「カスハラ対策」の内容や事例について解説

顧客が従業員に対して過度な要求をしたり、無理なクレームを言い募ったりするカスタマーハラスメント(以後カスハラ)。その対応に時間や労力を割くことは事業的にも大きな損失であり、従業員の離職原因にもなりかねません。近年、こうした悪影響を防止するために国や自治体が防止対策を定めるなど「カスハラ対策」の動きが活発化しています。
今回は、研修講師・人材開発コンサルタント・コールセンターコンサルタントの望月 忠親さんに、「カスハラ対策」の内容や企業が行うべき対策についてお話を伺いました。
<プロフィール>
望月 忠親(もちづき ただちか)/法人代表
フリーランスの研修講師・人材開発コンサルタントとして、これまでに2100回以上・9万人以上の受講者に研修を実施。官公庁、民間問わず幅広い業種と、新人から経営層に至るさまざまな階層へ行動変容に繋がる
研修デリバリーに定評がある。また、コールセンターコンサルタントとしても活動中。コールセンターの企画から設計、構築、運用に至る全てのフェーズでの支援が可能。「この世界から問い合わせを無くすこと」をコールセンターのあるべき姿に設定し、人の力とテクノロジーの力を融合させ新しい価値を生み出すコールセンターを開発中。
▶このパラレルワーカーへのご相談はこちら
目次
カスハラの定義と種類
──カスハラとはどのような内容を指すのでしょうか。その定義について教えてください。
厚生労働省から出されているカスタマーハラスメント対策企業マニュアルの中で、カスハラは以下のように定義されています。
『顧客等からのクレーム・言動のうち、当該クレーム・言動の要求の内容の妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なものであって、当該手段・態様により、労働者の就業環境が害されるもの』
この中にある『顧客等』には、実際に商品・サービスを利用した者だけでなく、今後利用する可能性がある潜在的な顧客も含みます。要するに、世界中の人々が対象になるということです。
また、『当該クレーム・言動の要求の内容の妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なもの』とは、顧客等の要求内容が妥当かどうか、当該クレーム・言動の手段・態様が『社会通念上不相当』であるかどうかを総合的に勘案して判断すべきという趣旨です。
なお、社会通念上何が不相当にあたるのかは各社で基準を設定することが求められています。
なお、顧客等の要求の内容が著しく妥当性を欠く場合には、その実現のための手段・態様がどのようなものであっても『社会通念上不相当』とされる可能性が高くなります。
一方、顧客等の要求の内容に妥当性がある場合であっても、その実現のための手段・態様の悪質性が高い場合は、社会通念上不相当とされることがあります。つまり、要望の内容だけでなく、顧客が企業に要望を申し出る際の手段・言動に悪質性が高いと判断された場合もカスハラと認定されるのです。
──具体的なカスハラとしてどのような内容のものがあるのでしょうか。教えてください。
大きく以下8つの“型”があると考えています。それぞれ具体例も交えてご紹介します。
(1)長時間拘束型
・一時間を超える長時間の拘束、居座り
・長時間の電話
・長時間の拘束、業務に支障を及ぼす行為
(2)権威型(優位な立場にいることを利用した暴言、特別扱いの要求)
・自らの要求を繰り返し、通らない場合は言葉尻を捉える
・同じ質問を繰り返し、対応のミスが出たところを責める
・一方的にこちらの落ち度に対してのクレーム
・当初の話からのすり替え、揚げ足取り、執拗な攻め立て
(3)正当な理由のない過度な要求型
・言いがかりによる金銭要求
・私物(スマートフォン、PCなど)の故障についての金銭要求
・遅延したことによる運賃の値下げ要求
・難癖をつけたキャンセル料の未払い、代金の返金要求
・備品を過度に要求する(歯ブラシ10本要望するなど)
・入手困難な商品の過剰要求
・制度上対応できないことへの要求
・運行ルートへのクレーム、それに伴う遅延への苦情
・契約内容を超えた過剰な要求
(4)リピート型
・頻繁に来店し、その度にクレームを行う
・度重なる電話
・複数部署にまたがる複数回のクレーム
(5)脅迫型
