる仕組みとして定着させ、次世代の人事戦略を検討するうえで参考になれば幸いです。
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