【Z世代の継続・退職意向 調査レポート】Z世代・新卒3年目以内の約7割が「いずれ辞めたい」、不満の理由は「給与・待遇」がTOP
入社1〜3年目のZ世代を対象に、「継続・退職意向」に関する調査を実施しました。
本記事では、表面化しにくい離職予備軍の兆し、退職につながる不満や期待の構造に加え、ワークスタイル(リモート可否)と残業時間の違いによる実態差について、調査・分析した結果をまとめています。
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目次
調査結果サマリ
調査対象:新卒入社した企業に在籍する入社3年目までの正社員(既に辞める予定が決まっている人を除く)
調査エリア:日本全国
有効回答数:514件(1年目:256件/2・3年目:258件)
調査期間:2025年8月29日~9月4日
調査方法:Webアンケート調査
調査実施者:株式会社コーナー・株式会社マクロミル
主な調査結果
・新卒3年目以内のZ世代の約7割が「いずれ辞めたい」(41.6%が1〜3年以内、26.5%が時期未定だが辞めたい)と回答。
・退職志向層の不満は処遇・昇進・裁量などやりがい面に集中しており、「働きやすいがやりがいがない」「働きやすさ・やりがいどちらもない」など6割が実際にやりがい不足を感じている。
・期待や不安を最も左右するのは、上司や同僚などの“現場の語り”と自分の実体験。同世代との比較・口コミは不安側に、経営発信は期待側に働く。
・退職志向層の最大の足止めは転職活動に伴う心理的・事務的な負担。「3年は続けた方がいい」という社会的慣行意識や経済事情も下支えとなっている
・リモートあり層は退職志向が強く、リモートなし層は継続志向が比較的高い。
・残業が10時間を超えると退職志向が一段強まる。
・同じ「給与不満」でも、働き方や残業時間によって不満の種類が異なる。
・両立実感(やりがい×働きやすさ)では、リモートあり層は「働きやすいがやりがいはない」が突出。
・残業が増えるほど「両立を望む理想」と「体感」のギャップが広がる。
Z世代の「退職・継続意向」の実態
Z世代の約7割が「いずれ辞めたい」と退職意向を内包している。

Z世代(新卒1~3年目)に仕事の継続意向を質問したところ、約7割が「いずれ辞めたい」回答しています。従来のような終身雇用ではなく“辞める前提の就業”へと移行している傾向が示唆されます。
退職志向層の実態
退職を考える理由は、「給与や待遇」が最多。「働きやすさ」と「やりがい」が両立できていないことも影響
入社後「期待より悪かった」と感じる点

退職志向層の期待に対する不満は、給与・待遇(43.4%)が突出し、次いで人間関係や昇給・昇格スピードが続きます。
新卒1~3年目は短い周期での「成長→評価→報酬」の反映を期待しやすいために、そのギャップが不満の要因となっていることがうかがえます。
退職志向層と継続志向層の比較

退職志向層と継続志向層を比較すると「人間関係・雰囲気」「給与・待遇」「仕事の裁量」「柔軟な働き方」でそれぞれ10pt以上の差がありギャップが際立ちます。
「給与・待遇」は継続志向層でも回答が多いため、職場体験の質(関係性・雰囲気・裁量・柔軟性)が不満の度合いを左右していることがうかがえます。
人事制度の整備だけでなく、制度や方針を現場のマネジメントやチームの関係性に落とし込むことが求められていると言えるでしょう。
退職志向層の今辞めない理由

退職志向であっても今すぐ退職に踏み切らない理由は、転職活動の負担・不安(30.0%)と手間の大きさ(29.7%)が上位。その次に、社会的通念としての「3年は続けた方が良い」(27.7%)、キャリア形成のため一定期間は続きたい(27.4%)、次にやりたい仕事が不明確(27.4%)が続きます。
現状に不満はあるが、転職に伴う心理的・事務的な負担や不安が大きく、踏みとどまっている状況だと考えられます。
退職志向層の両立実感 (やりがい・働きやすさ)

退職志向層の不満は「待遇・昇進・裁量」などやりがい側に偏っていたため、「働きやすさ」「やりがい」の両立実感を確認したところ、両立できている(16.6%)は下位にとどまり、ギャップは −32.3ptで乖離が大きくなっています。
実態としては「働きやすいがやりがいはない」が最も多く、前述の「入社後期待より悪かったと感じる点」の結果から、給与のバランス・裁量の度合いがやりがい不足に影響している可能性があります。
退職志向層の不安を感じるきっかけ