・脅迫的な言動、反社会的な言動
・物を壊す、殺すといった発言による脅し
・SNSやマスコミへの暴露をほのめかした脅し
(6)暴言型
・大声、暴言で執拗に対応者を責める
・店内で大きな声をあげて秩序を乱す
・大声での恫喝、罵声、暴言の繰り返し
(7)セクハラ型
・特定の従業員へのつきまとい
・従業員へのわいせつ行為や盗撮
(8)SNSへの投稿型
・インターネット上への投稿(従業員の氏名公開)
・会社や従業員の信用を毀損させる行為
近年進む「カスハラ対策」強化の動き
──近年、行政・企業(特に大手)の双方で「カスハラ対策」強化の動きが加速している印象です。これらの動きにはどのような背景があるのでしょうか。
おっしゃる通り、大手企業が「カスハラ対策」方針を公表したり、厚労省が指針を策定したりするなど、「カスハラ対策」強化の流れが徐々に広がってきています。その背景には、主に以下の3つがあると考えています。
(1)社会問題への対応として
2010年代後半以降、顧客による過剰な要求・暴言・暴力などは増加傾向にあります。実際に、パーソル総合研究所が行った調査によると被害経験者の32.6%が『ここ3年でカスハラ被害が増加した』と回答し、『減った』と回答したのは13.8%に留まっていることからも、カスハラ被害が直近も増加していることを裏付けています。

この要因はさまざまありますが、私は特に『SNSの発達』が大きく関わっていると考えています。その理由は以下3点です。
①個人が意見を世界中に発信できるようになったことによる倫理観の希薄化
今や一個人が自身の意見や考えを気軽に世界中に発信することができるようになりました。こうした発信を匿名で行うと倫理観が薄れる傾向があり、結果として個々人の中に眠っている攻撃性を起こしてしまう要因になります。
②他者と自身を比較しやすくなり、憧れや嫉妬を抱きやすくなった
SNS普及前は、マスメディアから流れる情報と自身の過去の経験、家族・友人からの情報でしか物事を判断する材料がありませんでした。しかし、現在はSNSなどを通じて世界80億人の経験値や価値観を誰もが瞬時に入手でき、自身との比較も容易になっています。この比較により、『何であの人はできたのに、自分は許されないんだ』といった負の感情が生み出されやすい環境があると感じています。
③個人が固有の正義感を確立しやすくなった
日々SNSの中でいろんな人が表現する『〇〇べき』思想を目の当たりにすることで、サービスを享受するあらゆる局面で個人が自身の経験値から形成される正義を抱きやすくなっていると感じます。
(2)人手不足を受けた離職防止として
私自身研修講師として登壇する際に、『常に人手不足で、業務が停滞してしまっている』という話を聞きます。また、サービス業においてはカスハラがきっかけで精神的な不調をきたして休職・退職してしまったケースを耳にする機会も増えました。こうした現状を踏まえ、従業員の基本的人権を守り、エンゲージメントを高め、自己実現したくなる魅力ある組織へと生まれ変わるためにも、積極的に「カスハラ対策」に取り組む企業が増えてきているのだと考えます。
(3)サービス利用に対する意識の変化
ひと昔前までは『お客様は神様である』の思想が蔓延していた認識ですが、昨今は『顧客は企業が提供するサービスの範囲を正確に理解し、承知した上で当該サービスを享受すべき』といった考え方が広がりつつあります。
こうした意識の変化の背景には、企業側の発信スタンスや社会全体の風潮の変化があります。たとえば、コールセンターや店舗において『従業員の安全を守るため、暴言などには対応を中止します』といったアナウンスを行うケースが出てきています。加えて、SNSや口コミサイトでの過剰なクレーム拡散により、企業側が過度に委縮するのではなく、毅然とした対応姿勢を打ち出す必要性が高まってきたことも影響しています。
こうした社会的な動きや企業の取り組みが積み重なることで、「サービスを提供する側・受ける側の双方向の理解」が必要であるという価値観が、徐々に浸透しつつあると言えるでしょう。
労働人口が減少していく中で提供できるサービスの品質にも限界があることを踏まえると、顧客と企業が少しずつ歩み寄ることが今後ますます必要になってくるでしょう。
企業が「カスハラ対策」を行わないことによるリスク
──「カスハラ対策」を行わないことによる企業リスクについて、より詳しく教えてください。
