【職場のインシビリティ実態調査レポート】約8割が経験。ハラスメントでは測れない組織課題
礼儀正しさやマナーに欠ける社会的行動を意味する「インシビリティ」。放置するとハラスメントに発展してしまうリスクがあることから、企業としても見逃せないものとなっています。
20代〜50代のビジネスパーソン624名を対象に、「職場におけるインシビリティ(礼儀や尊重を欠いた言動)に関する実態調査」を実施しました。
本記事では、職場におけるインシビリティの「頻度」「経験者の属性」「発生場面」「影響行動」を可視化し、日常の無礼が組織に与える影響と、その背景にある構造を調査・分析した結果をまとめています。
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目次
調査結果サマリ
調査対象:就業中の正社員 20〜50代男女でインシビリティ経験者
調査エリア:日本全国
有効回答数:624件(男女各312、年代各78)
調査期間:2025年9月17日〜 2025年9月19日
調査方法:Webアンケート調査
調査実施者:株式会社コーナー・株式会社マクロミル
主な調査結果
・インシビリティは日常的に発生し、「感謝・労いの欠如」「高圧的な物言い」「機会・役割の不公平」「話の遮り」など、約半数が何らかのインシビリティを経験。中でも「感謝・労いの欠如」「高圧的な物言い」は約8割が経験している。
・発生場面は「対面での1on1」、「直属上司・上位管理職」との場面で多く、価値観・コミュニケーションスタイルの違いや、忙しく余裕がない状況で起きやすい。
・インシビリティを受けた後は心理的ストレスや離職意向が増加。組織へのエンゲージメント低下が進み、発言・提案・協力行動が減少するなど、個人・組織双方に負の影響が生じる。
インシビリティの実態 (全体像)
「感謝・労いの欠如」と「ぶっきらぼう・高圧的な物言い」は約8割が経験している。

回答者の半数程度が何らかのインシビリティを受けた経験があり、中でも「感謝・労いの欠如」と「ぶっきらぼう・高圧的な物言い」は約8割が経験している結果となりました。
また、「機会・役割の不公平」「話の遮り」「陰口・排除的なジョーク」など、評価や人間関係に関わる行動も一定数確認されており、インシビリティが一部の例外的な行動ではなく、日常的に起きうる問題であることがうかがえます。
発生場面と関係性別
インシビリティが最も多く発生する相手は直属の上司が最多。近しい関係性の関係性の中で発生している傾向

インシビリティは、オンラインやメールよりも、対面の1on1や少人数の会議といった距離の近いコミュニケーション場面で多く発生しています。特に「感謝・労いの欠如」や「ぶっきらぼう・高圧的な物言い」は、半数以上が1on1で起きていました。
また、同じ言動が複数のチャネルで発生している項目もあり、個々のコミュニケーションだけでなく、役割分担や情報共有の仕組みといった組織構造が影響している可能性が示唆されます。
インシビリティの発生相手

発生相手として最も多いのは直属上司(34.8%)で、次いで上位管理職(29.8%)、同僚(21.6%)が続きます。
評価権限や役割期待がある近しい関係ほど、態度や言動に影響が出やすい構造が見て取れます
属性別の認識ギャップ
世代・立場によって「無礼さ」を感じるポイントは異なる
発生頻度の高い態度・言動と年代ギャップ

インシビリティの感じ方は、世代・性別・立場によって異なります。
「感謝・労いの欠如」や「高圧的な物言い」では、20代が「週2〜3回程度」で最も多く経験している一方、50代では「機会の不平等」「意思決定からの排除」といった構造的なインシビリティを多く経験していました。
若手だけでなく、中堅〜シニア層でも、役割や責任が増える中で継続的にインシビリティを受けやすい構造が生まれている可能性が示唆されます。
インシビリティを受けた後の行動
インシビリティ経験後は、行動意欲や組織へのエンゲージメントが大きく低下
モチベーションと組織への影響

インシビリティを受けた後、「仕事の満足度」「パフォーマンス・生産性」「組織への信頼」はいずれも25〜30%台で減少しており、提案・協力・挑戦といった前向きな行動も大きく低下しています。
一方で、「心理的ストレス・疲労感」や「離職を考える気持ち」は明確に増加しています。
インシビリティは個人のメンタル面だけでなく、行動意欲や組織へのエンゲージメントを同時に弱めるリスクを持つと言えます。
ハラスメント認識
55%がハラスメントに該当し得る行為と捉えているが、半数以上はグレーゾーンと認識
インシビリティのハラスメント認識

インシビリティを「ハラスメントに該当し得る」と捉える人は55%にのぼる一方、「明確にハラスメント」と判断した人は22%にとどまりました。
半数以上がグレーゾーンとして受け止めており、線引きの難しさが浮き彫りになっています。
社員が求める組織の対応
組織に期待する対応は「ルール・基準の明確化と周知」が最多。グレーゾーンをなくし、個人判断に委ねない仕組みづくりを求める声が多い
今後 組織に期待する行動

最も多かったのは、「ルール・基準の明確化と周知」を求める声でした。インシビリティは判断が個人に委ねられがちなため、何がNGなのかを明確にし、曖昧さをなくすことで摩擦を防ぎたいという意図が表れています。
また、「役割と優先順位の整理・明確化」「リテラシー向上・伝え方の育成」への期待も相対的に多く、世代や立場の違いから生じるコミュニケーションのギャップを埋めるために、役割整理やコミュニケーションスキルの育成も求められています。
まとめ
本調査から、インシビリティが単なる「小さな無礼」ではなく、日々のコミュニケーションの質や組織構造、役割期待のあり方まで広がる“組織体験”に深く関わる問題であることが明らかになりました。
インシビリティは受け手の属性・立場によって感じ方が異なり、若手は「世代差」、中堅層は「役割負荷」など、多層的な構造が存在します。
こうした経験は、仕事の満足度や生産性の低下、提案や協力行動の萎縮につながる一方で、心理的ストレスや離職意向の上昇にも結びつくなど、個人と組織の双方に負の影響を及ぼしていました。
だからこそ、人事や組織には、ルールや基準の明確化、役割と優先順位の整理、コミュニケーションリテラシーの底上げといった、仕組みと運用の双方から向き合う姿勢が求められます。社員が安心して声を上げ、互いに適切な期待値を持ちながら働ける環境を整えることが、エンゲージメント向上と離職防止の基盤になると言えるでしょう。
本レポートが、組織内コミュニケーションの見直しや、人事施策の改善に向けた一助となれば幸いです。
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