抱えている不満や不安は、どの情報に触れることで強まったり緩和されたりしているのかを確認したところ、不安を感じるきっかけは同僚・先輩・上司の話(34.6%)が最多。他社で働く同世代の状況(27.4%)、自身の評価・制度体験(24.0%)が続きます。一方で、経営メッセージ(13.1%)や社内報・社員インタビュー(12.6%)は下位にとどまります。
公式発信より、身近な人達の話と同世代との比較が不安に与える影響が強いことがうかがえます。
退職志向層の期待を感じるきっかけ

期待を感じるきっかけとなっているのも同僚・先輩・上司からの話(40.9%)が最も多く、次いで自分の経験(26.9%)、友人・家族(21.7%)、他社で働く同世代の状況(20.3%)が続きます。
一方で「不安のきっかけ」と比べると、経営メッセージや社内イベントの発信が”期待”に働く割合が高いことが分かります。
したがって、経営の言葉が現場まで届き、日々の仕事に結びつくように、伝達の動線(咀嚼・共有・対話)の整備と、現場との継続的な信頼構築が必要だと考えられます。
継続志向層の実態
良好な人間関係・報酬・柔軟性が満足を押し上げ、仕事の面白さと成長機会が「頑張り続けたい」を後押ししている
継続志向層が「頑張り続けたい」理由

継続志向層が会社に残りたい理由は上司・同僚との関係が良好(37.8%)が最多。次いで給与・賞与など処遇への満足(34.8%)、仕事内容の面白さ・やりがい(32.9%)、柔軟な働き方への満足(29.3%)、成長・キャリア機会(27.4%)が続きます。
「人間関係・報酬・仕事」の魅力が上位で、退職志向層の不満上位と軸はほとんど重なりますが、人間関係の満足が大きい点が特徴的です。待遇や仕事の魅力が同程度でも、上司・同僚との信頼関係が後押しし、定着を支えているといえます。
入社後「期待より良かった」と感じる点

「期待より良かった」と感じる点は、人間関係・職場の雰囲気(48.2%)、給与や待遇(31.7%)、柔軟な働き方(26.2%)。次いで配属の納得感(21.3%)が続きます。
これらは退職志向層が「期待より悪かった」と回答した上位の項目と重なるため、体感の”良し悪し”が継続・退職に影響している可能性が高いことがうかがえます。
同じ項目でも、良い体感は定着に、悪い体感は離職意向に直結しやすいことが示唆されます。
継続志向層の両立実感 (やりがい・働きやすさ)

「両立が難しい」が「両立して当たり前」をやや上回り、現実的な考え方になっています。実態では「両立できている」人が32.3%で、これは退職志向層の16.6%を大きく上回ります。
一方で、どちらの層でも共通して「働きやすいがやりがいはない」が最も多いため、やりがいの感じにくさが共通の課題として浮かび上がっています。
転職時に期待する条件
転職時の最重視は共通して「給与・待遇の十分な保証」。継続志向層と退職志向層でニーズの違いも
転職時に叶えたい条件・希望

継続志向層と退職志向層に共通して最も重視されるのは「給与・待遇の十分な保証」です。次に「柔軟な働き方」、「成果やスキルの公正な報酬反映」が続きます。
傾向として、継続志向層は働き方の柔軟性や育成を相対的に重視し、退職志向層は成果・スキルの報酬反映に加えて、メンター制度や上司によるサポートへのニーズが高いことが分かります。
このことから、キャリアアップを支える体制や仕組みづくり、評価・報酬・育成を束ねた人事制度の見直しが求められていると言えるでしょう。
ワークスタイル別の実態(リモートあり/なし)
働き方(リモートあり/なし)によって不満要因や退職志向の強さが大きく異なることが明らかになりました。
リモートあり層は退職志向が強い

リモート勤務を一部でも行う層では、出社中心で働く層に比べて退職志向が明確に高くなっている。リモート環境では上司や同僚との関係性が構築されづらく、フィードバックの頻度や質が不安定になりやすい。その結果、日常業務の「手応え」や評価の実感が得られにくく、それが離職意向の高まりにつながっている可能性がある。
不満の種類が異なる
働き方によって不満が生じる領域が異なる。出社中心の層では、柔軟な働き方ができないことへの不満や、人間関係・職場の雰囲気に対するネガティブな感情が相対的に大きい。物理的な拘束の強さやコミュニケーション密度が影響していると考えられる。一方でリモートあり層では、昇給・昇格スピード、配属の納得感など、キャリアや評価の運用面に不満が集中している。リモート環境は成果やキャリアの見通しが把握しづらく、評価への納得感が得られにくい構造が背景にある。
やりがい×働きやすさの両立実感

