【対談インタビュー】会社統合と採用の同時進行。株式会社J.フロントプライムスペース(旧パルコスペースシステムズ)が外部人材と進める人事機能の拡張
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CORNERを活用して、人事課題の解決や事業推進を行った企業にインタビューをする「対談インタビュー企画」。今回ご紹介するのは、建設(内装)とビルマネジメントという異なる事業領域を併せ持ち、グループ内での会社統合という大きな転換期を迎えている株式会社J.フロントプライムスペース(旧株式会社パルコスペースシステムズ、2026年3月に統合)です。
採用強化、人事制度改定、統合対応――複数の人事テーマが同時並行で進む中、同社は初めて外部人材の活用に踏み切りました。今回は、人事を担うお二人に、外部人材とともに取り組んだプロジェクトのリアルと、その中で起きた変化について伺いました。
※記事は取材時点での内容です。
■この事例のポイント
・建設×ビルマネジメントという多職種・高難度な採用課題を抱えながら、会社統合に向けた対応が進行し、人事の役割がますます拡大。
・外部人材を「実務の中核」として活用し、年間25名の目標に対し30名超の採用を実現
・「コア業務は内製」という前提が変化し、外部人材の活用が人事の有効な選択肢へ。採用だけでなく制度改定や労務領域にも活用が広がっている。
<プロフィール>
■齋藤 富弘/株式会社J.フロントプライムスペース 人事部 人材開発課 マネージャー
2007年、前身の株式会社パルコスペースシステムズに中途入社。パルコの店舗運営事業に14年間携わる。その後2020年に人事部へ異動、2021年度から採用・人材育成を担当。2026年より現職。
■川崎 亜矢子/株式会社J.フロントプライムスペース 人事部 人材開発課
2008年にパルコスペースシステムズ・人事部に中途入社。給与、労務、人材育成、採用業務に幅広く携わる。2020年から現在のJフロントプライムスペース人事部人材開発課の前身となるパルコスペースシステムズ人事部人事1課に配属。2026年より現職。
目次
多様な事業と統合フェーズが、人事に突きつけた課題
──まず、御社の事業特性と、人事を取り巻く状況について教えてください。
齋藤さん:当社((旧株式会社パルコスペースシステムズ)は、建設業の中でも内装を手がける領域と、ビルマネジメント・ファシリティマネジメントという、性質の異なる二つの事業を一つの会社でやっています。この二つを同時にやっている会社は、業界の中でもあまり多くありません。
その分、職種の幅が非常に広い。施工管理のような専門職もあれば、ビルの運営・管理に関わる職種もあります。採用という観点で言うと、複数職種を同時に採っていかなければならない難しさがあります。
川崎さん:職種ごとに採用市場も違いますし、魅力の伝え方も変わります。一つのやり方を横展開できないところが難しさでもありますね。
齋藤さん:一方で、職種が多いからこそ、採用の時点で「この人は将来的にこっちの職種も合うかもしれない」といった見立てもできるため、人事としては、採用から定着、成長までをどうつなげるかを常に考えています。
また、現在はグループ内での会社統合が進行中です。最終フェーズは2026年3月を予定しています。採用と統合対応が同時に進む、非常に負荷の高い状況だったと思います。それぞれの事業の規模が大きくなって新たにスタートしていくので、人材開発の担う役割もますます大きくなっています。
──そんな状況の中、課題に感じていたことはありますか。
齋藤さん:喫緊の課題は内装事業の施工管理の採用です。特に電気関係の施工管理の職種については、仕事はあるのに人が足りず、受注を断らざるを得ない場面も発生していました。
組織全体で見ても、「このままではいけない」という感覚はずっとありました。業界的にも、長年同じやり方を続けてきた部分が多く、デジタル化など環境の変化に対応していく必要があります。会社に変化を加えられる人材を採用していかなければならないという危機感はありました。
川崎さん:ビルマネジメント領域でも、単に「管理する」だけではなく、どう価値を高めていくかが求められるようになってきています。 会社としても「ビルバリューマネジメント」と表現していますが、事業のあり方そのものを変えていこうとしています。
「このままでは回らない」外部人材活用の意思決定
──そうした中で、初めて外部人材の活用に踏み切られました。その背景を教えてください。
齋藤さん:正直に言うと、最初から前向きだったわけではありません。役員に話したときは、コア業務を外に出すことに対して慎重な姿勢であったように思います。これまでは、派遣の方に事務的な業務をお願いして、人事の中核は社内で担う、という考え方が社内では一般的だったと思います。
川崎さん:ただ、現実問題として、人事が採用だけをやっているわけではありません。労務もありますし、統合対応もありますし、日々の問い合わせ対応もある。採用を強化しようと思えば思うほど、時間が足りないという感覚が強くなっていました。
齋藤さん:社内で専任を置く、という選択肢も検討しました。ただ、フルタイムで一人分の工数を確保しても、その時間すべてを採用に使えるわけではありません。それなら、採用という領域に専門性を持った人に、必要な時間だけ集中して入ってもらった方がいいのではないか。CORNERの営業の方から、そうした考え方や他社事例を聞く中で、少しずつ現実的な選択肢として見えてきました。
川崎さん:やはりさまざまな業務を兼務しながらやっているので、採用のスピードがどうしても落ちてしまうのは課題でした。今後会社の統合が進めば今以上に業務は増える一方だとわかっていたので、「今のやり方のままでは、このフェーズを乗り切れない」という認識を役員も含めて共有できたことが大きかったと思います。
