「提案できる労務」へ。選ばれる労務プロフェッショナル
2018年、社会保険労務士試験に合格し、2020年に複業として社会保険労務士事務所を開業したパラレルワーカーの山野辺さん。2023年に大手人材会社を退職して現在は事務所経営に専念するようになりましたが、既にさまざまな業界の企業と顧問契約を結び支援を拡大しています。
若くして開業した山野辺さんがなぜ多くの企業から選ばれているのか。山野辺さんのキャリアや強みにつながった経験、仕事をする上で大事にしていることなどを伺ってきました。
<プロフィール>
山野辺 樹(やまのべ たつき)
大学卒業後、新卒で大手鉄道グループの専門コンサル会社に入社。5人〜2万人規模までさまざまな業種の給与計算や社会保険の手続き、システム導入支援、業務改善コンサル等を幅広く経験。その後、大手人材会社へ転職。人事部の労務リーダーとして、労務実務の他、人事制度の設計や就業規則の改訂、人事部内の講師等を経験。また、複業として大手社労士法人や一部上場企業と業務委託契約を締結し、労務顧問として給与計算の他、アドバイス等も行う。2020年に社会保険労務士事務所を開業。現在は飲食や不動産、広告、医療など幅広い業種の企業と顧問契約を結び、給与計算や社会保険の手続き代行、労務相談、助成金申請などを手掛けている。
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目次
コンサル・事業会社2社の経験を経て社会保険労務士事務所を開業
大手鉄道グループの専門コンサルティング会社でキャリアをスタート。
就活の過程でシェアードサービスという業態を知り、専門性を磨けると感じ、大手鉄道グループの専門コンサルティング会社に入社しました。そこで配属されたのが労務部門。入社してから1年ほど給与計算や社会保険の手続きなどを担当する中で、労務という仕事に魅力を感じるようになっていきました。
労務の仕事の魅力は、知っていれば得する知識がたくさんあるということ。また、自分が身につけた専門知識をお客様に伝えることで、とても喜んでもらえることを知りました。その体験からもっと勉強し、もっとお客様に喜んでほしいという気持ちになり、労務としての専門性を極めたいと考えるようになりました。
労務という仕事の虜になり、社会保険労務士の資格を取得。
労務の専門性を極めたいとネット検索したところ、社会保険労務士という国家資格を知りました。この資格を持っていれば独立も目指せることを知り、そういったキャリアにも魅力を感じて勉強を始めました。そして25歳の時、晴れて社会保険労務士の試験に合格することができたんです。
最初に入社した大手鉄道グループの専門コンサルティング会社で、給与計算や社会保険の手続きなどの業務だけでなく、ホテルや不動産といった各グループ会社のコンサルティングに携われたことも労務の魅力に気づけた要因です。システム導入やDX化、マニュアル作成による業務効率化など、入社1年目から上流工程を担当させてもらえたことは、その後のキャリアにも大いに役立っています。
人事業務の全体像を知るために事業会社へ転職、ほどなくして開業。
社会保険労務士の資格を取得した段階で、キャリアを変えようと大手人材会社への転職を決めました。前職の専門コンサルティング会社では、早くから責任ある仕事を任せてもらうなど良い経験を積めていましたが、携われる範囲が労務業務の中でも委託された部分だけで、そこに物足りなさを感じていたんです。
こうした背景から人事労務の全体像を理解できる会社で、外部に委託していない会社を探していきました。専門性を高めたかったので、人事労務等の制度ができるだけ複雑であることも条件にしていました。その結果出会ったのが、従業員約2,600名の大手人材会社です。また、転職して1年後くらいに社会保険労務士事務所を開業し、複業として給与計算や社会保険手続き、労務相談などの業務を受け始めました。
大手人材会社では人事部の労務リーダーとして5年ほど勤務しましたが、社会保険労務士事務所のクライアントが徐々に増えてきたことから、2023年12月に退職し、2024年からは完全に独立しています。現在は3名の社員とともに、大手企業から開業間もない個人事業主まで幅広くサポートしています。
さまざまな顧客と向き合う中で気づいた、「提案できる労務」としての自身の価値
人事制度改定プロジェクトを通じて気づいた、選択肢を提案することの重要性。
