「衛生委員会」を活性化する3つの秘訣 – 義務対応から企業文化を変える原動力へ
職場の安全と健康を守るために重要な役割を果たす「衛生委員会」。働く環境改善は多くの企業が注目している分野ではあるのですが、「衛生委員会」の運用に課題を感じている企業も少なくないようです。
今回は、複数社の企業人事でのご経験とフリーランス人事のご経験を持つパラレルワーカーの若狹 麻実さんに、「衛生委員会」の概要から運用方法・事例にいたるまでお話を伺いました。
<プロフィール>
若狹 麻実(わかさ あさみ)/人事パラレルワーカー(CQコーチ、Positive Psychologyプラクティショナー、健康経営アドバイザー)
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新卒でビューティーブランドに入社。事業部管理職と人事(採用、育成)を経験し、人事職に転向。創業期の株式会社メタップスにジョインし、コーポレートの立ち上げから、IPO・グローバル展開・度重なるM&Aなど急成長フェイズの人と組織を支え、ホールディングス全社に向けた組織文化融合施策を推進。その後、株式会社TimeTree、株式会社ユーザベース、Baseconnect株式会社において、経営と人事の両視点から戦略設計~実務運用まで、コーポレート部門・人事部門の立ち上げやガバナンス整備、ブランディング、人材育成・組織開発、労務問題対応等、人事部門の責任者を担いながら全方位型で人事領域を牽引。
パラレルワーカーとして、IPO支援、Purpose・MVVや人事制度の再策定、人事労務BPR支援からスタートアップ経営者・企業人事やコンサルタント向けのアドバイザーとして活躍中。IPO協会 轟 一般社団法人 組織人事サクセスパートナー。2025年8月から、グローバル展開を進めるディープテック・スタートアップに人事責任者としてジョイン。
目次
「衛生委員会」とは
──「衛生委員会」とはどういったものなのかご解説をお願いします。
「衛生委員会」とは、従業員の健康障害や労働災害を防止し健康の保持増進を図ることを目的として、労働安全衛生法に基づき設置される組織のことです。常時50名以上の従業員がいるすべての事業場に設置義務があるもので、会社の業種・従業員数により設置義務のある組織が異なります。「衛生委員会」は毎月開催され、従業員が安全に働く環境、健康障害の防止対策、健康を育む取り組みなどについて調査・協議し、実際の取り組みなどを決定します。また、議事録の作成と労働者への周知・3年間の保管等、詳細に法律で定められている部分もあり、「衛生委員会」の未設置や運営不備に対しては、労働基準監督署からの是正勧告や指導が行われる可能性があるため注意が必要です。
また、「衛生委員会」と似た言葉に、「安全委員会」や「安全衛生委員会」があり、それぞれの定義は下記の通りです。
■衛生委員会……『健康確保』を目的として、従業員の衛生的健康障害の防止、健康増進策を協議するもの。常時50名以上の従業員がいるすべての事業場に設置義務あり。
■安全委員会…… 『安全確保』を目的として、従業員の危険を取り除き労働災害の防止策を協議するもの。設置義務が発生する従業員数は業種ごとに異なる(下表参照)
■安全衛生委員会……上記両方の役割・機能を担う統合組織。
安全衛生委員会は、安全委員会及び衛生委員会の両方を設けなければならない場合に、それぞれの委員会の設置に代えて、安全衛生委員会を設置することができます。また、労働者数50人未満の事業場では安全委員会、衛生委員会のいずれも設置の義務はありませんが、委員会を設けている事業場以外の事業者は、安全または衛生に関する事項について、関係労働者の意見を聞くための機会を設ける必要がありますので、注意しましょう。
※引用:『安全委員会、衛生委員会について教えてください。』/厚生労働省
「衛生委員会」を構成するメンバーは以下の通りです。
①議長(総括安全衛生管理者または事業の実施を統括管理する者、若しくはこれに準ずる者/1名)
②衛生管理者
③産業医
④衛生に関し経験を有する労働者
これらのメンバーは事業者側から指名することができますが、議長以外のメンバーの半数は、過半数労働組合、または労働者の過半数代表の推薦をもとに指名しなければなりません。
議長は中立的立場とし、②『衛生管理者』と③『産業医』の事業(使用)者側メンバーと、④『衛生に関し経験を有する労働者』の労働者側メンバーの役割とで構成され、労働者側メンバー数は事業(使用)者側メンバー数と、同数かそれを超える人数で構成する必要があります。
また、「衛生委員会」の性格から事業(使用)者メンバーとして人事担当者が参加することが望ましく、基本的には7名構成、人事担当者が衛生管理者ライセンスを保持する場合は5名構成とすることもできます。メンバー数についての規定はないため、会社規模や文化に適した人数で運用しましょう。
※7名構成のイメージ
※5名構成のイメージ
「衛生委員会」の意義が従業員に理解されづらい理由