カスハラが企業・従業員に及ぼす悪影響には、以下のような観点があります。「カスハラ対策」を行わないということは、以下のような悪影響に対して何も対処をしないことと同義と言っても過言ではないでしょう。
■従業員への影響
・業務パフォーマンスの低下
・健康不良(頭痛、睡眠不良、精神疾患、耳鳴りなど)
・現場対応への恐怖、苦痛による従業員の配置転換、休職、退職
■企業への影響
・時間の浪費(クレームの現場対応、電話対応、謝罪訪問、社内での対応方法の検討、弁護士への相談など)
・業務上の支障(顧客対応によって他業務が行えないなど)
・人員確保(従業員離職に伴う従業員の新規採用、教育コストなど)
・金銭的損失(商品、サービスの値下げ、慰謝料要求への対応、代替品の提供など)
・店舗、企業に対するブランドイメージの低下
■他顧客への影響
・来店する他顧客の利用環境、雰囲気の悪化
・業務遅滞によって他顧客などがサービスを受けられない
また、上記以外にも「カスハラ対策」を行わないことによる企業リスクは存在します。具体的には、企業及び事業主として適切な「カスハラ対策」をしていない場合、被害を受けた従業員から責任を追及される可能性などです。
実際に、ある小学校において児童の保護者から教論が理不尽な言動を受けたことに対し、校長が適切な対応をしなかったことによる損害賠償責任が認められた事例があります。企業の事例ではありませんが、『カスハラを受けた部下を守らなかった』ことがハラスメントと認定されたことを踏まえると、企業でも十分に起こり得る類似事例と言えるのではないでしょうか。

企業が行うべき「カスハラ対策」
──ここまでの話を踏まえ、企業はどのような「カスハラ対策」を行うと良いでしょうか。
企業が行うべき「カスハラ対策」としては、大きく以下7つの対策があります。事前準備と発生後の対応に分けて紹介します。
<カスハラを想定した事前準備>
(1)事業主の基本方針・基本姿勢の明確化、従業員への周知・啓発
組織のトップが「カスハラ対策」における取り組みの基本方針・基本姿勢を明確に示すことは非常に重要です。カスハラから組織として従業員を守るという基本方針・基本姿勢、従業員対応のあり方を定めた上で従業員に周知・啓発し、方針に則って教育までを行います。
※基本方針に含める要素例※
・従業員の人権を尊重し、カスハラを放置せず従業員を守ること
・カスハラには組織として毅然とした対応をすること
・常識の範囲を超えた要求や言動を受けたら周囲に相談してほしいこと
・カスハラの定義や内容
(2)従業員(被害者)のための相談対応体制の整備
カスハラを受けた従業員が気軽に相談できるように相談窓口を設置し、そこでの相談対応者を決めた上で従業員に広く周知します。その際、相談対応者が相談内容や状況に応じて適切に対応・判断できるようにすることも重要です。人事労務・法務・弁護士などの外部関係機関と連携できるようにしておくことや、具体的な対応方法をまとめたマニュアルを整備した上で相談対応者向けに研修を実施するなども有効です。
(3)対応方法・手順の策定
カスハラ行為への対応体制、方法などをあらかじめ決めておくことにより、いざというときに慌てることなく適切な対応が取れるようになります。業種・業態・企業文化・顧客との関係性などによっても対応方針は異なりますので、各社の状況や方針に合わせて準備していくことが重要です。
(4)社内対応ルールの従業員への教育・研修
顧客などからの迷惑行為や、悪質なクレームに対して適切な対応ができるように、日ごろから研修などを通じて従業員への教育を行います。正社員だけでなくアルバイトなども含めて、顧客と接点がある全員が漏れなく受講できるようにしましょう。
※研修内容例※
・カスハラの定義(正当なクレームとの違い)
・カスハラの事例紹介
・パターン別の対応方法や注意点
・ケーススタディ など
<カスハラ発生後の対応>
(5)事実関係の正確な確認と事案への対応
カスハラに該当するか否かを判断するため、顧客・従業員などからの情報を基にその行為が事実であるかを確かな証拠・証言に基づいて確認します。そこで確認した事実に基づき、顧客の主張が事実と異なる場合は指摘をし、商品に瑕疵がある(またはサービスに過失がある)場合は謝罪をした上で商品の交換・返金などに応じます。
(6)従業員への配慮