やりがいと働きやすさの両立に関する実感にも大きな差が見られる。リモートあり層では「働きやすいがやりがいはない」と回答した割合が5割を超え、働きやすさが向上する一方で仕事に対する手応えが弱まりやすいという特徴が顕著だった。対してリモートなし層では「どちらもない」と感じる割合が比較的高く、働きやすさの確保そのものに課題が残っている。
転職時に求める条件にも差

転職時に重視する条件にも働き方による違いが見られる。リモートあり層は、成長機会や評価の公正性、チームへの貢献実感など、仕事の手応えを回復させる要素をより強く求める傾向にある。一方でリモートなし層は、柔軟な働き方や処遇改善といった、日々の働き方を快適にする条件を重視しており、現状の働きにくさを補正したい意向が相対的に大きい。
残業時間別の実態
残業時間に応じて、退職志向・不満要因・期待値が大きく変動することがわかりました。
10時間を超えると退職志向が急上昇

残業時間が10時間を境に退職志向が明確に強まる傾向が確認された。ほぼ残業のない0〜9時間層では比較的退職志向が低く抑えられている一方、10〜39時間層では退職志向が約70%台まで一気に上昇する。さらに40〜59時間層に至ると、継続意向が一段と低下し、評価や昇進のタイミング、将来のキャリア見通しに関する不満がより顕在化する。労働負荷が増えるほど、処遇ギャップへの敏感さや将来展望の不確実性が高まり、継続に対する心理的な障壁が強まっている構図が読み取れる。
不満の変化

残業時間の増加に伴い、Z世代が感じる不満の内容には顕著な変化がみられる。特に「柔軟な働き方」や「昇給・昇格スピード」への不満は残業が増えるほど比例的に高まり、労働負担の重さが制度運用やキャリア進展への不満を増幅させている。また40〜59時間層では「会社の社会的意義・ビジョン」への不満が他層の約2倍となり、長時間労働が企業の方向性や理念への信頼低下にまでつながっている可能性が示唆される。負荷が高まるほど、日々の業務だけでなく、組織としての意義や長期的な目的に対する納得感も損なわれやすい。
今辞めない理由の違い

退職志向があっても行動に移さない理由も、残業時間の違いによって大きく分かれる。残業が多い層では、転職活動に伴う工数の大きさや心理的負担が強いハードルとなり、実際の行動を妨げている。一方で残業が少ない層では、転職後のキャリアの不確実性が足止め要因となっており、「辞めたいが次に明確な選択肢がない」状態が続きやすい。また40〜59時間層では、現在の業務で得られる学習機会や、周囲からの期待・責任が離職行動を抑制する要因として働いている。労働負荷によって「辞められない理由」の質が異なる点が特徴的である。
両立実感(やりがい×働きやすさ)

やりがいと働きやすさの両立に対する考え方と実感にも残業時間の影響が大きく表れた。残業が増えるほど「両立して当然だ」と考える割合は高まる一方、実際の体感としては逆に両立できていない傾向が強まる。特に40〜59時間層では「どちらもない」と回答する割合が最多となり、労働負荷の高さが働きやすさ・やりがいの双方を損ねている。また、残業が少ない層でも「やりがいの不足」が最も多く、業務負荷の大小にかかわらず、Z世代にとってやりがい実感は大きな課題となっている。
まとめ
本調査では、離職や定着を左右する要因が、給与や評価といった処遇だけではなく、日々の働き方の体験・組織からのメッセージ・将来の見通しへの納得感といった“体験価値”全体に広がっていることが分かりました。
多くの人にとって「やりがいと働きやすさの両立」は前提でありながら、現場の実感が追いつかないギャップが存在します。これは表面化しにくいリスクとして、早期に捉えるべきテーマだといえます。
また、重視点には層ごとの差があり、退職志向層は「報酬の公正さ」や「支援の手応え」を、継続志向層は「柔軟性」や「育成」を相対的に強く求める傾向が見られました。社員の期待は処遇だけでなく、評価の納得感、仕事の意味づけ、関係性の安心、将来の選択肢の見通しへも向いており、企業側の認識とのずれが意思決定に影響します。
したがって人事には、制度を整えるだけでなく、組織の目的や価値観、キャリアの方向性を一貫した言葉で示し、社員が自らの成長と貢献を実感できる環境を継続的に構築していくことが求められていると言えるでしょう。
本レポートが、人事施策の検討や改善の参考になれば幸いです。
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