大量のルーティン業務にサヨナラ。「採用代行」のうまい活用方法と選び方

売り手市場が続く中、採用担当者の業務範囲や量は増え続ける一方です。
そんな中注目されているのが「採用代行」。採用をアウトソーシングすることからRPO(Recruitment Process Outsourcing)とも呼ばれており、アメリカやヨーロッパではすでにスタンダードとなりつつあります。
近年、国内でも多くの企業が導入・検討を進めていますが、その活用方法やより良い依頼先の選び方などに関する情報はまだまだ少ないのが現状です。
そこでこの記事では、採用代行が求められるようになったマーケット背景、利用することのメリット・デメリット、依頼先の選び方などについてお伝えしていきます。
目次
採用代行が求められるマーケット背景
その大きな理由は、「採用難易度が年々上昇していること」にあります。まずは以下図をご覧ください。

※出典:厚生労働省
直近10年間で求人数は約2倍に増えたのに対し、求職者数は約280万人→約180万人まで減少しています。
その結果、有効求人倍率はぐんぐんと上昇を続け、時代が令和に入ってからも約1.6倍あたりで高止まりしている状態です。
1人の求職者に複数社内定が出るようなマーケットになったため、採用成功には求職者に対する迅速・丁寧な対応や細かなフォローが求められるようになりました。それに伴い、採用担当者が担わなければいけない業務量も必然と増加しているという背景があります。
また、採用手法が多様化・複雑化したことも採用担当者のタスクを増やす要因になっています。
人材紹介や求人広告だけでなく、SNS活用やダイレクトリクルーティングなども一般的になるにつれ、採用担当者が管理すべきツールは膨大になっており、採用代行のニーズを押し上げる形となっています。
採用代行にお任せできる業務範囲
採用業務は、大きく分類すると次のようなタスクがあります。
●採用計画・企画
↓
●母集団形成(利用サービスの選定・運用)
↓
●応募者管理(使いやすいツールの提案)
↓
●各種選考(試験・面接・説明会などの実施サポート、進捗フォロー)
↓
●採用決定・入社後フォロー(教育・研修など)
当然、応募者や採用数が多くなればなるほど管理するべき情報が膨大となり、業務を圧迫します。
そこで検討されるのが採用代行。採用代行会社によって委託できる業務内容は様々ですが、基本的には上記に挙げた項目のすべてをアウトソースできる可能性があります。
採用代行のメリット・デメリット
採用代行のメリット3つ
1.ルーティン業務をアウトソースすることで、重要な業務に集中できる
誰が担当してもクオリティに差がでないルーティンな業務は、優先的にアウトソースするべき業務と言えるでしょう。そこで空いた時間をより重要性の高いクリエイティブな業務(企画・計画立案・求職者とのコミュニケーション)に充てることで、自社採用力を高めることができます。
2.管理コストを削減できる
費用コストは確かにかかりますが、応募者管理に関わるシステム選定・運用などの手間を削減することができるなど、目に見えにくい管理コストを削減することができます。
3.プロの採用ノウハウを借りられる(フリーランスの活用も可)
ただ単に工数削減することが採用代行の目的ではありません。
採用代行企業や専門家が持つ豊富なノウハウを自社の採用活動に活かすことにより、より高い成果を出すことができるというメリットもあります。
また、アウトソースしたい領域が明確な場合、そこに強みや専門性を持つフリーランス・パラレルワーク人材を活用することで、より効率的に自社採用力を高めることができます。
採用代行のデメリット3つ
1.金銭的コストが発生する
当然ながら金銭的なコストが発生します。ここは採用代行によって得られるメリットとバランスを取りながら、長期的な視点でどれだけの投資を行うべきかを検討することが重要です。
2.採用代行会社との綿密なすり合わせが必要
自社のビジョンやミッションを踏まえた上で、どういった人材を採用したいのか、どのようなスタンスで採用活動に臨んでほしいのか等、採用代行会社と細かくすり合わせる必要があります。
求職者からすると、採用代行会社を利用していることは基本的にわかりません。このすり合わせが曖昧に終わってしまうと、結果として求職者を混乱させることにもつながります。
3.自社にノウハウが蓄積されにくい
採用代行会社に採用活動を丸投げしてしまうと、いざ自社だけで動きたいと思った時にノウハウが社内になく、身動きが取れない……なんてリスクも考えられます。
任せきりにしてしまうのではなく、採用代行企業からノウハウや技術を学ぶようなスタンスで共に進めていくくらいがちょうど良いでしょう。
またデメリットではありませんが、「採用業務を外部に委託すると職安法の委託募集に抵触するのでは?」という点を不安に思われる方もいるでしょう。
しかし、採用代行は特定企業の採用業務に限られ、求人者と求職者をあっせんする職業紹介業とは異なるので、採用に関わる業務を行っても違法にはなりません。

