【2025年組織戦略調査レポート 】企業規模別のトレンドと施策例

事業環境の変化や、人材や働き方の多様化などを背景に、様々な組織課題に直面されている企業も多いのではないでしょうか。今回、当社では人事制度や組織・人材開発における課題や施策トレンドを明らかにするために、企業の経営・人事部門308名を対象に「組織戦略の振り返り調査」を実施しました。
本記事では、組織戦略について企業規模別の施策トレンド、成功事例を調査・分析してまとめています。
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※ダウンロードできるレポートは、以下の関連記事で紹介した『「2024年人事施策の振り返りと2025年の展望」調査レポート』および『2025年採用戦略調査レポート』と同じ内容のものです。
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目次
調査結果サマリ
【調査概要】
調査対象:従業員規模10〜5,000名以上の一般企業に勤務する人事部門の方
調査期間:2024年12月1日〜12月9日
サンプル数:308名
調査方法:Webアンケート調査
主な調査結果
・コスト効率の高いMVV浸透や社内ツール活用が中小企業で推進され、大企業では複雑な組織構造に対応するため、制度設計と現場連携が鍵となっている。
・成果主義や透明性向上を伴う評価制度や、働き方の制度導入・改善に取り組む割合が高く、ダイバーシティ推進は全体的に取り組み状況が低い。
・施策推進の共通課題は「人事部のリソース不足」。企業規模により単なるリソース不足ではなく、専門的な知見・スキルの不足が影響している場合もある。
・2025年に取り組みたい人事施策は、AI活用による生産性向上やリスキリング・アップスキリングの強化。多様な働き方を可能にする施策が中小企業で注目され、大企業では規模拡大に伴う多様性対応が焦点となっている。
大企業はタレントマネジメントや組織整備、中小企業はMVV浸透や社内コミュニケーションに注力

組織開発を目的として具体的に実施した取り組みを見ると、従業員数5,000名以上で「部門再編・人事異動」、1,000~5,000名規模で「タレントマネジメントシステムの活用・導入」が最も多く、多様かつ多数の従業員を要する大企業では、人材の最適配置をいかに実現するかに注力している様子がうかがえます。
一方、1,000名未満の中小企業では「社内コミュニケーションツールの導入・活用」、「MVV浸透施策」と比較的工数をかけずに取り組むことができる施策に取り組む企業の割合が高く、組織拡大や働く場所の多様化が進む中で、従業員の一体感や円滑なコミュニケーションができる環境を模索する様子がうかがえます。
施策を進めるうえで最も課題に感じているのは「人事部のリソース不足」

組織・人材開発に取り組む上での課題を見ると、「人事部のリソース不足」が37.2%と、企業規模問わず最も多くなっており、人事が対応すべき課題が多様化する中で、リソースの確保に苦慮する状況がうかがえます。
特に10名以上1,000名未満の中小企業では「対象社員の業務が多忙」と回答した企業の割合が高く、人事のリソース不足がより顕著に現れています。
一方で企業規模が大きくなるにつれ、「推進担当のスキル不足」を挙げる企業の割合が高くなり、組織課題が複雑化する中で、研修・専門家のサポートなど、経営層を巻き込みながら担当者のスキルを高めていく必要があることがわかります。
人事制度で新たに導入・改善した施策としては「評価基準の見直し」「評価プロセス改善」「長時間労働削減」が上位に

2024年に新たに導入・改善した人事制度の内容を見てみると「成果主義や行動評価を重視した評価気人の見直し」が26.2%、「評価プロセスの改善」が25.2%と多く、公平で納得感のある評価制度の構築に取り組んでいる企業が多いことがわかります。
また、「長時間労働の削減」や「ハイブリット勤務やリモートワーク制度の見直し・導入」といった働き方に関する制度の導入や改善に取り組む企業も多く、労働者の多様なニーズに応える労働環境の構築を進めていることがわかります。
一方で、「産休・育休後の復職支援の充実」や「障がい者雇用の推進・受け入れ整備」などのダイバーシティに関する施策に取り組む企業の割合は相対的に低く、制度の導入ハードルやリソース不足により、なかなか導入・改善に着手できていない状況がうかがえます。
大企業ではテクノロジー活用、中小企業はコミュニケーション改善が一定効果をあげている

組織・人材開発の成功例を見ると、大企業は「エンゲージメントサーベイのPDCAプラン確立」や「タレントマネジメントシステムの導入」など、ツールを活用して取得したデータをもとに施策や従業員への対応に活用している事例が成功例としてあがっています。
一方で中小企業では「1on1面談の指導」や「部長向けの研修」など、社員に直接アプローチしてコミュニケーションスキルやマインドセットを向上させる施策が多くあがっており、管理職と若手など、組織内のコミュニケーションの改善を図っている企業が多いことがうかがえます。
2025年に取り組みたい施策は「AI活用による生産性向上」「リスキリング・アップスキリングによる人材育成」

2025年に取り組みたい人事施策を見てみると、どの規模でも「AI活用による生産性向上」や「リスキリング・アップスキリングの強化」の取り組み意向が高く、ツール活用やスキルアップを通じて組織の生産性向上を図りたい考えが垣間見えます。
大企業では他に「次世代リーダーの育成」「多様な人材活用の推進」と回答する企業の割合も多く、組織の核となる幹部人材・管理職育成や、組織拡採用力の大に伴う多様性確保が大きな課題となっていることがうかがえます。
中小企業では、「採用力強化」や「評価・報酬制度の見直し」と回答した企業の割合が多く、人材難の中で求める人材確保するための採用体制の構築や、人材定着の鍵となる、魅力的かつ納得感のある評価・報酬制度の構築を進めていきたい意向がうかがえます。
まとめ
本調査より、柔軟な働き方やスキル向上の支援など従業員のニーズに応える多様なアプローチの必要性と企業ごとの組織戦略の方向性が見える結果となりました。
どの企業でも評価・報酬制度の見直しや評価プロセスの透明性向上への取り組み意向が高いことも注目です。労働市場の流動化が進む中で、従業員の納得感や成長機会を重視する傾向が結果にも現れています。全体としては、中小企業が組織の結束力を高めるMVV浸透の施策を重視し、大企業は次世代リーダー育成や柔軟な組織運営を通じて安定的な経営基盤の構築を重視しています。
今後は、AIをはじめとした先進技術を活用した生産性向上や、多様な人材が活躍できる環境づくりが組織の成長に不可欠です。単なる制度設計にとどまらず、企業文化や市場価値向上を視野に入れ、経営陣を巻き込んだ統合的な人事戦略を推進することが、持続可能な成長を支える基盤となると考えます。
この調査結果が、2025年の人事戦略立案の参考になれば幸いです。
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