──なぜ「衛生委員会」を実施するのかを従業員が正しく理解できていないケースがあると聞きます。その理由にはどのようなものが考えられますでしょうか。
「衛生委員会」の意義や内容が従業員に理解されない理由は、大きく4つあると考えています。
(1)委員会自体が形式的な運営になってしまう傾向がある
「衛生委員会」は法律で設置が『義務付けられているもの』のため、企業の中には形式的に開催してしまっているケースも少なくありません。加えて、「衛生委員会」の設置・開催義務がある従業員50名規模の企業フェイズでは「衛生委員会」に人員や工数(リソース)を割くことが難しかったり、心理的にも他業務の緊急性や重要性に比較して、優先順位が下げられてしまうことが多いようです。
また、労働者側の参加者が運営に関与しづらいことも形式的な運営になってしまう理由の1つです。事業者側(産業医、衛生管理者、人事など)は専門知識を持つメンバーがアサインされる一方で、労働者側は安全衛生・ヘルスリテラシーの追いついていない従業員が参加しているケースがほとんどです。そうなると、議論も専門職者が中心に進むことで、労働者側メンバーはただ聞いているだけの状態となり『自分ごと化』されにくく、委員会としては活性化しにくい状態につながっていきます。
こうした状況が重なると「衛生委員会」がただの『報告の場』やタスクチェックの『作業の場』になってしまい、本来の目的(労働者の健康と安全のための改善活動)が後回しになった結果、職場環境の改善につながらず従業員からの関心も低下してしまいます。
(2)委員会の議論内容と従業員の関連性が伝わりにくい
「衛生委員会」では、『健康診断の結果』、『ストレスチェックの統計報告』、『規定遵守の確認』など、従業員の業務やビジネスに直接関係しないと思われてしまいがちな内容が議論の中心になることが多くあります。そのため従業員からすると『自分たちの生活や働きやすさにどう影響するのか』がイメージしづらく、「衛生委員会」への興味・関心が湧きづらい状況があるのです。また、委員会の議事録の公開が形式的なものになっていたり、その伝達手段が一方的だったりすると、余計に取り組み内容が従業員に届きづらくなります。
(3)成果が見えない・感じられない
「衛生委員会」で決定した施策でも、その後具体的な行動や結果につながらないことはよくあります。すべての施策が初めからうまくいくとは限らないため、それ自体は問題ありません。しかし、その後のフォローアップが不十分だったり、改善がなされずに曖昧なまま終わったりしてしまうことにより、従業員からみると『会議をやっているだけで、結局何も変わらない』という印象を持たれてしまう可能性があります。
(4)予算確保の課題
上記(1)~(3)のような状況に陥ってしまうと、会社としても「衛生委員会」に予算確保がしづらくなります。すると委員会メンバー自身も『予算がないからできない』『予算をとってもらえない価値のない仕事』という狭い思考に陥ってしまい、委員会の活動自体が負のスパイラルに陥る可能性があります。
「衛生委員会」を運用する上で注意すべき点
──ここまでのお話を聞いて「衛生委員会」の肝は運用にあると感じました。どのような点に注意するとスムーズに運用をできるのでしょうか。
「衛生委員会」の運営ポイントは『ムーブメント』『リレーション』『オペレーション』を【3つのキーワード】として解説します。
■ムーブメント
まず、会社全体で『ヘルスリテラシーを高めるムードづくり』をしていく必要があります。それにより従業員の能動的な参加や協力を促し、結果的に委員会メンバーにかかる負担を緩和することもできるため、「衛生委員会」をよりライトで効果的に運用するための素地づくりにつながっていきます。こうしたムードを作る方法としては、大きく3つの取り組みがあります。
(1)チームビルディングとブランディング
「衛生委員会」の運営においてチームビルディングは非常に重要です。なぜなら、効果的な委員会運営はメンバー同士の連携や信頼関係に大きく依存しているからです。具体的なチームビルディングの方法としては、例えばワークショップを開催して委員会メンバー1人ひとりの理想『どんな環境で働きたいか』を語り合い、その実現に向けて『「衛生委員会」の”パーパス(存在意義)”や”ミッション”』はなにか?を自分たちなりのことばで言語化しコンセプトを掲げる等、『やらなければならない決められたもの』から脱却し『自分たちでつくりあげていくもの』にしていきましょう。
また、「衛生委員会」の社内通称を持つこともおすすめです。ワークショップで言語化したパーパス(存在意義)や目指すものが伝わるような名称にすることで、委員会メンバー以外の従業員にも興味・関心・愛着を持ってもらえるようになります。ただし、法定の「衛生委員会」活動であることがわかる必要はあるため、基本情報や活動を告知するドキュメント内には『〇〇チーム(通称)は衛生委員会である』旨を記載するなどの工夫はしておきましょう。
(2)プレゼンスビルディング