これまでのキャリアで印象に残っているのが、大手人材会社で大規模な人事制度改定プロジェクトを担当したときのことです。新しい制度を導入するにあたり、各部門の責任者に説明を行ったのですが、どうしてもマイナスな変更に見えてしまう部分もあり、「現場から反発がある」と責任者たちから不満の声が上がったんですね。
しかしそこで、「これしかありません!」と押し通すのではなく、複数の選択肢を提示するようにしました。それぞれの選択肢についてメリットデメリットを説明し、自社に一番合うやり方を見つけましょうと提案することで、お互いに納得感を持って進められました。また、選択肢を提示するうえでは、複業を通じてさまざまな企業の制度を知っていたことが、具体的な事例として紹介するのに役立ちました。
選択肢を提示する際には、経営者が実現したいことの理解が必要不可欠。
制度改定プロジェクトをはじめさまざまな経験を積む中で、選択肢もただ数を出せばいいのではなく、経営者が何を実現したいかを理解したうえで提示することが重要だと考えるようになりました。「従業員のモチベーションを上げたい」「コストを削減したい」「業務を効率化したい」など、実現したいゴールが明確になれば、どういったやり方が良いかが自ら見えてきます。
新しい制度や仕組みを導入する際にも、指示された業務をこなすだけではなく、実現したいゴールを理解したうえで、もっと良いやり方があれば提案すること。いろんな企業の事例を持っていて、「この運用に変えたほうが会社としてもっと良くなるんじゃないか」と提案できることは自分の強みではないかと思っています。
受け身にならず、「提案できる労務」として価値を発揮していきたい。
社会保険労務士事務所でさまざまな案件を受けていく中で、依頼されたことをただやるだけでは物足りないと感じていたのか、向こうから特に頼まれてもいないのに、気づけば選択肢を提案している自分がいました。自分は依頼された業務を着実にこなすのも好きだけれど、それ以上に企業が課題に感じていること、改善したいことに貢献できることに喜びを感じるんです。
労務の仕事は、与えられたものを粛々とこなしていくというか、どうしても受け身になりがちだと思います。しかし自分は、多くの企業の事例を知っている強みを活かし、「提案できる労務」として企業の役に立っていきたい。こうした姿勢がお取引いただいている企業からの評価につながっていると思いますし、今の時代に求められているものではないかと思うんですよ。
顧客が実現したいゴールを理解し、それを叶えるための支援をしていきたい
顧客が何を実現したいのかを理解し、それを叶えるための支援をしていきたい。
自社のビジネスもあるので利益も大事ですが、顧客から相談を受けたとき、何を実現したいのかを理解し、それを叶えられるようにすることを何より大事にしています。ですので最初に相談を受けた際は、じっくり数時間ほどヒアリングしています。多くの顧客にとって実は見えていない部分は多くありますし、例えば助成金の活用など、企業を深く理解することで提案できることも多いですから。
労務業務でも、自社でやっていてもちゃんとできていないケース、正しくできていないケースがよくあります。私たちは社会保険労務士という専門家として、法律を順守したうえで、顧客にとって最適なやり方を提案しています。そのおかげか、開業から途中で解約になった企業は1社もありません。
大手企業から個人事業主まで、多くの顧客から頼りにされる存在へ。
今後は『CORNER』を活用しながら、自社だけでは開拓しづらい大手企業の支援案件も受けていきたいと考えています。一方で、今の世の中ではフリーランスの方も増えていますので、個人事業主から法人化をしたい方もどんどん支援していきたいです。これから従業員を雇用し、助成金も活用していきたい法人に私たちはすごくマッチすると思っています。
労務面だけでなく、会社全体へのインパクトを提案していきたい。
例えばシステムの新規導入やリプレイスを検討する際、さまざまな企業からの提案資料を見ていても、あくまで労務面だけのメリットに留まってしまっているケースも少なくありません。しかし経営者は、会社全体にどんなインパクトがあるのかを重視していることが多くあります。
こうした点について、私たちは時間をかけてヒアリングをしているからこそ、どんなメリットがあるのかを会社全体での視点で提案することができます。こうした私たちの取り組みに共感していただけるなら、まずは気軽に相談していただければと考えています。