エンジニア×人事知見で課題を解決。エビデンスベースの採用支援

エンジニアからキャリアをスタートし、プロジェクトマネジメントやプロダクトマネジメント経験を積んできた浅野さん。やがて開発実務よりも人材の採用や人事制度の構築に魅力を感じるようになり、エンジニア採用のスペシャリストへとキャリアチェンジを果たしました。
エンジニアとしてのバックグラウンドを活かし、深い知識で組織と人材のマッチングを図れるのが浅野さんの強み。大手上場企業のエンジニア採用も支援する現在の仕事や採用をサポートする上で意識していることなどを伺いました。
<プロフィール>
浅野正隆(あさの まさたか)
インフラエンジニアとして官公庁・ECサイト・銀行向けなど複数の開発プロジェクトを経験。プロジェクトマネジメントやプロダクトマネジメント、組織運営に約15年携わり、特にエンジニア採用に魅力を感じて、エンジニアと人事の両方の役割を果たす。その後、大手デジタルマーケティング会社で人事領域の管理職を経験し、独立。現在は、IT上場企業のエンジニア採用をはじめ、人事制度の刷新やバックオフィスのデジタル変革などのプロジェクトを手がける。
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目次
採用スペシャリストのベースを築いたエンジニア経験
■インフラエンジニアとしてキャリアをスタート。
独立するまでに5つの会社で実務を経験してきましたが、今でもベースとなっているのが私自身のエンジニアとしての経験です。最初に入社した会社でインフラエンジニアの基礎を学び、その後、SIer、ECのベンチャー企業、デジタルマーケティング企業、ビッグデータの解析を手掛ける企業で、プロジェクトマネジメントやプロダクトマネジメントの実務を経験していくのですが、途中で大幅な職種変更をしています。それが、エンジニアから人事へのキャリアチェンジです。
■業務の比較ができたことで自身の価値を認識。
システム開発の現場では常にエンジニアの採用と能力開発が欠かせません。最初は、自分が在籍する部署での採用実務をしていたのですが、そのうちエンジニア組織の採用を任されるようになりました。規模で言えば、年間で50名ほどのエンジニア採用です。人事専任ではなく、自部門の組織マネジメントと並行して、自社の採用活動を推進していました。業務自体に苦労はありましたが、採用の仕事に大きな魅力を感じていました。
開発やプロジェクトマネジメントの他、エンジニア部門の部長職まで任せてもらい、順調に責任範囲は広がってきました。仕事にやりがいは感じていましたが、その一方で自身のキャリアについて考える機会が多くなっていました。具体的には、技術を通して会社に貢献するよりも、人と話しながら自社の魅力を伝えたり、自社に合う方を採用する仕事こそ、自分の価値や強みを発揮し会社に貢献できるんじゃないか。そんな思いが強くなり、思いきって人事へとキャリアを変えることにしました。
■エンジニアと人事の両面で経験を発揮。
人事としての本格的なキャリアは、デジタルマーケティング会社から始まりました。採用だけでなく人事制度の構築や労務関連の仕事も担うシニアマネージャーのポジションをいただきました。このときの経験は、独立した現在でも大いに役立っており大変感謝しています。
人事に関しては採用以外の経験がなく知識もなかったことから、苦労したことも多くありました。周りには労務や採用のスペシャリストがいて、自分一人が何も分かっていない状況です。ただ、経験する仕事すべてが新鮮で、新しいことを学ぶのは楽しかったですね。そして何よりも、エンジニアと人事という2つの領域を掛け合わせて、自分だけの価値を発揮できる環境に、大きな期待も抱いていました。

採用のプロとエンジニアのプロはいても、両方できるプロはいない
■コロナ禍での独立。働き方の転換で大規模案件に携わるチャンスをつかむ。
デジタルマーケティング会社のシニアマネージャーを経験した後、独立しました。きっかけと言えるほど明確な出来事や理由があったわけではありませんが、いろんなことが重なって独り立ちしました。いま思うと、エンジニア組織で業務を行う中で周囲のフリーランスで働き方を見ていてイメージできていたのかもしれません。
2020年4月に事業を開始しましたが、その頃はちょうどコロナ禍にあり、営業活動ができない点は大きなマイナスでした。その一方で、大手企業でもリモートワークが普及したことで、市場が大きく変わった点は私のようなパラレルワーカーには非常にプラスでした。中でも『CORNER』に紹介していただいたのは、大手の企業様が多く、常駐ではなくリモートで仕事を請け負えたため、大きなチャンスをつかめました。その後も順調に依頼をいただき、従業員3,000名クラスの企業におけるエンジニア人事制度改定、上場企業の採用や人事制度策定など、いろんな仕事を任せてもらっています。
■エンジニア部隊の責任者と同じ目線・同じ言葉で話せる人事。