チームビルディングで言語化したパーパス(存在意義)・ミッションを基に社内へアピールを行いましょう。『一方的な発信』ではなく、社内ブランディングを行うイメージで、しっかりと存在感(プレゼンス)を高めていくことが重要です。具体的には以下のような取り組みが考えられます。
▼社内イントラネットなどに「衛生委員会」ページを開設する
・委員会の『パーパス(存在意義)』や『ミッション』、『コンセプト』の明示
・産業医を含めた委員会メンバーの紹介
氏名や役割だけでなく、顔写真やそれぞれの想いも紹介するとより親近感が湧いたり共感が生まれ、協力をしてくれるきっかけになることもあります
・委員会の具体的な活動内容
委員会のスケジュール・議事録など、法定に則った活動のみならず、自社ならではのユニークな取り組みの共有、可能な範囲で『定量データ』を用いたAs-Is To-Be的に『今後の〇〇改善取り組み予定』や、過去の取り組み成果『Before/After紹介』等、実際の変化がわかりやすい実績も、フロー情報とならないように可視化して共有ましょう。また、従業員へのヒアリング、サーベイ結果など『従業員の声』も紹介し、従業員に『自分たちが関わっている』という実感を持たせることができます。
・相談窓口の明記
従業員が気軽に意見や相談を伝えられるよう、記名・匿名を選べるオンラインの窓口を設け、自動返信機能などで声が届いていることを示すことで、心理的なハードルを下げ貢献実感をもってもらえるコミュニケーションフレンドリーな環境を整えましょう。
▼社内イベントでのPR活動
社員総会、定例会議など、多くの従業員が集まる場に「衛生委員会」として登壇しましょう。例え数分のごく限られた時間でもPR活動を継続的に行うことで、従業員はもちろん役員陣にもその想い、取り組み内容や成果・有用性が伝われば、次年度以降の「衛生委員会」に充てられる予算にもポジティブな影響を期待することもできます。
▼入社オリエンテーションのプログラム化
新入社員向け入社オリエンテーションの中に『雇い入れ時の衛生教育』としてたとえ10分でも「衛生委員会」からのプログラムを組みましょう。従業員の健康や安全を大切に考える会社であることを最初に知ってもらうことが大切です。また、従業員のヘルスリテラシーをあげていくには、最初の段階からマインドセットに入れていくことが効果的です。
▼キャンペーン、イベントの実施
ストレッチウィーク、ランチタイムピラティス、家族やパートナーなど従業員の身近な人・大切な人も参加できるメンタルヘルスセミナーなど、楽しさと実用性を兼ね備えた巻き込み型のキャンペーン、イベントを実施することにより、飽きられずに従業員の興味・関心を高めることができます。実施後にはアンケートを取り、次回の参考にすることで継続的な改善を図りましょう。
▼従業員代表やキーパーソンをアンバサダーに
従業員代表や社内のキーパーソン(信頼を多く集めている人、場を明るくする力を持っている人など)をアンバサダーとして巻き込めると、委員会の影響力はより強くなっていきます。例えば、彼らがじっくり協力するリソースの提供は難しくても、社内チャットツール上で「衛生委員会」からの発信を、その方から一言添えて再拡散するだけでも従業員の受け取りの拡がりも期待できるでしょう。
■リレーション
産業医と委員会メンバーそれぞれの『ミッション』や『役割分担』と取り組みサクセスのための『連携ポイント』について解説します。
(1)産業医の『役割』
産業医の『役割』は、職場の健康リスクや改善ポイントについて専門的な知見をもとに提案を行うことです。専門的な内容を理解度の浅い従業員にもわかりやすく噛み砕いて広めることや、参加者との連携を深められるための工夫も必要です。
具体的な行動には以下のようなものがあります。
・健康診断やストレスチェックの結果を分析し、生活習慣や職場環境改善の優先順位を提案する
・従業員の健康課題をもとに、具体的かつ実行可能な改善案を提示する
・メンバーが見落としがちな法令遵守や労働衛生基準に関する助言を行う
・健康やメンタルヘルスの重要性を従業員向けに講演やセミナーで直接伝える
・産業医が一方的に話すだけでなく、現場の声やニーズを積極的に聞く姿勢を持ってもらえるように働きかける
産業医の仕事の仕方も様々であることが現実です。物足りないと感じる場合は、契約内容を見直したり、契約内容が充分である場合は、きちんと対話をするように心掛け、頼りにしている存在であることをしっかり伝えましょう。
(2)委員会メンバーの『役割』
委員会メンバーの『役割』は、現場と委員会をつなげるパイプ役として現場の意見を委員会に持ち込み、その委員会の決定事項を現場に広め、改善活動を推進することです。また、委員会メンバーがその役割を果たすためには、メンバー同志が『一枚岩』である必要があります。議論の際には発言者が一部のメンバーに偏らないよう、全員が積極的に発言しやすい環境を整えることも必要です。
具体的な行動には以下のようなものがあります。
・職場の課題や改善要望をヒアリングやサーベイで収集し、委員会で提起する
・委員会で決まった施策を現場で実行可能な形に落とし込み、フィードバックする