年間25名採用を目標に、チームで進めたプロジェクト
──外部人材との採用プロジェクトは、どのように進めていったのでしょうか。
川崎さん:当初の目標は、年間25名の採用です。正直、かなり厳しい数字だという認識がありました。ただ、その時は綿密な計画を立てるというよりも、「まず採用を前に進めること」が最優先のフェーズでした。そこで、担当の方には日々の採用実務に入ってもらうだけでなく、当社の採用課題や魅力の整理から着手してもらいました。
齋藤さん:最初から、部分的なサポートに入ってもらうというよりは、実務の中に入ってもらう前提でした。書類選考、人材紹介会社とのやり取り、社内調整、面接の日程調整まで、採用実務の多くをその方に担ってもらっています。事業部全体のオンライン会議にも入ってもらって直接やり取りしてもらっていますね。
川崎さん:求人票の作成は、特に印象に残っています。建設や施工管理のような職種は、我々が現場で経験していない独特の職種のため特有の言葉や感覚が理解しきれず、どうしても踏み込んだ表現ができていませんでした。そこを、建設業の領域で長年採用を経験してきた方が、短期間で作り上げてくれました。専門性の深さとスピード感の違いを実感しました。
齋藤さん:やりながら、役割分担も少しずつ調整していきました。すべてを丸投げするわけではなく、「ここは任せよう」「ここは社内でやろう」と切り分けながら進めています。採用のプロの視点から提案をもらえるのも大きいです。

目標120%達成。数字以上に大きかった変化
──プロジェクトの成果について、どのように感じていますか。
川崎さん:最初に「年間25名採用」と聞いたときは、「これはかなり厳しいな」と思っていました。ただ、結果的には30名を超える採用ができたので数字面でも思った以上の成果がでました。他にも新しい取り組みができるようになりました。例えば、ダイレクトリクルーティングは以前からやった方がいいとは思って何度か試したことはありましたが、一通送るだけでも時間がかかってしまうため断念していました。ところが、担当の方にコツコツと運用していただき、そこから3名も採用できたことで、施策の有効性や適切な運用を続けていくことの大切さを実感しています。
齋藤さん:人数もそうですが、採用の進め方自体が変わりました。以前は、目の前の応募対応に追われて、次の一手を考える余裕がなかったんです。「この職種は今が採用の山場ですよ」というように、注力どころをアドバイスいただけるようになり、採用を“作業”ではなく“プロジェクト”として進められるようになりました。
──社内の変化という面ではいかがでしょうか。
川崎さん:統合対応で本当に余裕がない状況の中、“困ったことがあればコーナーさんに相談できる”という安心感ができました。「この領域に詳しい人を紹介してくれる」という信頼ができたのは大きいです。
齋藤さん:最初は「コア業務を外に出すなんて」という雰囲気もありました。でも成果が出たことで、「外部人材でもここまでできるんだ」という認識に変わりました。採用が回り始めると、社内の空気も変わります。
最近では、「この部分、コーナーに相談できないかな」という会話が自然と出てくるようになっています。外部人材の活用が、特別なものではなく、当たり前の選択肢の一つになってきた感覚がありますね。
外部人材とともに、人事機能をどう拡張していくか
──採用と並行して進められた人事制度改定についても教えてください。
齋藤さん:会社統合に伴い、新しい制度を社員に説明する必要がありました。制度そのものよりも、「どう説明するか」「どう納得してもらうか」が難しかったですね。
短期間でもいいから、制度設計に知見のある方に入ってもらいたいと考えコーナーさんに相談し、社内展開の準備を進めました。
川崎さん:説明資料の作成や、社員からの質問を想定した壁打ちなど、理論武装した状態で説明に臨めたのは大きかったです。
──最後に、今後の人事としての展望を教えてください。
川崎さん:外部の方にお願いして終わり、という形にはしたくないと思っています。一緒に仕事を進める中で、やり方やノウハウを社内にも蓄積していきたいですね。外部の人事プロフェッショナルの専門性を借りながら、人事の進め方そのものをアップデートしていけたらと思っています。
齋藤さん:今回の取り組みを通じて、外部の専門性を部分的に掛け合わせることで、これまでよりも早く、質の高い取り組みができるという実感がありました。
今後は採用だけに限らず、人材開発や制度、労務なども含めて、人事機能全体で外部の力を活かしていきたいと考えています。自分たちだけでは到達できないところに、外部の専門性を掛け合わせていく。そういう形で人事機能を拡張していくことが、これからの一つのあり方なのではないかと思っています。
編集後記
会社統合という大きな変化の中で、採用と制度改定を同時に進める。一つ一つが大きなテーマでその負荷は決して小さくありません。そんな中、社内で抵抗感のあった外部人材活用に踏み切り、「まず採用を回す」という現実的な一歩から始まったパルコスペースシステムズ。「全部を抱え込まない」というスタンスが、結果としてスピードと質、人事組織の余白を生み出しているように感じます。
採用数の達成という成果だけでなく、「困ったら相談できるパートナー」の存在の安心感や外部人材を活用するという選択肢が社内に根付いたことは、今後の組織運営にも大きな影響を与えていくと思います。



















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