実務面での私の強みは、エンジニアの目線と採用の目線のいずれにも理解がある点です。企業の採用担当と現場のエンジニアが採用活動に携わる際、うまく連携できているようで、話がズレてしまっているケースが多いように思います。具体的には、現場のエンジニアは転職市場や業界内での自社のポジション、候補者の状況の情報が足りないと感じます。「こんな人材が欲しい」と言っていても、現実にはマッチする人材がいなかったり、いたとしても給与水準が高すぎて採用に至らなかったり。このあたりのすり合わせがうまくできておらず、ギャップがあるまま採用を行うことにより機会損失になっているケースはかなり多いと思っています。
このギャップを補正できるできないでは、結果に大きな差が生まれます。両者の間に入って、情報の差を埋めて期待値調整することが私のミッションで、さらにエンジニア知識を活かし、あいまいな要素や要望を言語化して共有を図れる点が、現在の私の強みになっていると思います。
■知識とスキルを売るのではなく、顧客のパートナーになる。
実際にあった事例で言えば、人材紹介会社様から相談ベースで上がってきた候補者をクライアントとマッチングできたことがあります。もともと、事業部側で募集しているポジションはありませんでした。しかし、組織の課題や日頃の会話から要望する人材や組織の方向性は理解しておりましたので、私から「このポジションなら、きっとこんな活躍が期待できるだろう」と提案したところ、ご理解いただき採用成功につながりました。
こうした通常の採用フロー以外で採用のお手伝いができるのは、私とクライアントとの関係性がしっかりと築けていたからだと思っています。目指しているのは、単に自分が持つスキルや知識を売るのではなく、クライアントのパートナーになること。技術的な知識があり、クライアント企業の社内事情や事業計画なども理解できていたからこそ、プラスアルファの働きができたのだと思います。
仕事に対する考え方が大きく変わった
■相手が本当は何を求めているか、を考え続ける。
決められた業務だけをやるのではなく、クライアントの期待には応えつつ、さらに期待を上回る働きができてこそ、価値が生まれると思っています。そのために、業務範囲をあえて決めずに、逸脱しない範囲で必要なことは何でも一通りやるようにしています。
例えば、求職者向けの企業説明資料を作成したり、担当者に代わって社内提案資料を作ったりしています。こうした周辺業務を実施することで、業務の理解が深まり、最終的に良い結果が生まれていると感じます。私自身も以前は、外部のコンサル会社などに仕事を依頼する立場だったので、何をすべきかは理解できていると思います。自分の価値をどこに感じていただけるかを考え、これからもクライアントから選ばれるパートナーであり続けたいですね。
■自分の真価を発揮できるのは、やはりエンジニア採用。
パラレルワークに働き方を変え、個人で企業様と取引する立場になって大切にしているのは、「何を解決できるのか」を意識することです。先ほどの事例でもお話をしたように、依頼を受けた範囲での採用に留まらず、「何のために人材を必要としているのか」という背景まで含めて理解し、その中で自分をどう役立ててもらえるかを追求しています。
人材に求める要件を募集要項にすると、「特定の専門スキル・経験がある人」といった形でご依頼いただきますが、企業様から詳しく話を伺うと、本当は違うニーズがあることに気づくことが多くあります。募集要項からは分からない隠れたニーズを理解し、課題の解決に向けて何をするべきかを考えれば、おのずと良い結果にたどり着けるものです。「どんな人材が欲しいのだろう」「なぜ欲しいのだろう」を実体験と重ねて考えていけるのも、私の強みかと思っています。
採用以外の社内制度づくりや労務、評価といった仕事もお受けしましたが、やはり私の価値が最も発揮できるのは採用です。いろいろな種類の仕事を行うことは楽しく学びも多いですが、自分の得意な分野をより深く掘り下げていくほうが、価値発揮できると思い始めています。
■前向きに仕事に向き合えるから、より大きな価値を提供できる。
パラレルワーカーになり変わったことのひとつに仕事に対する考え方があります。会社員の時は責任範囲が増える中で「業務をいかに捌いていくか」と考えていましたが、いまはご依頼いただく案件の中で、自分から進んでいろんな業務をやりたいという気持ちになれ、以前に比べてポジティブに仕事と向き合えるようになりました。独立する前は想定できていなかったパラレルワーカーの良い点だと思います。
これからパラレルワーカーになるみなさんには、恐れずにはじめの一歩を踏み出していただきたいですね。やってみる前はいろいろと不安があったり自信がなかったりするものですが、いざやってみると次の一歩が見えてくるものだと思います。自分の経験やスキルを信じてみてはいかがでしょうか。仕事に対してポジティブになれるのが、パラレルワーカーの魅力なのだと思います。