・『現場での課題』を具体的に示して議論を深めたり、意見を出せていないメンバーから考えを引き出すようなファシリテーションを行う
・委員会の取り組みや成果を社内に周知し、経営や現場の関心を高める継続的なPRを行う
■オペレーション
「衛生委員会」をスタックさせない実務的な工夫ポイントを4つご紹介します。
(1)年間衛生推進計画を立てる
※年間衛生推進計画フォーマット例
年間の活動に対する基本方針と、具体的な活動計画を可視化します。具体的には、毎月の「衛生委員会」のアジェンダと予定を立てましょう。その際、『10月実施の取り組みは8月から準備が必要』なども明記しておけると、準備不足でバタバタしてしまうことを回避できます。
そして、アジェンダに合わせて適切に産業医や顧問社労士に協力を依頼するなど、専門家の力を借りることも視野に入れましょう。産業医や顧問社労士と平時から連携しておくことで、有事の際の連携もスムーズになります。また、予定を立てる際は『会社の意図・文化・イベントに合う区切り』を選ぶようにしましょう。例えば、予算とのつながりをスムーズにするなら会社の決算期(8月決算なら9月~翌8月の1年区切り)ですし、健康保険年度なら4月始まり、給与関連は1月始まりです。また、その他のイベントも考慮しておく必要があります。一般的に、7~9月は夏季休暇取得者が多いため全従業員が揃いにくく、人事評価期間は面談も多くリソースが限られるのみならず、少しセンシティブな時期でもあります。
これらを踏まえ、どの時期にどのようなテーマを持つことが適切か全体感を考慮して検討してみましょう。年間推進計画のフォーマットも提供されていますので、参考にしてみましょう(※)。
※参考:『年間安全衛生管理計画を作成しましょう!』厚生労働省青森労働局
(2)実行性と再現性の担保
「衛生委員会」をリードするのは特定メンバーに偏りがちです。そのため、実行性と再現性の高い持続可能な体制を整えるために、いつでも・誰でも「衛生委員会」を運営できるようにマニュアルを作成しオペレーションを標準化しましょう。ポイントは『シンプルであること』です。近年、労働関係法規の改正も多く、ひとたび改正が入ればマニュアルも作り直さなければなりません。いざという時に修正・メンテナンスしやすいシンプルなマニュアルになるように心がけましょう。会社の成長や配置転換などで、「衛生委員会」の業務を誰かに引き継ぐ時も、マニュアルが『シンプル』であれば、後任者もキャッチアップに時間をとられず、メンテナンスが現実的で『生きたマニュアル』を持ち続けることができます。実際に、マニュアルを細かく作り過ぎてメンテナンスが追い付かず、残念ながら『作って終わりの使われないマニュアル』になっている企業も少なくありません。
また、社内向けの運用Tipsの中には、情報提供や注意喚起を目的としたもので、季節性があり毎年ほとんど内容が変わらないものもあります。そうした情報は社内イントラに掲示しておき、必要なタイミングで社内チャットツールを利用してクイックに共有するなどシンプルに運用できる状態にしておくのも効率的です。
さらに、もう1ステップあるとすれば、「衛生委員会」の業務のみならず担当する全業務において、『やる仕事』『やらない仕事』を見直し、正確性と効率化の視点で業務全体を調整し緩急をつけてバランスをとることでしょう。
(3)ペーパーレス化の徹底・AIと共存して効率化
運用の重要なポイントの1つは『時間をかけるところと時間をかけないところの緩急をつける』こと。例えば、体裁の決まっている文書処理などは時間をかけずに対応したいものです。いまだに「衛生委員会」関連文書を紙に捺印をして運用している企業があるようですが、2020年からパブリックに押印廃止も進んでいます。捺印を省略できるものは省略、必要なものはデジタルサインサービスなどを利用するようにしましょう。
「衛生委員会」で労働基準監督署に届け出るべき文書を取り扱う際には、政府が提供するe-Gov(24時間365日オンライン上で行政手続きの電子申請、届け出ができるポータルサイト)を利用すると文書を郵送する時間・コストも削減できますし、最新の行政情報や「衛生委員会」関係法規も検索することができ便利です。(電子申請が義務化されている手続きもありますので、再度ご確認を。)
また、「衛生委員会」で取り扱う事柄の範囲は幅広いため多数のファイルやデータが管理・運用されています。これらの管理・運用工数とそれにかかる時間を考慮すれば、人件費と効率性、正確性等、HRテックを導入した方が、費用対効果も高くなる場合が多くあります。HRテック提供企業によっては、社内での提案資料の材料となる数字や資料の作成をサポートしてくれる会社もあります。まずは、サービス概要をきいたり見積依頼など気軽に問い合わせてみましょう。無料で利用できるAIサービスも個人情報等を入力しないことや会社のセキュリティポリシーに触れない範囲で有効活用可能です。また、労務に特化した有料AIサービスもありますので、『タイパ』『コスパ』を意識しながら、『人である価値の仕事』と『AIに任せる仕事』を共存させていきましょう。