カスハラ被害を受けた従業員に対する配慮の措置は、適正かつ迅速に行う必要があります。従業員の現場における安全確保はもちろん、精神面への配慮が重要だからです。なお、繰り返される不相当な行為には1人で対応させず、複数名あるいは組織的に対応するようにしましょう。
(7)再発防止の取り組み
発生した事案にただ対応するだけでは、いつまた同じようなことが繰り返されるかわかりません。同様の問題が再び発生することを防ぐためにも、再発防止に向けて定期的に取り組み内容の見直しや改善を行いましょう。可能であれば発生した事案を組織全体に共有することで、他の現場においてもケーススタディや対策を進めることができるようになります。
なお、(1)~(7)までと併せて講ずべき措置として、相談者のプライバシー保護に必要な措置を講じ従業員に周知することがあります。具体的には、カスハラについて相談したことなどを理由として不利益な取扱いを行ってはならない旨を定め、それを従業員に周知するなどの措置です。
──実効的な対策を行うためには、企業内でどのような役割分担をして対応していけると良いでしょうか。
カスハラへの対応を効果的に行うためには、従業員からの相談を受け付ける『相談担当者』や『相談窓口』とは別に、全体の取り組みを管理・推進する専任の組織を設けることが重要です。
具体的には、本社の人事労務部門やカスタマーサービス部門、法務部門などが中心となり、対策チームを編成するなどです。このチームでは基本方針や対応手順の策定、従業員への教育・周知、再発防止策の検討・実施などを担当します。さらに、相談窓口から寄せられた情報に基づき、法的対応や外部機関との連携が必要なケースについて判断し、アドバイスを提供する役割も含まれます。企業全体が一丸となって対応策を講じることが求められます。

顧客対応の過程で犯罪行為などの深刻な事態が発生した場合、現場対応だけでは解決が困難なケースもあります。こうした状況では、法的手続きや警察・弁護士との連携も必要となるため、本社や本部との協力が不可欠です。事前に本社・本部への報告が必要な事項や報告手続きについてあらかじめ決めておきましょう。顧客対応を行った従業員が相談を受けた際には、現場の監督者や相談窓口から本社・本部に適時情報を共有し、指示を仰ぐ仕組みが求められます。

実際の「カスハラ対策」事例
──近年、さまざまな企業が「カスハラ対策」に取り組んでいますが、その中でも特に参考になる事例はありますか。
株式会社ベルシステム24ホールディングスのカスハラに対する取り組みは、他社も是非参考にしていただきたい事例です。サステナビリティへの取り組みの中に非常に分かりやすい表現で『カスタマーハラスメントに対する基本方針』が記載されているだけでなく、人権への取り組みの中で「カスハラ対策」を実施する旨の記載があり、企業が従業員に対して誠実に向き合っていることが伝わってくるからです。
以下、株式会社ベルシステム24ホールディングスのカスタマーハラスメントに対する基本方針の実際の内容を見ながら、ポイントを紹介していきます。
■カスタマーハラスメントに対する基本方針
我々は、「イノベーションとコミュニケーションで社会の豊かさを支える」をパーパスとして定めています。このパーパスを実現するためには、我々の従業員(正社員や契約社員、派遣社員等の雇用形態を問わず、ベルシステム24グループで働くすべての従業員)が安心して安全に働けることが不可欠であると考え、今般、従業員へのカスタマーハラスメントに対する基本方針を制定しました。なお、本方針は、一般社団法人日本コールセンター協会「コールセンター業務倫理ガイドライン」に沿って制定したものです。
「カスハラ対策」を実施する目的がここに明文化されていることに加え、企業のパーパスと結び付けて語ることにより説得力が増しています。
1. 我々が関わるすべての人々の人権を守る責務
我々は、人権方針において、「事業活動及び取引に関わるすべての人々の権利を尊重」することを基本スタンスとして掲げ、企業や消費者等のお客様(以下、「顧客等」といいます。)の人権を守ることを基本的責務としてとらえています。そして、人権方針では、「あらゆるハラスメントを禁止」して、安心できる安全な職場を整備することを掲げているところ、コールセンター事業を行う我々において顕著なリスクであるカスタマーハラスメントから従業員を守ることも、我々の重大な責務であると考えています。