採用代行にかかる費用はどれくらい?
採用代行企業によって担当領域や提供サービスが異なるため、かかる費用もピンキリです。下記はあくまで一例。参考までにご覧ください。
●面接日時設定…5万円~/月
●面接実施…1万円/回
●評価シート作成…3千円/回
●合否連絡…2万円/月
●次回面接日時連絡…2万円/月
●時間単位で採用代行費を計算するサービス…10万円~/月30時間~
●会社説明会運用代行…1万5000円/1名
……etc
尚、上記はあくまで「採用代行コスト」です。利用サービスなどにもよりますが、基本的にはこれプラス「採用コスト」が加わります。
通常、採用コストは新卒採用で約50〜55万円、中途採用で約80~300万円が相場と言われています。
採用代行コストに加えてこれだけの採用コストが追加されることを念頭に置き、予算設計を組む必要があります。
採用代行依頼先の選び方
依頼先企業を選ぶ時には、まず自社が採用活動で効率化したい・またはパフォーマンスを高めたい業務は何なのかを明確に把握することが重要です。
その上でその業務領域に強みのある会社を選ぶことが、より効果的に採用代行を進めるキーポイントだと言えるでしょう。
また、メリット部分でも少し触れたように「採用代行会社へ依頼する」以外の選択肢があります。
それは、「専門性を持つフリーランス・パラレルワーク人材を活用する」こと。その特徴を抑えた上で、ニーズに合わせて検討したいところです。
「専門性を持つフリーランス・パラレルワーク人材を活用する」メリット
①常駐も可能等、柔軟性ある対応ができて意思疎通が取りやすい
採用代行会社が提供するサービスの場合、常駐不可(リモート対応)のケースも多く、意志疎通がスムーズにできないケースがあります。
常駐可能なフリーランス・パラレルワーク人材に協力をお願いできれば、その点をクリアできます。
②基本経験者のプロに依頼できる
採用代行会社にまるっとお任せするとバイネームで担当者を指名することは難しいですが、フリーランス・パラレルワーク人材であれば事前にどんな実績や経験を持つ方かを理解した上で依頼ができるため、狙った成果を出しやすいというメリットがあります。
③その方の能力次第ではルーティン業務以外も任せやすい
高い専門性を持った人材にジョインいただければ、ルーティン業務のみならず企画レベルのクリエイティブな仕事もお任せすることが可能です。
時にはコンサルに近い形で業務をリードしてくれることもあるでしょう。
「専門性を持つフリーランス・パラレルワーク人材を活用する」デメリット
これは、「自社のニーズにあった適任者を探しにくい」ことに尽きるでしょう。誰がどんな実績や経験を持っているかなどの情報収集はもちろん、そういう方とどうやって接点を持てばいいのかなども苦労するはずです。
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「1人が、複数の会社で、本気で働ける社会へ。」をビジョンに掲げ、人材サービスの領域で実績を積んだメンバーが2016年に設立。2019年6月のサービスリリースからわずか約3か月で登録者が1000名を突破するなど、人事・採用領域に特に強みを持つサービスです。
戦略的に採用代行を活用し、自社採用力を向上させよう
少子高齢化が今後さらに進み、採用難易度は高まり続けることが予想されます。つまり、過去の採用成功事例を踏襲しつづければうまくいく…といったマーケットではもはやありません。
だからこそ、自社の採用業務を細かく理解し、自前で科学・アクションする部分とアウトソースできる部分に切り分けることは、採用代行を利用する・しないに関わらず欠かせないことだと言えます。
また効率面だけではなく、ノウハウ面に意識を向け自社採用力を高めることも重要です。
採用代行だけでなく、専門領域を持つフリーランス・パラレルワーク人材も活用できれば、より効果的にノウハウを蓄積することができるでしょう。