(4)プロジェクトマネジメント
「衛生委員会」はプロジェクトマネジメントと同じイメージで運用するとわかりやすいと思います。ゴールからバックキャスティングしてタスクや担当を割り振り、中間期日も決めて進めていきましょう。ただし、その進捗管理自体に夢中になってもいけませんから、どの程度の解像度でやるかは会社の文化や現実的なリソースを考慮して決めましょう。少なくとも、取り組みの担当者とネクストアクションを決め、可視化し、振り返ることの徹底は根気づよくトライして習慣化しましょう。
「衛生委員会」のテーマ決め方法
──「衛生委員会」で難しいことの1つに『テーマ決め』があると思います。どのように設定すると良いでしょうか。

「衛生委員会」のテーマ決めのポイントとして『原点回帰』と『融合』を提案します。リソースに余裕のない中で「衛生委員会」をマスト業務の1つとしてこなしている状態だと、無意識に『衛生委員会の管掌範囲はここまで』と限定してしまうことも少なくありません。そこで、『基本』に見落としがないかを振り返る『原点回帰』、「衛生委員会」の管掌範囲でないと思いこんでいた(あるいは知らなかった)他ファンクション領域のアジェンダとの『融合』という視点で見直してみると、実は「衛生委員会」の役割で担えるテーマは際限なくみえてきます。
また、従業員にヒアリングやアンケートを実施する案もありますが、普段の雑談や相談の中に、従業員の関心や本音が隠されていることが多いため、日頃からそうした声に耳を傾けることで、活動のヒントを見つけ出すこともできます。
■原点回帰(基本に見落としがないかを振り返る)
「衛生委員会」の法令上の目的は、『労働者の健康の確保に必要なことについての調査審議』です。この『調査審議』は労働安全衛生法第18条、労働安全衛生法施行令第22条・第23条に記載されていますので、改めてチェックしてみてください。以下には、実務上で見落とされがちな例を8つあげています。
(1)感染症対応
新型コロナ対策を懐かしく思う人もいるかもしれませんが、2025年8月3日時点で、東京都内の感染者数は7週連続で増加傾向にあり、決して対応が終了したとは言えません。また、いつ・どのような感染症が流行するかを100%予測することは不可能です。しかし、行政の提供する感染症分類の一覧に目を通して従業員が感染症に罹患した場合の対応策を作成し、急な申し出にも慌てず対応できるフローとマニュアルを作成することはできます。感染症の分類によっては法律で就業が禁止されているレベルのものもあるため、産業医の意見をもらいながら相談して策定することが大切です。また、その対応策は従業員用も作成して公開・周知徹底しましょう。
(2)療養方針
リモートワークが一般化したことで『体調不良でも休まない従業員』が問題となっている企業も少なくないようです。これは企業の安全配慮義務問題はもちろん、体調不良のまま働くプレゼンティーイズムは欠勤するアブセンティーイズムによる労働損失より大きいといわれていることは気になるところです。対応として、勤怠や給与の取り扱いをどうするかなど整合性をはかりながら、会社として『働かずに治療、療養に専念する』明確な基準を定めて周知すると良いでしょう。
(3)労働時間と休暇取得状況
法令では『長時間労働者』にフォーカスされがちですが、短時間労働者(時短契約社員ではなく所定労働時間を満たさない従業員)にも注目してみましょう。所定労働時間を満たさない場合、心身不調のアラートや隠れアルコール依存症、深刻な家庭の問題を抱えているなどのケースも考えられます。一方で、正当な理由なく労務の提供をしていないと合理的な判断ができる場合は、労務の問題(就業規則での指導対象となりえる)として対処が必要です。また、勤怠集計方法(勤怠システムの設定)によって労働時間に有給休暇を取得した分が加算されている場合もありますので、その点は数字の取り扱いに注意しましょう。(例えば、1日の所定労働時間8時間の会社で営業日数20日の月の場合、所定労働時間は160時間です。集計上、ある従業員の同月総労働時間が184時間となっていても、そこに有給休暇2日分が加算されていれば実労働時間は168時間となります。)
あわせて、休暇の取得状況チェックも重要です。有給取得日数・取得率もウォッチしましょう。2019年4月から有給休暇を10日以上付与されている従業員は年間5日の取得をさせることが義務づけられています。従業員の健康を維持すること、同時に法令違反とならないようしっかりウォッチし、取得の進まない従業員の推進施策もはかりましょう。
(4)健康診断・ストレスチェック
法令で義務づけられている施策のため、『受けさせること』が目的になっている場合も少なくないようです。『健康診断結果』は産業医にチェックしてもらい、結果によっては『産業医面談』『速やかに再検査』『〇ヵ月様子を見る』などいくつかのパターンに分類してもらいます。その分類の結果の追いかけをできていない企業も多くみかけます。特に、再検査は従業員自身も放置することも珍しくありませんので、その促進の工夫も必要でしょう。また、厚生労働省の行った調査(※)ではトランスジェンダー当事者の18%が『健康診断を受けづらい』と回答をしています。健康診断企画は、ただ予算と時期を決めるだけでなく、こうしたサイレントな課題にもきちんと目を向けましょう。
