【リファラル転職調査レポート】紹介される際、最も影響力が多いのは友人。リファラル経由で選考に進む人、進まない人の傾向も明らかに

近年、人手不足による採用難から新たな採用チャネルとしてリファラル採用への注目がますます高まっています。リファラル採用は知人からの紹介なので紹介する側、される側双方に信頼感があり、優秀な人材の確保につながる一方、実際には従業員によるリファラル数が増えなかったり、紹介をしたもののなかなか選考に進まなかったりといった課題も聞きます。そこで弊社では、実際の転職者やリファラル採用を実施している企業の実態を把握するため、3つの観点からリファラル採用に関する調査を実施しました。
本記事では、「リファラル転職経験者の実態」「リファラル転職のミスマッチ度」「リファラル実施のモチベーション」の観点から調査・分析した結果をまとめています。
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目次
調査結果サマリ
【調査概要】
◾️調査対象:20代〜50代の正社員として働く方
◾️有効回答数:事前調査:10,000件 / 本調査:309件
◾️調査期間:2024.07.25~ 2024.07.26
◾️調査方法:Webアンケート調査
主な調査結果
・約4割の人がリファラルを通じて転職活動を行っており、リファラルは転職において重要な経路の一つ
・リファラルで選考に進む理由:「信頼できる紹介者」「タイミング」「企業の魅力」
・リファラル経由の転職者はポジティブなミスマッチを感じる割合が高い
・事前に懸念点を聞いていた人は、聞いていなかった人よりネガティブなミスマッチを感じている割合が低い
・リファラルの最も影響力が大きいのは「友人」。次いで「元同僚」、「元上司」が効果的。
・インセンティブとしてモチベーションに繋がる金額は「1~5万円未満」(24.9%)。一方で24.1%は「報酬はなくてもよい」と回答。
リファラルによる“転職活動”の経験者割合

友人や知人からのリファラルにより転職活動を行った経験がある人は43.5%。一方、紹介を受けたものの転職活動経験までは至っていないのは5.6%で、そのほかの42.6%は紹介を受けた経験がないと回答しています。
転職活動する人の約半数が、友人・知人からのリファラルで機会を得ていることがわかります。
リファラル経由で選考に進んだ理由

最も多かった理由は「自分をよく知る人からの紹介だったから」で、信頼できる人物からのリファラルが転職活動における重要な要素となっており、信頼や安心感が選考に進む際のきっかけにもなっていると考えられます。
また、「たまたま転職を考えていたから」という回答も多く、転職のタイミングが合うことも重要な要素となりそうです。「事業内容が魅力的だった」や「希望の職種だったから」といった結果も少なくなく、条件の魅力も選考に進む大きな動機となっています。
リファラル転職活動においては、リファラルする紹介者側との信頼関係やタイミング、企業の魅力が重要な要素と言えるでしょう。
リファラル経由で選考に進まなかった理由

選考に進まない理由の多くは「事業内容が魅力的ではなかったから」 「希望の職種じゃなかったから」や「就業条件が魅力的ではなかったから」で、業務内容や条件が魅力的でない場合、選考に進むことをためらう傾向が強いことがわかります。また、「転職をする時期ではないと考えたから」という回答も多く、タイミングが合わない場合には、リファラルを受けても転職を控える傾向があることが示唆されます。
一方、「自分との関係性が近い人からの紹介だったから」という理由も一定数挙げられており、親しい関係であるほど、リファラルによって生じる責任感やプレッシャーを避けたいと考える傾向があると言えるでしょう。
リファラルで企業を紹介された際、リファラルする側から企業の懸念を聞いていたか

企業を紹介された際に懸念点を聞いていた人は約36%で、約39%は聞いておらず、26%は覚えていないと回答しています。この結果から、リファラルする側が懸念点を十分に共有していないケースが多いことがわかります。
入社後の“ポジティブ”なミスマッチの割合

リファラル転職者のほうが、ポジティブなミスマッチを感じており、「かなりあった」「あった」と答えた割合は26.2%と、転職経験者全般の16%よりも高くなっています。リファラルの場合、リファラルする側が企業の内情をよく知っているため、期待値調整されている可能性が高いです。そのため、入社後に実際の業務や環境が想像以上に良かったと感じるケースが多いといえます。
事前に懸念を共有していた場合のミスマッチの割合

事前に会社の懸念を聞いていた人で、「ミスマッチがなかった」と答えた割合は55.3%。一方、懸念を聞いていなかった人で「ミスマッチがなかった」と感じた割合は23.7%となっています。この結果から、転職者に懸念点を事前に共有することで、転職後のミスマッチを減らせることがわかります。
紹介者別転職意思の変化

転職意思が最も高まるのは「友人」(45.3%)からの紹介でした。友人は信頼性が高く、転職者の価値観を理解しているため、影響力が大きいと考えられます。次いで「元同僚」(31.1%)や「元上司」(30.1%)からのリファラルが効果的で、職場での経験を共有した関係者からのリファラルが意思決定に大きく寄与しています。
一方、「知人」(27.8%)や「両親」(17.8%)「恋人・配偶者」(15.5%)からのリファラルは影響力がやや低く、転職においては仕事を一定理解ある関係者からのリファラルが重要であると思われます。
自社を紹介したい理由

自社を友人・知人に紹介したい理由として最も多いのは「人間関係が良い」(46.9%)でした。職場の良好な人間関係がリファラルの動機として大きな影響を持つことがわかります。また、「業務内容が良い」(38.3%)や「給与・昇給が良い」(37%)「社内制度や福利厚生が良い」(37%)など、具体的な労働条件が良いこともリファラルの主な理由となっています。
リファラルに対するモチベーションについて

友人・知人を紹介する際の「モチベーションが高まる」で最も多い回答は「1~5万円未満」(24.9%)が最も多くなりました。「報酬はなくてもよい」と答えた人も24.1%となりました。
一方、「5~10万円未満」(20.8%)や「10~15万円未満」(7.3%)といった高額な報酬を回答する方も多く、高額なインセンティブは一定有効と言えそうです。企業は、1~5万円の報酬を中心に設定しつつ、職場環境の改善にも力を入れることで、報酬に依存しないリファラルの意欲も高められると考えられます。
まとめ
本調査により、リファラル転職が転職活動の重要な選択肢として定着しており、友人や同僚からの紹介が特に効果的であることも分かりました。一方で、業務内容や条件が魅力的でない場合やタイミングが合わない場合は選考をためらう傾向も見られました。
また、入社後のミスマッチに関しては事前に懸念点を伝えることで入社後の期待値調整が図られ、ミスマッチを減らせることも明らかになりました。このような結果から企業はリファラルの仕組みを導入するだけでなく、懸念点への改善策を共有し、信頼できる職場環境やキャリア支援を提供し、リファラルする側が安心して推薦できる環境を整えることが重要となるでしょう。
この調査結果が、各企業における採用効率の向上や人材定着率の改善につながるリファラル採用施策の設計・運用における参考となれば幸いです。
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