こちらでは、従業員の人権とお客様の人権を守ることをうたっており、企業と顧客の双方を平等に考える姿勢が理解できます。
2. カスタマーハラスメントの定義
我々がコールセンターとして対応する顧客等からのご注文や問い合わせには、苦情やクレームも含まれます。苦情・クレームは商品・サービスの改善等において重要である一方、なかには過剰な要求や不当な迷惑行為等の悪質なものも見受けられ、それによって、従業員の人権が侵害され、安心して働くことが困難となることも考えられます。本方針ではこのようなケースを想定し、厚生労働省「カスタマーハラスメント対策-企業マニュアル」も踏まえて、カスタマーハラスメントを以下のように定義します。
(定義)「顧客等からのクレーム・言動のうち、当該クレーム・言動の要求の内容の妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なものであって、当該手段・態様により、従業員の人権や安心・安全な職場環境が害されるもの」
カスハラの定義が明確に表現されており、抑止力として十分に機能していると感じます。
3. カスタマーハラスメントに対する我々のスタンス
我々は、パーパスの実現に向けて、これまで通り、各お問い合わせ等に誠意を持って対応してまいりますが、従業員の人権を犠牲にすることがない様に、カスタマーハラスメントによる被害の防止に取り組んでいきます。カスタマーハラスメントにより、従業員の人権や就業環境が侵害されるおそれが生じた場合には、組織としてその解決を図るとともに、顧客等への対応や取引の継続について、顧客等を含む関係者に理解を求めていきます。
カスハラに対する企業の姿勢をはっきりと打ち出すことにより、従業員が一致団結してカスハラに毅然と対応することが読み取れます。
4. 従業員の保護及び救済に向けた対応
カスタマーハラスメントから従業員を守るためには、早期にカスタマーハラスメントのリスクを発見することが重要であり、従業員からの相談や苦情等を受け付ける窓口を設置し、適切に運用しています。このような窓口等を通じて、カスタマーハラスメントのおそれを発見した場合には、必要に応じて弁護士等の外部専門家とも連携しながら、従業員の保護及び救済を行っています。また、カスタマーハラスメント被害にあった社員の心のケアを行います。
こちらに具体的に従業員の保護及び救済に向けた対応方法の記載があるおかげで、各従業員が安心して業務に専念できると共に、心理的安全領域も拡大してパフォーマンスの向上にも寄与するだろうと考えます。
5. 従業員の教育と啓発
カスタマーハラスメントによる被害を防止し、また、早期・適切に対応するために、従業員に対して、カスタマーハラスメントに関する基礎知識、発生時の対応方法等についての周知・啓発、教育を継続的に行っていきます。
従業員への教育と啓発は、顧客対応のスキル向上やクレーム対応に強い組織形成にも寄与します。また、部署間の垣根を超えて相互に啓発し合うことにより、さまざまな情報共有・連携が密になりイノベーションに繋がるきっかけにもなります。
■合わせて読みたい「ハラスメント・コンプライアンス」に関する記事
>>>「マタハラ防止対策」が2022年4月よりさらに強化。その内容と対策を解説
>>>社員の「コンプライアンス教育」を進める上で必要な知識と考え方
>>>「時短ハラスメント」の原因や背景を知り、未然に防ぐ方法とは
>>>「ケアハラスメント」に対する行政の動きと、予防・対処法について解説
>>>「セカンドハラスメント」の種類・発生原因・適切な対処方法を解説
>>>「内部通報制度」を活用して透明性のある組織運営を実現するためには
>>>「モンスター社員」の傾向と対応
>>>「パタニティハラスメント(パタハラ)」が起こる原因と予防策について解説
編集後記
『いかに従業員エンゲージメントを高めるか』は、どの企業も頭を捻り続けているテーマです。だからこそ、従業員エンゲージメント向上を妨げるカスハラは、企業としても優先順位高く対策すべき事案だと言えます。昨今は多くの企業がカスハラに対する基本方針・姿勢を公表しており、「カスハラ対策」事例も多くありますので、それらも参考に地道に取り組んでいけると良いのではないでしょうか。