『ストレスチェック』という名称から『高ストレス者のあぶり出し』というネガティブイメージが払拭されないケースの企業もあるようです。あくまで『心の健康診断である』ことを趣旨説明し理解を深めてもらえるように工夫しましょう。
※参考:『多様な人材が活躍できる職場環境づくりに向けて』/厚生労働省
(5)有事の対策(地震/火災対策・避難経路の確保・備蓄品など)
2024年からオフィス出社の推奨、義務化も増加傾向にあるようですが、万一の災害に備えた対策も見直しましょう。地震対策として、ヘルメットや数日分の防災グッズ(食料・水含む)の備蓄を点検し、消費期限の管理も忘れずに行い、真夏や真冬に停電したオフィスで長時間過ごす可能性も想定内であるように検討しましょう。
また、職場巡視で指摘されやすいリスク、例えば高い場所に置かれた荷物、転倒防止がされていない什器、避難経路の障害物がないかも確認しましょう。火災の原因となりうるタコ足配線やコンセント周りの埃など、些細に感じることこそ見落とさないよう、安全なオフィス環境を確保しましょう。
(6)法改正対応に関する検討
近年、「衛生委員会」も管掌する労働関係法規の改正が頻繁です。(2025年1月1日~2025年12月31日までに施行される人事・労務関連の法令は38件)育児・介護関連の法改正は特に頻繁ですが、それ以外にも2025年6月1日施行の『労働安全衛生規則改正』として『熱中症による健康障害の疑いがある者の早期発見や重篤化を防ぐために必要な対応の義務付け』があります。
また、当年以外にも中長期で検討するべき対応もあります。例えば、2025年3月14日の閣議決定で、50人未満の事業場にもストレスチェックを義務化する改正案が示されました。これは、従業員50人未満の事業場も、2028年までにストレスチェックの実施が義務化される見通しです。企業が法令を先行して対応をすることは望ましいことですし、本来の「衛生委員会」の役目を考えれば『疾患の予防や健康を育む目的』として法改正を待たずに実施を始めることも、素晴らしい取り組みだと思います。
法改正対応は漏れのないように、管掌部門と連携しながら衛生委員会でよく協議・検討しましょう。
(7)規則・規程の整備とフレンドリーなシェア
「衛生委員会」に関わる規程(就業規則・衛生管理規程・衛生委員会規程・ストレスチェック制度実施規程など)が忘れ去られている企業は意外と多いものです。前項(6)で示した対応にも連動しながら、適宜、最新の法令や会社の方針・運用実態にあった条文にアップデートしつつ、従業員への情報提供をこまめに行っておきましょう。特に注目してほしい条文はクローズアップして社内イントラなどでかみくだいた表現で案内するなども効果的です。
(8)いつものテーマも時代に合わせてリニューアル
オフィス勤務回帰によって、飲食の伴う社内イベントや飲み会も増えている様です。これも、時代に合ったテーマ設定が重要です。例えば、飲酒について、以前は『過度な飲酒の注意』や『年末年始の忘年会・新年会による急激な体重増加の予防』等がテーマでした。それらは前提に注意喚起しつつ、多様性や健康志向に合わせて飲料メーカーが推進する『スマートドリンキング®(お酒を飲む人と飲まない人が尊重し合える社会の実現を目指す)』などの考え方を取り入れ、お互いを尊重し合える文化を育みましょう。また、食事についても、アレルギーや宗教・信条などによる制限を持つ従業員への配慮も不可欠です。メニューを選ぶ際は、特定の個人が寂しい思いをしないよう、追加予算をかけずとも、多様な選択肢を少量ずつ用意するなどの工夫が効果的です。
■融合
大儀的に言えば多様性(ダイバーシティ)を基盤にする対応の取り組みについてです。『多様性の対応』は、大企業や特定の部署が取り組むイメージをお持ちの方も多いようですが、果たしてそうでしょうか。実際には、多様な従業員は多様なまま既に毎日一緒に働いている『目の前のその人』です。多くの従業員が大なり小なり問題や何かしらのハードルを抱えて働きづらさを感じているのが現実であり、その課題は「衛生委員会」でこそ取り上げるべき潜在的テーマです。実際に管掌する担当部署があれば、コラボレーションを提案しましょう。多様性への取り組みを『いつかやりたい』と考えているのであれば、「衛生委員会」の活動と融合させることで、必須業務と両立させることが可能です。
組織行動研究の文脈では、1990年代以降、ダイバーシティは大きく2種類に整理されてきました。この両方を基盤として物理的にも心理的にも環境整備をしていくことを想定するだけでも、どれだけ検討すべきことがあるか想像できるのではないでしょうか。
①タスク型ダイバーシティ……見た目では分からない内面のダイバーシティ(能力・知識・考え方・経験値・経歴など)
②デモグラフィー型ダイバーシティ……見た目で分かりやすい属性のダイバーシティ(性別・国籍・年齢など)
このダイバーシティをベースとして従業員の心身の健康を守る具体的なテーマ例を紹介します。
▼多様な性(LGBTQ+)への配慮
日本のLGBTQ+の割合は約10人に1人(9.7%)とされており、従業員50名の企業には4~5人の当事者がいる計算になります。慶事休暇や休養室など、『会社のあらゆる制度の前提』がどうなっているか見直し、心理的安全性を確保することで、精神衛生やBelongingの向上、ロイヤリティーやエンゲージメントの向上につなげていきましょう。
▼生理に関する理解促進
内閣府の男女共同参画局の調べによると、女性労働者の生理休暇取得率はわずか0.9%(2020年度)です。これは申請しづらい職場環境が原因の一つとされています。生理の話題をタブー視せず、お互いの体調を理解するための勉強会などを開催することで、働きやすい文化を育んでいきましょう。
▼睡眠と勤務間インターバル
質の良い睡眠は仕事のパフォーマンスに直結します。近年は、従業員の健康な睡眠に関する施策を打つ企業も増えてきました。例えば、『ショートスリーパー』か『長時間睡眠の必要な人』かは遺伝子レベルで決まっています。そうした基礎知識も備えながら、勤務間インターバル制度の導入を検討し、十分な休息時間を確保することは、疲労の蓄積を防ぎ、従業員の健康と生産性向上につながります。
▼健康経営・人的資本経営指標の活用
『健康経営』や『人的資本経営』は、上場企業だけの取り組みではありません。例えば、経済産業省が公開している『健康経営銘柄』の調査票や、人的資本経営の項目を参考に、自社に必要なテーマをピックアップすることで、「衛生委員会」の活動をより戦略的に進めることができます。これらの活動は、会社の規模に関わらず、組織全体の活性化に貢献します。
視点や考え方を少し変えるだけでたくさんのテーマがあげられると思います。また、これらの取り組みは採用広報にもつながり、本来必要な人材の確保(アトラクト・リテンション)にも効果が期待できます。これまで、身近に考えてこなかったテーマでも、是非、自社のこと・自分ごととしてピックアップしてみてください。

「衛生委員会」運用の成功事例

──若狹さんがご存じの成功事例について教えてください。
『「衛生委員会」を運用する上で注意すべき点』でお伝えした『チームビルディング』『プレゼンスビルディング』と『オペレーション』を【3つの秘訣】として成功事例をご紹介します。
■チームビルディング
「衛生委員会」の活動を成功させるには、まずメンバー間の結束力を高めることが不可欠です。企業がパーパス(存在意義)を掲げるように、委員会メンバー全員で『なぜこの委員会は存在するのか』『どんなミッションを果たすのか』を話し合い、言語化することから始めました。
ミッションやコンセプトを明確にすることで、委員会活動の『北極星』が定まります。例えば、『従業員が心身ともに健康で、安心して働ける環境をつくる』といった具体的な目標を設定することで、メンバーは建設的にアイデアを出し合い、課題解決に向けて協力しやすくなりましたし、チームワークが高まって、誰かが業務多忙でタスクが滞りそうになった時も、自然と他のメンバーがフォローに入るような助け合いの精神が育まれていき信頼関係も深まりました。
目的や進むべき方向が曖昧なままでは、活動が形式的になったり、モチベーションが維持できなかったりします。いきなり『パーパス(存在意義)』を考えるのが難しければ、まずは『コンセプト』や『大切にしたいこと』など、自分たちに馴染む言葉で話し合ってみましょう。このプロセス自体が、メンバーの当事者意識を高め、より良いチームをつくるベースとなります。
■プレゼンスビルディング
「衛生委員会」の取り組みをより多くの従業員に届けるには、前提として委員会の存在感を高める工夫が必要だと考えました。カルチャーや規模の異なる複数企業で、大きく5つの取り組みを実施しましたが、どの企業でも再現性があり手ごたえがありました。
(1)「衛生委員会」ページの開設
全社向に向けた情報発信基盤として全従業員が日常的にアクセスしている社内イントラに「衛生委員会」ページを開設しました。そこに各種資料や議事録のみならず、委員会メンバーの顔写真とプロフィールを掲載しました。その反響は非常に大きく、『産業医の存在を知ることができて安心した』という声が届いたり、『衛生委員会ってこんなこともやっていたんですね』と興味を示してくれた方が、その後委員会メンバーに参加してくれたこともありました。
委員会では当たり前だと思っている情報をあえて可視化して発信することや、あの手この手で根気強く発信を続けることの重要性を実感しました。
(2)入社オリエンテーションプログラム化
新入社員向けの入社オリエンテーションに「衛生委員会」からのコミュニケーションプログラムを盛り込みました。例えば30分の時間でも、最初の10分で委員会の活動・成果等を紹介し、後の20分で産業医と新入社員のグリーティング(ざっくばらんに話す)時間を設けました。これにより、時間が経って産業医と健康に関するデリケートな話をする機会があった際も『入社時に一度話しましたね』と心理的安全とともにスムーズに面談を進めることができるようになりました。
(3)ヘルスチェックキャンペーン
健康診断とストレスチェックの時期を重ねて『心身の健康に注目する時期』としてキャンペーン化することにより、イベントを目立たせ健康診断の早期受診完了とストレスチェックの受検率アップを実現できました。ある会社では社長がアイコン的存在であったため、社長が登場するキャンペーンポスターを複数案作成して目立つ場所に掲示ことにより、ユーモアのある話題性を作り出す工夫もしました。また、『ストレスチェックは高ストレス者のあぶり出しのようで怖い』という不安の声を受け、法定のストレスチェックであることはわかるように併記しながら、社内名称を『インナーセルフサーベイ』に変更し、その目的や意義についても改めて説明しました。(ストレスチェックも従業員50名以上の企業では実施が法律で義務化されていますので対応に漏れのないようにご注意ください。)
※参考:『ストレスチェック等の職場におけるメンタルヘルス対策・過重労働対策等』/厚生労働省
(4)ランチタイムヨガ
ヨガインストラクターの資格を持つ従業員の提案で、お昼休みにランチタイムヨガを開催しました。休憩スペースの一角を利用したため、たまたま見かけた従業員も興味を持ってくれて職位や職種、所属部門を超えて参加者が増えていきました。従業員の特技を活かした点でも良い取り組みだったと振り返っていますし、衛生委員会メンバーでない従業員からの提案という意味でも嬉しい取り組みでした。
(5)サポートメンバーの活躍
委員会メンバーのコア業務が繁忙になり活動がスタックしてしまった経験から、いざというときのサポートメンバーを事前に決めておくことで活動を止めずに動けるようになりました。また、委員会メンバーやサポートメンバーにエンジニア部門の方がいた場合、「衛生委員会」の取り組みを技術力で解決してくれたこともあります。
ちなみに、サポートメンバーには時間の許す範囲で「衛生委員会」をオブザーブしてもらいました。ただし、あくまで正規メンバーではないため、取り扱う情報を制限するなどの一定のコントロールが必要な点には配慮しました。
■オペレーション
オペレーションのコアは、継続可能な仕組みをつくることです。「衛生委員会」の活動を長期的に継続させるには、効率的でブレのないオペレーションが欠かせません。
(1)年間スケジュールにつながりを持たせる
年間スケジュールを立てる際は、毎月独立したテーマにするのではなく、PDCAサイクルを意識してつながりを持たせました。例えば、3月に施策を策定(Plan)、4月に実施(Do)、5月にその結果を評価(Check)し、6月には次のアクションにつなげる(Action)という流れを組み入れました。これにより、漫然とテーマを決めることを避け、一歩ずつ着実に成果を出すことができました。
(2)DXを伴う業務の標準化
情報やデータを体系的に整理し、運営マニュアルを策定することは、活動の標準化に不可欠であると考えました。これにより、委員会メンバーが異動や退職した場合でも、スムーズに運営を引き継ぐことができ、活動の質を落とさずに継続性を確保してきました。
(3)ネクストアクション決めの徹底
委員会の会議では、必ず『いつまでに、誰が、何をやるか』をインタラクティブに話し合い、明確にして議事録に明記しました。議長が一方的に役割、担当、期日を決めるのでなく、あくまで『インタラクティブに』分担内容や期日に無理がないかを丁寧にコミュニケーションをとり、互いにサポートし合える関係を築くことで、計画の自然消滅を防ぎ、確実な実行へとつなげました。
つい、理想的な計画を立ててしまうこともありますが、目の前、手元足元には他の業務の存在も少なくありません。『忙しくてできない』と断念するのでなく、いかに持続可能で効果的な委員会活動をしていくかを、現実的なリソース(人員、予算、時間等)と向き合いながら焦らずに一歩ずつ『できる道』を開いていきましょう。
これらの取り組みを通じて、「衛生委員会」は義務的な活動から、従業員の健康と安全を本気で守り、より良い企業文化を創造する原動力へと進化していくと信じています。
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編集後記
深刻な労働人口不足に直面している日本。企業は今後『選ぶ立場』から『選ばれる立場』にどんどん変わっていきます。「衛生委員会」の運営を、法律で義務付けられているからとタスク的に取り組む企業と、ライフスタイルやライフステージの変化にも適応できる安心安全の職場を作ろうと真剣に取り組む企業とでは、どちらが求職者から選ばれやすいかは言わずもがなです。若狹さんから教えていただいたことを参考に、「衛生委員会」をより良いものにしていきましょう。









